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眠り姫は夢をみない  作者: 鈴木チセ
国外逃亡編
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謀略と5人

目の前の神みたく振る舞う主を目にしても風華はランについていく覚悟を決めました。しかしシルフィとココナはどこかぎこちない様子でした。風華に比べてランに仕えた期間は短く、一生を共にする決心などつくはずありません。他に道はないとはいえ躊躇ってしまうのは頷けます。それは風華も少しは理解しており、ランがもう少し納得できるように、なんなら自分も含めて洗脳してくれたらいいのにと思っていました。



「伽耶王国の奪取って聞こえは悪いわ。だけど、今のまま伽耶の文化の価値もわからない廉が統治して、亜の国を華の属国にするための手段にしてしまうのは勿体無いじゃない。」



躊躇いを見せる2人にランは自分の意見を述べてみます。伽耶王国は独特な文化が花開いた国。和の文化の基礎であり、かつて二つの国は同盟関係であったと噂されるほどに共通点があります。呉服屋の娘で骨董品や美術品を多く目に入れて育ってきたココナにとって伽耶王国は魅力的な国。スミレの華の国訪問のときに目にした、見事な彫像や噴水に感動したのはほんの数週間前でした。ランに簡単に飛行艇の設計図等、貴重な資料を持っていかれてしまうような廉に伽耶王国の統治は確かに相応しくないかもしれません。



「、、、、睦已を通じて第三者に計画が漏れたやも。まずはシルフィのもといた組織の調査にあたりたいのですが。シルフィとともに。」



ココナはにっこりと答えました。そういうものなのだ。これは父親の口癖でした。商売は建前と嘘と脚色の世界。信用と誠実さだけでは喰われてしまう。ココナは風華の言っていた言葉を思い出しました。



「女官は何があっても主についていく。」



女官とはいえココナにはココナの正義が、信じたいものがあります。今は昏睡状態のスミレを守ること。世界中から迫害された彼女に居場所を作ること。そのためにランに従い、伽耶王国の中枢に入り込む。ココナは黙っているシルフィに目を向けます。そこには同意しろ、という圧がありました。それを受け取ったシルフィもそれはそれは見事な愛想笑いで言いました。



「初期の契約通りです。組織の本当の目的、繋がり、家長の正体を暴きます。」



兄を殺したアイラは死にました。シルフィはもう本来ランについている必要はありません。しかし彼女もまた別の目的がありました。自分の異能の特殊性。混血でありながら異能を仕えること。そして、それが陽怜の力を使っても消えないこと。これらを解明することにありました。その先などどうでも良い。今はただ自分が苦しんだ理由を知りたい。

ランが初めに席を立ちました。続いて風華が。シルフィとココナはその場に残りました。机の上の紅茶は誰も口をつけないままで、すっかり冷めていました。

感想があったら嬉しいです。もう、本当に、なんでも良いです。

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