魔術の特訓
今日も今日とてルーヴルナは、魔術の特訓に明け暮れる。
授業ではなく、特訓。
ルーヴルナは、ディオンとの手合わせによりさらなる高みを目指している。
「これでどうですか!」
「まだまだ!」
「幻術っ!では広範囲攻撃はどうです?」
「きゃっ!結界がなきゃ危なかった…」
「ふふ。まだまだですね、姫君」
ルーヴルナは魔術の腕は幼き天才ディオンと並ぶほどになったが、経験の差が大きい。
ディオンは幼くして戦場にも出ているため、魔術の腕だけでなく扱いにも秀でていたのだ。
そんなディオンとの手合わせは、ルーヴルナにとってはかなり勉強になる。
「休憩しますか?姫君」
「まだまだ!もっとやれるよ!」
「ほー!」
「お前らやる気だなぁ!でも俺様もまだまだいけるぜ!」
「ふふ、さすがは姫君。そしてフェリクスとニュイもやる気満々ですね。いいですよ、かかっていらっしゃい」
そしてまた結界を張り直して、手合わせが再開される。
「それー!」
「ほう、氷柱での攻撃ですか。相性の良くない魔術なのに、本当にうまく使いこなせていますね。ですが氷柱での攻撃でしたら、このようにされるのも面白いですよ」
氷柱での広範囲攻撃を仕掛けたルーヴルナに、ディオンは大きな大きな特大の氷柱での大規模攻撃を仕掛けた。
幻術を使って本体は隠れていたルーヴルナだったが、大規模攻撃に当たってしまう。
結界が守ってくれたので無事だが、さすが戦場帰りのディオンだけあって容赦がない魔術だった。
「ディオン先生すごーい!」
「ふふ、勉強にはなりましたか?」
「うん、それにディオン先生かっこよかった!」
臆面もなくそう言われて、ディオンは若干照れる。
「そ、そうですか?それは嬉しいですね。姫君も今日もとても愛らしいですよ」
「えへへ」
「ひゅーひゅー!お二人さん、お熱いねぇ!」
「ほー!」
二人をからかうフェリクスとニュイ。
しかしルーヴルナはからかわれてもよくわかっていない顔で楽しそうに笑うだけ。
ディオンはそんなルーヴルナを見て落ち着きを取り戻す。
「ううん!とにかく、今日の特訓はここまでと致しましょう。姫君、あとは自由時間ですよ」
「わーい、じゃあディオン先生。たまには一緒にお茶しようよ」
「お茶ですか?ええ、もちろんお受けいたします」
ということで、次のパラケルススとの授業までの間。
少しだけ、ルーヴルナはディオンとお茶をすることとなった。
ディオンはそんな風に懐いてくれるルーヴルナが、少しだけ可愛く思えた。




