とりあえずローズとは上手くいったので、次は魔獣と契約をさせよう
「それでね、ローズが魔獣を見せてくれたの!ローズの魔獣は可愛いクマさんだったの!」
「そっか、それは良かったね。ルーヴルナは魔獣は欲しい?」
「うん、早く誰かと契約したいな」
「それはいいね」
「ね!」
ルーヴルナはまだ見ぬ自分の魔獣に夢を馳せる。
その後もルーヴルナは、ローズとの会話を家族に語り続けた。
また、家族の秘密会議が開かれる。
「ということですので、ローズとルーヴルナは上手く行きました」
「よかったな」
「じゃあ次は何を進めようか」
「ルーヴルナに魔獣を与えてやろうぜ。ルーヴルナも望んでるんだろ?護衛にもなるし」
なるほどと全員が頷く。
「それはいいですね、ルーヴルナも喜ぶでしょう」
「はい、母上の言う通りかと」
「アロイス、よく思いついたね。グッドアイデアだ」
「まあな」
「ではどの魔獣と契約させるかだが」
議題がルーヴルナの魔獣になると、議論は白熱した。
「僕は絶対猪の魔獣がいいと思う。だって強いし、護衛には適してない?」
「アマデューの案もいいけれど、僕はフクロウの魔獣を推すよ。彼らは賢く、そして見た目よりも強い」
「兄上、フクロウより鷹の方が良くないか?」
「いえ、ここはローズとお揃いのクマにするべきでしょう」
「それも良いが、カバの魔獣はどうだ?彼らは見た目に反してものすごく強いぞ」
それぞれのお勧めの魔獣とその理由を述べる家族たちだったが、議論はしばらく平行線となった。
「うーん、なかなか決まりませんね」
「だなぁ。魔獣は一生の共だから迷うよな」
「魔獣選びは今後の人生にも関わりますからね」
「魔獣は護衛にもなるし、魔術を使う時の魔力供給をサポートしてくれますからね」
「とりあえず強くて賢くて、魔力供給の優れた魔獣にするのは確定だが…うむ」
魔獣は魔術を使う時に、魔力供給を手助けしてくれる。
魔獣との絆が深ければ深いほど、魔獣は威力を発揮しやすいのだ。
おまけに当人のピンチには自動召喚され守ってくれる。
なにかと危険の多い王族や貴族にとって、魔獣選びは平民よりもより吟味する必要があるのだ。
「いっそルーヴルナ本人に聞いてみるか」
「それはいいね」
「ルーヴルナも、自分の魔獣は自分で決められた方が愛着湧くよね」
ということで次の朝、家族での団欒中にルーヴルナは問われた。
「ルーヴルナ、理想の魔獣っている?」
「理想?うーん…フクロウさんがいい!」
「それはどうして?」
「可愛くてかっこいいから!」
ということで、ルーヴルナの魔獣は呆気なくアレクシの推したフクロウに決まった。
ただ、問題があるとすれば。
フクロウの魔獣は、プライドが高くて親密度を深めるのが難しいことだろう。




