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眠り姫は夢をみない  作者: 鈴木チセ
和の国編
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サイドストーリー ココナの手紙

そういえば、ストックを出してったので、ココナ初登場会がすっ飛んでいました。初登場会をしれっと滑り込ませていく上で一応性格がでる手紙を書いてみました。口が悪い、態度が悪いですが猫を何重にもかぶって試験には合格しています。それでこの人、ずっと庭園掃除してました、はい。

お父様へ


この度、私ココナは姫様付き女官を代表して華の国訪問に同行することが決定いたしました。


長い間、本来の役職から大きく離れ、下町上がりだからと庭園の掃除ばかりさせられておりましたゆえ、仕事ぶりを評価してではなさそうです。


姫様に関して秘匿されていることが多いので国外と取引の多い呉服屋の娘は信用できないからというのはわかります。が、しかしそれで姫様付きの女官を代表し、華の国訪問など意味が分かりません。


命の危機を伴うのではないかと危惧しております。


訪問は女官筆頭のアイラ様、それからあと一人はトーケイ出身で生粋の貴族の娘、フタバ・セーソンです。


セーソン家はそれなりに有力な貴族のはず。


ますます私が選ばれた意味が分かりません。


それに、私はなんやかんやで姫様のお顔を拝見したことすらありません。


姫様に関しては洋との戦争の引き金になったこと、宮殿には住んでおらず、なぜか大罪人の住む塔で暮らしていること。


秘匿するほどの何かが姫様にあるということが考えられますが見当もつきません。


姫様は外部とのやり取りも極端に少ないご様子です。


呉服屋、宝飾店、髪結い。


本来使われるはずの出費も極端にありません。


側妃の陽蘭様も控えめな方のようですので、余計にそれらの商人の出入りが少ないのです。


王妃様がいらっしゃった頃は我がトーデン家の出入りもあったとか。


姫様を外部に接触させようとしていないのは明白ですが、どうにも目的は不明です。


姫様が外部と接触することで何かが起こるのか、外部の何かから姫様を守ろうとしているのか。


下町にいたころから、姫様のうわさはあまり聞きませんでした。


その割には皇太子殿下が誕生されたこと、とても頭がよろしいこと、と噂話はたくさん聞いていました。


よくお父様にも殿下のようになりなさい、と言われたものです。たまには娘の私のことも案じてくださいな。


そちらの様子はどうでしょう。店は繁盛していますか?


最近は毛織物が流行だとか。


洋の文化も和の国全体には定着してきたように思われますが、まだまだ王宮の流行は10年前から変わっていません。


呉服屋の出入りがほとんどないからでしょう。


繊細な職人技の光る一品が未だに高い人気を誇っています。


お父様がもたせてくれた衣装箱も初めは流行おくれのものが多く、呉服屋の娘としては心もとなかったのですが、きっとお父様は王宮の流行を把握していらっしゃったのでしょうね。


おかげで見た目は貴族のようにふるまっております。


しかし、経歴詐称にはならず、ずっと庭園の掃除ばかりでしたが。


それで城下町だけ10年も時が止まっているようですが、一応外部の情報を受け取ることはできます。


最近、印のあたりが怪しいとか。


洋からの独立を目指していると聞きました。


和も華も印の独立を支援する形になると思われますが、どうなることやら。


和への外部からの進行はないと考えてはいますが印と洋の争いが激化すれば、和からも兵が投入されるでしょう。


肥満気味のお父様は大丈夫でしょうが、お兄様が心配です。


エミカさんとの婚約も決まったばかりなのに、式すら挙げずに出兵はさすがに、、、。


洋の軍は神の名のもと、戦うため、私たちよりもはるかに強い結束力なのでしょう。


さらに洋の神を信仰しない私たちは人の扱いをされません。


なんとかして全面戦争だけでも避けてほしいところです。



長々と書きましたが、どうも華の国訪問に不信感を感じざるを得ません。


しかし上官からの命令のため断ることが許されないのはお父様もよくお判りでしょう。


もしかしたら華の国でなにかの陰謀に巻き込まれるやも。


そのため、今回ばかりは弱音も愚痴もはくためには王宮のことをちょこーっとだけお話しする必要がありました。


そのため、なぜか飼いならされた鳩が手紙を運んできたことで察したかもしれませんが、この手紙は検閲を通さずにお届けしました。


証拠隠滅のため燃やしておいてくださいね。


お元気で。


戻ってくるよう努力はいたします。


ココナ・トーデン

下町出身なんで、ココナは口が悪いです、はい。

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