精霊にも嫌われたが、構わず突っ込んでいくルーヴルナ
アレクシ主導の元、ディオンがサポートしながら精霊召喚と精霊契約の儀が行われる。
ルーヴルナがフェリクスを通じて魔術を使い、精霊を呼び出した。
「精霊よ、我が呼び声に応えよ」
「呼んだ?ご主人様…って、まだ子供じゃん!」
「精霊よ、我と契りを」
「えー、俺様こんな子供と契約なんて面倒臭いよー!あ、もう魂が繋がっちゃった!」
ということで、無事ルーヴルナは精霊召喚と精霊契約の儀を終えられた。
「なんで俺様がこんなちんちくりんとー!」
「えへへ、契約してくれてありがとう」
「ありがとうじゃねーよ、ほぼ強制だよ!」
「でもありがとう」
「うるせー!俺様はこんなちんちくりん主人と認めないからな!」
反抗的な精霊。
だが、精霊というのは大体最初は主人に反発するものだ。
アレクシは微笑ましげに精霊と戯れるルーヴルナを見つめる。
一方でディオンは、一発で見抜いていた。
この闇属性の精霊は、相当に格が高い精霊だと。
驚きすぎて声が出なかったがなんとか自分を奮い立たせて、王太子でありルーヴルナの兄であるアレクシに伝える。
「あの精霊は闇属性なのですが、相当に格の高い精霊です。普通、幼子の召喚には応じないような」
「なんだって?じゃあ、これは…すごいこと、だね?」
「その通りです、殿下。すごいことですが…おそらくあの魔獣、フェリクスのおかげですね。彼のサポートがあったから幼い姫君でも、格の高い精霊を呼び出せたのでしょう」
「なるほどね。そして闇属性の精霊か…いいね」
闇属性の精霊と契約していれば、幻術系の魔術が使いやすくなる。
そして幻術系の魔術の威力も格段に上がる。
幻術系の魔術は、王族にとってはとてもありがたいものだ。
暗殺者が来ても、幻術で騙して逆に魔獣に攻撃させて返り討ちにできる。
精霊も主人を護衛してくれるので、常に召喚しておけばいつでも安心安全だ。
その上格の高い精霊であれば、安心度は桁違いだ。
「よかったね、ルーヴルナ。その精霊さんは闇属性なのだけど、とっても格の高い精霊さんだよ」
「ルナと契約してくれた精霊さん、強くてかっこいいってこと?」
「その通りです、姫君」
ルーヴルナはパッと表情を明るくする。
「すごーい!精霊さん、すごーい!強くてかっこいいんだ!しかも見た目も可愛い!すごーい!素敵!」
「え、あ、お、おう。俺様だからな」
「さすがー!精霊さん素敵ー!」
「お、おう」
どうもゴマスリや煽てて言っているわけではなく、純粋に自分を慕っている様子のルーヴルナ。
そんなルーヴルナに、精霊が絆されるのは早かった。
「…たくっ、仕方ねーなー。どうせもう魂が繋がっちゃったしな。いいぜ、お前を俺様の主人として認めてやる」
「仲良くしてくれるの?」
「そうだぜ」
「やったー!精霊さんありがとう!」
「おう。お前名前は」
ルーヴルナはそう言えば挨拶していなかったなと、改めて名乗る。
「ルナはね、ルーヴルナ!ルーヴルナ・ヴィクトリア・アルヴィアって言うの!」
「ルーヴルナな。俺は精霊界の闇の精霊の長の五番目の息子、闇の精霊王子ニュイだ。よろしくな」
「ニュイも王子様なんだ!ルナもお姫様だからお揃いだね!」
「なんだ、ルーヴルナも王族か。ただのちんちくりんかと思ったけど、意外と悪くねーな」
闇の精霊の長、その五番目の息子である闇の精霊王子。
そんな格の高い精霊と契約したのかとアレクシとディオンは目を見張るが、ルーヴルナとニュイはそんなことは気にせずフェリクスも交えて戯れる。
つくづくうちの妹は規格外だと、アレクシは心の中で嬉しい悲鳴をあげた。




