魔獣にも最初嫌われるが、全然気にしないで猛烈アタック
国王は、白くて綺麗なフクロウの魔獣を用意した。
フクロウを連れてきた商人曰く、このフクロウは特に強く賢い個体だそうで、魔獣との相性も良いらしい。
その代わり他のフクロウよりプライドが高くて、ちょっと扱いづらい個体らしい。
だがそれだけ強く賢く魔術との相性がいいなら、懐かせることができれば最高のパートナーとなるだろう。
ルーヴルナはまだ幼い。
これからゆっくりと仲を深めれば良い。
国王はルーヴルナを呼び出して、白いフクロウを差し出した。
「ルーヴルナ、この子をルーヴルナの使い魔にするよ」
「いいの?やったぁ!!!」
ルーヴルナは白いフクロウの魔獣との、使い魔契約を行う。
ディオンに来てもらってサポートしてもらい、魔術でお互いの魂を結びつけた。
これでこのフクロウは、一生ルーヴルナの魔獣としてルーヴルナに仕えることになる。
「これで使い魔にできた?」
「できましたよ、姫」
ディオンからもお墨付きをもらった。
さあこれから仲良くなろうとルーヴルナは近付くが、フクロウは飛んで逃げて一定の距離を保つ。
どうもこのフクロウの魔獣、ルーヴルナを主人と認めていないらしい。
「フクロウさん、逃げちゃう」
「最初はそんなものですよ、使い魔は最初は主人を気に入らないものです」
気に入らない、と言う部分はシャットアウトして、最初はそんなものという言葉だけを拾ったルーヴルナ。
ならまあいいかと、フクロウに名付けをする。
「それで、ルナがフクロウさんにお名前をつけてあげていい?」
「どうぞ、姫君」
「ならねぇ…貴方は今日からフェリクスだよ!フェリクス、ルナはね、ルーヴルナ!よろしくね!」
フェリクスと呼ばれたフクロウは、名付けられた名前は気に入ったようでご機嫌そうだ。
「ねえフェリクス、ルナね、フェリクスが好きだよ」
ルーヴルナはフェリクスに語りかける。
「白くて綺麗な体も羽も、賢そうな綺麗な目も、ルナと契約してくれたのも、全部好き!これからルナね、フェリクスをとってもとっても大事にするからね」
ニコニコと微笑んでそう言ったルーヴルナに、フェリクスは一定に保っていた距離を縮める。
そしてルーヴルナの片腕めがけて飛んで、ルーヴルナの腕にとまった。
「あれ、仲良くしてくれるの?」
「ほー」
「ふふ。フェリクス、ありがとう!」
ここにまた、ルーヴルナに陥落した獣が一羽。
ルーヴルナはどれだけの存在を虜にして行くのだろうか。
「ほー」
「ふふ、いい子いい子」
「ふう、使い魔契約も上手くいって良かった…ディオンよ、ご苦労だったな」
「とんでもございません。臣下として当然のことをしたまだです」
国王は安堵し、ディオンは礼儀正しくしつつもこの短時間で使い魔を飼い慣らしたルーヴルナを信じられないような目で見つめていた。
一方でルーヴルナは、そんなことには気付きもせず戯れてくるフェリクスと無邪気に遊んでいた。




