寄り道
「これは異能が増幅した。これは着けた瞬間宝石が弾け飛んだ。これを着けたやつは一週間目を覚まさなかった。」
それぞれの封具の失敗作を指差して説明していくジェイク。ココナは一つの封具に目を奪われました。自分の髪と同じ緑の宝石を基調とした設計の封具。
「あの、これも失敗作なら買い取っていいですか?」
「構わんが、あんた緑の髪だな。異能持ちじゃないのか?異能持ちが使うと大変なことになるぞ。これは確か、周りの植物が巻き付いてくる。」
ココナは華の国系と呼ばれる和の者です。異能は使えませんが、華の者の特徴を色濃く受け継いでいます。
「いえ、和の者は基本異能が使えないんです。」
「じゃあ大丈夫なのか、、、、。自己責任で頼むぞ。」
「もちろんです。」
ココナがいつも袖の中に隠している袋から金貨を取り出します。和の国、華の国、洋の国の共通貨幣はまとめて持っておけ、という父からの言いつけによるものでした。
「買い物は終わりかしら?早く戻らないと風華が令瞑を切り刻むかもしれないわ。」
嘘か本当か冗談かわからないことを言い出すラン。
「、、、、封具が使い物にならないなら別の方法を考えないとだめね。最悪、飛行艇の制御装置を分解してスミレさんに与えようかしら。」
さらりと恐ろしいことを言うランにシルフィとココナは顔を見合わせ、目を丸くします。
「貴重な移動手段を簡単に分解するんですね、、、、。」
「そりゃあ、目的はスミレの警護、のはずだが何のために私達は逃げてるんだろうな。」
「確かに、、、、。」
二人は今起こっている状況を整理しようとします。華の国がスミレの引き渡しを要求しているのは月家の異能を王家に組み込みたいから。そして、和の国は華の国にスミレを見つけたら差し出すと協定を結んでいる。それから、洋の国は戦争の引き金になったスミレに好意的とは思えない、、、、。新興国に逃げるにも印の国は戦争の真っ只中。亜の国も独立という形をとっているが実質華の支配下に。今、逃げられる場所はどこにもありません。さらに、ただ隠れながら暮らすのであれば、ランが今の生活や力を捨ててまでスミレをここまで連れ出すはずはないのです。
「ラン様は一体スミレ様に何をさせようとしているんでしょう。」
「わからないな。あの方を突き動かすものはなんなんだ。」




