サイドストーリー アオイの日記
私はアオイ イマガミ。
和の国の王子で、父は和の国の王、コージ イマガミ。
母は陽蘭。華の国の皇女だ。
ただの日記なのに、何故ここから書いているのかという理由は今日の勉強の時間まで遡らないといけない。
それは歴史を勉強していた時のこと。
サンカ先生がこんなことを教えてくれた。
「和の国は、洋の国の公女と華の国の皇子が洋と華の国の境目に作ったものというのはこの前習いましたね。」
そこから退屈な話が続き、面白くもない資料を読んでいたけれど、一つだけ興味深いことを教えてもらった。
「和の国と過去に同盟関係であったという伽耶王国の遺跡を調べることで和の国の歴史も読み取ることができるのですよ。」
寝てはいけない、寝てはいけない、と自分に言い聞かせてここまではなんとか意識を保っていられた。
それで、いよいよダメだ、と思った時に先生の声が聞こえた。
「遺跡もそうですが、歴史を読み解くきっかけになったのは沢山の記録です。それから壁の中に隠された、虹杏のものと思われる日記です。彼女は普通の貴族の一家に生まれ、生きている間は脚光を浴びることはありませんでした。しかし、未来になって彼女の日記が伽耶王国、そして和の国の歴史の謎を解き明かす鍵となっているのです。」
ここで私の目ははっきり醒めた。
未来の王として、この国の歴史を残すべきではないだろうか。
そう思った。
私が見た全ての記憶を書き留められるだけ書き留めることにしよう。
決して、後世へ名を残すためではない。
記録を残すためだ。
記憶は記録にすべきだ。
記録は学問にすべきだ。
学問は政治にすべきだ。
政治は民を導くものである。
僕の記憶がこの先の僕の子孫の役に立つことを願う。




