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眠り姫は夢をみない  作者: 鈴木チセ
国外逃亡編
60/70

サイドストーリー 黒髪の呪い

朝、目が覚めたら髪が黒く染まっていた。


それは夫のユーダイも同じだった。


私の銀の髪もユーダイの黄金色の髪も見る影もなくなっている。


しかし国民達の髪は変化ないようだった。


ただ、あとから来た報告では皆異能が使えなくなっているとある。


私は言霊がそのまま使用できたため、それで髪を元に戻そうとした。


しかし、バチンと音を立てたあと、髪色は元に戻ることはなかった。


深い青色に変化した。


銀色に戻ろうとしたが、負けたのだろう。


黒色から少し変わっただけだった。


ユーダイにも異能を施そうかと思ったがやめておいた。


元に戻ることはないのだ。


なら、見た目に色濃く出ていた純粋な洋の者の血ももう必要ないのだし、戻す必要はない。


それに彼に青い髪は似合わないだろう。




後に生まれた子供の髪までも黒かった。


王族のみ髪が黒くなるのはなぜだろう。


原因を探ろうにもこれが何なのか見当もつかない。


私たちが駆け落ちしたことで国際情勢が揺らぐことはあっても神の怒りに触れるはずがない。


神などいない。


言霊で一度呼び出そうとしてみたが、来ることはなかった。


いたとしても干渉してこないなら意味はない。


つまり、これは伽耶王国、華の国の者からの攻撃だろう。


しかし、みたところ直接的な害はない。


何がしたいのか見当もつかない。


異能がなくなる。


それがなんの害になるというのだろう。


洋の国は異能がなくとも国民を統治し、華の国すら占領しようという野心をもっていた。


神の国という割には随分と欲の深い、罪しか感じない国だが、異能を凌駕するほどの力を持っている。


もしも全国民から異能が消えうせる力だというほど甘いものなのなら、痛くもかゆくもない。


ただ、国民全員から異能が消えうせるど、貴族の異能でも難しい。


伽耶王家、皇族の仕業としか思えないが、こんな考えなしがしそうなことをするとは到底考えられない。


そもそも伽耶王国から忽然と王室が消滅した。


今は実質、華の国の統治だ。


手なんて出せるわけがない。


皇族も伽耶が手に入るのに私に手を出す理由はない。


しかし、と私は思い出した。


月梨ならやりかねない。


彼女の奇跡を起こす異能。


王家一つ犠牲にして国民の異能全て消滅させた、なんてこと、自分が正しいと言いながら平気でやるでしょう。


義理である私のお母さまにもなついていたし、駆け落ちした私のことは許せないでしょう。


感情で動くなんて、王家失格ね、と私が言えたセリフではないけれど杜撰すぎる義妹の行動には一言言ってやりたい。


こういう時は雨を降らせなくしたりするのだと。


異能がなくても生きていける力を私も国民も身に着けている。


むしろ洋から来た混血人にとって異能などないほうが良かったでしょう。


差別の対象になり、気味悪がられてきたのだから。


彼らを助けたい。


それが今回の駆け落ち騒動の発端だったとはだれが想像するかしら。


差別意識は根深い。


法で何とかなるものなら最初から存在しない。


ユーダイも私もこのような騒動に発展させる気はなかった。


出会ったことをなかったことにしようとした。


お互い背負っているものが大きすぎる。


その方が得策だった。


だけど、洋で異能を持つがゆえに、華で異能を持たないがゆえに差別された者たちはお互いが背負うものほどに大きかった。


動かない理由はなかった。


それで適当な無人島に降り立ち、和の国を建国したというわけだ。


ユーダイとの駆け落ちの理由づけに彼らを使ったと言われたらそうかもしれないが。


とりあえず、この状況に害がないなら様子見するしかない、か。

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