セトとエリーの事情・二
ザダクとの戦いを終え、ヴァレリアたちはライヒの街でしばしの休息を取るのだった。
※こちらを読む前に
サブタイトル「今日から私はヴァレリア様!」
を読んだ方が多分わかりやすいと思います
一方ライヒの酒場ではネフティスの衝撃的なカミングアウトにエリーとヴァレリアは衝撃を受けていたーーーー
「えっえっ? オシリスってセトの弟ですわよね??」
エリーは戸惑いながらネフティスに聞く。
「あたしは前からオシリスの事が好きだったんだけど、セトがいずれ王になる男だったから‥‥‥。私はお金に苦労したくなかったからさ。仕方なくセトと結婚したの、セトに睡眠薬入りのお酒を飲ませて一緒に寝て。私たちの国では、行為がなくても一緒に寝たら結婚した事になるから」
それを聞いてエリーが怒髪天を突き顔を真っ赤にして怒りをあらわにした!
「なんやそい!!!! 今からでもその浅はかな根性を叩き直してやる! まずはセトに謝れや!!」
「エ、エリー、言葉遣いが崩壊してますわ」
エリーは怒りのあまり故郷の方言が出てしまっている事に気付いていない。
「し、しかもなんでお前が仕方なしに選ぶ立場になっとるんじゃ〜!!(怒)」
ブチギレたエリーをコントロールできる者はもう誰もいない!
「わぁー!! ごめんなさーい!」
エリーに転がされて酒場に戻ってきたネフティス。
さっきまで潰れていたセトはオシリスと話していた。
「オラ、さっき私らに言ってた事を二人に話せよですわ」
セトはエリーの怒りの形相と言葉遣いの違いを見てギョッとした。
「エ、エリーどうしたんだ!?」
「セト。このお方がお話があるそうですよ?」
そう言ってネフティスを穢らわしいものでも見るかのように睨むエリー。
ネフティスが言いにくそうに、セトをチラチラ見ながら先程自分が言った事を説明する。
「あー‥‥‥。まぁなー、俺らの国ではまだまだ女の地位が低いからな〜、ネフティスがした事も仕方のない事だったって今ならわかるが」
セトは意外にも寛容だった。ネフティスに利用されたのに?
「まぁ、俺も王の身分を捨てたからさ。ネフティスたちや国の女の事は悪く言えねえよ。そういう国の体制を変えずに逃げてきたんだからよ」
「セト‥‥‥」
エリーが複雑そうに顔を歪める。
確かに、そうだったかもしれないけど。ネフティスは、お金に苦労したくないという自分勝手な理由で、セトの立場を利用して、一度でもセトの妻の座について。
(職が決まらなくて大きな街に出てきたけど、ここでも中々決まらなくてイライラしてたのを、ぶつけてしまった)
なんでなんで! 私の幼少期は少しも幸せじゃなかった。半ば両親に捨てられる形で女中奉公に出されて、知らない言葉、知らない事を沢山覚えて、毎日一生懸命で‥‥‥
それでも。ヴァレリア様に連れ出されて、セトに出会えて、セトに一目惚れして。セトも同じ気持ちで、やっと自分の人生を自分の意思で歩く事ができると思っていた。
私はそうして、毎日一生懸命生きてきたのに! ネフティスがセトの庇護の元で散財している間にもーーーー
それでもネフティスを庇うの!?
「何故なの、セト‥‥‥」
ネフティスを庇うの? 私は強いからいいの?!
(ーーーー不安にさせちまって悪かったな。俺がすすす、好きなのはエリー、お前だけだよ)
あの時のあの言葉は、嘘だったの? いつのまにかエリーの瞳からは、涙が伝っていた。
どうして? ネフティスの事は黒歴史だって言ってたじゃない! もう今は‥‥‥
私だけの、私だけの‥‥‥
「‥‥‥ッ!! 私だけのセトでいてよ!」
「エリー!!」
セトがエリーを呼び止めたが、エリーは酒場を飛び出してしまった。
セトォォォォ!!
エリーだけのセトでいてやってくれよ!
雑アンド短めでしたねすみません
改稿します!
ここまでお読みくださってありがとうございます。
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ご拝読ありがとうございました。また読んでくださいね。