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【連載版】嫌われ者のお姫様、今日も嫌われていることに気付かず突っ込んでいく  作者: 下菊みこと


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婚約者はまだ早い

今日も今日とて開かれる、家族の秘密会議。


アナトールは家族に報告する。


「ディオンから報告があった。ルーヴルナはニュイ、フェリクスのおかげで幻術を完璧に使えるらしい」


「おお、すげぇな」


「僕の妹は天才だ!」


「幻術が得意なら身を守れるし、いいね」


「私も娘が優秀で鼻が高いです」


ルーヴルナの天才ぶりに家族は湧き立つ。


「それでな、もう闇属性の魔術や身を守る魔術を教える必要はないらしい」


「フェリクスとニュイがいるなら当然ですね」


「さすが我が娘、私は本当に嬉しいです。そこまで優秀だなんて」


「いつでもフェリクスとニュイが守ってくれるなんて、安心だね」


「それにフェリクスとニュイがいれば、身を守る魔術も練習なしでフェリクスの本能で使えるだろうしない」


これで安心だとみんな胸を撫で下ろす。


「ルーヴルナの身の安全は完璧に確保できたな」


「とはいえ念のため専属の騎士もそばに置きたいところですが」


「それはまた今度話し合おう。今はもう騎士が居なくとも万全の体制だ」


「そうですね」


「それより今日の議題だが」


誰もが緊張に息を呑む。


「…婚約者を、どうするかだ」


「まだ早いです」


「まだ早いな」


「まだ早いよ」


「まだ早いでしょう」


満場一致で、まだルーヴルナに婚約者は早いという結論になった。


「…そうだよな、まだいいよな」


議題にしておいて、満場一致でまだ早いとなったら安心するアナトール。


そんなアナトールに共感する家族達。


「では、今から専属の騎士の選定に議題を変えましょう」


「専属の騎士といっても、ルーヴルナの守りはフェリクスとニュイで完璧だしな」


「いっそ騎士たちの息子の中で、ルーヴルナと同じ年頃の騎士を目指す者を騎士見習いとしてそばに置くのはどうですか?ルーヴルナが成長する頃には、立派な騎士になっているでしょうし…そうでなければ解雇すればいい」


「そうだな、それでいいと思うぜ」


「僕も賛成!」


ということで、騎士見習いをルーヴルナの護衛として募集したら結構な数の応募があった。


その中で特に見込みのありそうな少年を選び、ルーヴルナの護衛に当てた。


名前はギルベルト。


黒髪黒目の、この国では珍しい色合いの男の子だ。


「お初にお目にかかります、ギルベルトと申します。よろしくお願い致します!」


ガチガチに緊張するギルベルトに、ルーヴルナは微笑む。


「お初にお目にかかります、ルーヴルナ・ヴィクトリア・アルヴィアと申します。これからよろしくね」


可憐に挨拶をするルーヴルナ。


「は、はい!」


美しい姫を前に、ギルベルトはまだガチガチだが…ルーヴルナの微笑みに少しだけ緊張は解れた。


「ルナね、黒髪黒目の人は初めましてなの」


「あ、はい…」


「すごく素敵だね!」


「え?」


ずっとこの黒髪黒目を不気味だと言われてきたギルベルト。


両親からすら、剣の才能はあるのにとため息を吐かれる始末だった。


なのに目の前の美しい姫はそれを素敵だという。


それも、多分本音で。


嘘や方便には見えなかった。


「ど、どうして…」


「だって、黒真珠みたいで綺麗だもん」


「…!!!」


ギルベルトは、この姫を守るため強くなろうと誓った。


それ以降ギルベルトは常にルーヴルナに付き従い、ルーヴルナが眠ってから朝起きる時間までは睡眠は取りつつも剣の稽古にも精を出した。


幸いルーヴルナは早寝遅起きなので、稽古も寝る時間もたっぷりあった。

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