コウ家のルーツと王妃暗殺の話
「どうやって帰るの?ここは空の上よ。」
帰れるわけがないじゃない、と言わんばかりに言うラン。
「あなたをもう少し利用させてもらう。」
「何を仰っているかわかりません。」
令瞑が話し終わったと同時に、彼は膝から崩れ落ちました。ランが仮死状態にしたのです。
「ここで見たことをばらされても困るわね。このまま殺してしまおうかしら。まあ、ただの一度も醜態をさらさなかったのはさすがだけれど。」
表情一つ変えずに言ってのけるランに恐怖するシルフィと風華。
「何故急に、、、、?」
風華が話そうとしますがランはそれを無視します。
「シルフィの元居た組織、ずっと部屋を見ていたけど組織は華にルーツを持つのではなく、たぶん伽耶王国が基になってるわね。もう死んだけどアイラ・コウ家のルーツは伽耶にある。」
パラパラと書簡をめくって見せるラン。2人は机に広げられた古びた書簡に目を通しました。
「ほら、ここ。虹藍って書いてある。」
だからなんだ、と言わんばかりにランを見上げるシルフィ。
「鈍いわね。私がずっと探してたコウ家の、つまりアイラのルーツよ。」
「アイラのルーツはわかりました。しかしなんのためのレイラ様暗殺に?」
倒れ込んだ令暝を介抱しながら問いかける風華。
「それはシルフィが話してくれるわ。なんのための王妃暗殺だったの?」
凍てつくような瞳を前にシルフィは縮み上がります。過去には人を殺したこともあるシルフィですが、自分の命のことになると死とは怖いもののようでした。
「、、、、王妃暗殺の予定では有りませんでした。」
「けどレイラ様は死んだわ?」
穏やかそうに聴こえるランの声ですが温度はありません。
「依頼されたのはスミレ様の暗殺です。」
風華は顔には出さないものの内心驚いていました。けれどすぐに納得します。スミレは華からしたら喉から手が出るほど欲しい月家の再来。しかし和からすれば塔に閉じ込めてなかったことにしたいほどのタブー。殺すのに十分な理由でした。
「アイラはこういってました。王妃は姿の違うスミレが生まれたことが自分の立場を危うくさせると思ったんですって。」
「はぁ?」
淑女とは思えないランの返事には誰も気に留めませんでした。
「けれどスミレ様の能力によって兄が死にました。スミレ様は私達には殺せなかった。だからアイラは依頼主を殺し、依頼をなかったことにしたんです。暗殺者に失敗は許されませんから。」
「そう、、、、。残る謎はまだまだあるけれど、とりあえずは前進したかしら。風華、そろそろ洋の北部に着くわ。皆はそれまで休んでいなさい。ココナももう令暝が寝たから大丈夫。連れてきて。」
諸事情で更新が遅れました。すみません。しばらく更新できないことが増えますがそれでもお付き合いしてください。まだまだ続きます。




