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ヴァレリアとアナスタシア  作者: 杉野仁美
第一章 ヴァレリアとアナスタシア
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愛してる、ヴァレリア

魔剣の力を借りてザダクを倒したレクター。


自分を庇ってくれたヴァレリアに駆け寄るのだった。

「ヴァレリア!」


 レクターはヴァレリアの元に駆け寄る。


『辛うじて息は残ってる。俺様頑張ったからな! ゲホ』


 ニーズヘッグが咳き込みながら言う。


「ありがとう、ニーズヘッグ。よく頑張ってくれた。ヴァレリア。もう大丈夫だ‥‥‥」


 えっ?!


 レクターはヴァレリアの姿を見て驚愕した!


「これは、この姿は‥‥‥。アナスタシア!?」


 レクターの視線の先には、ヴァレリアでなくアナスタシアが横たわっていた。


『ああ、言うのを忘れてたというか、ヴァレリアに止められていたんだ! でもこの際そんな事言ってられない。ヴァレリアは元々はアナスタシアだったんだよ。で、本物のヴァレリアに呪術を施されて、ヴァレリアになってしまった! ていうかやべえよ! アナスタシアに戻りかけてるって事は、ヴァレリアが死んでしまう!』


「なんだそれは!? どういう事だ!!」


 ニーズヘッグは苦しみながら事情を説明した。


 レクターとヴァレリアが城に戻った時、アナスタシアと会った時に言われた事。酷い言葉を、一方的に浴びせられたこと。


【‥‥‥いい事を教えてあげるわ、貴女は私の全てを受け継いだの。もう貴女は(ヴァレリア)として生きていくしかないんだわ! でもこの国のどこに、貴女みたいな悪魔憑きを選んでくれる物好きがいるかしらね!? これが私にできる、貴女への最後の贈り物よ! ざまぁみろだわ!】


 そして希望を打ち砕くような言葉を投げつけられたこと。


【元に戻りたかったら、貴女が死ぬ以外方法はないわ!】


『だから、アナスタシアに戻りかけてるって事は、ヴァレリアは死にかけてるんだ! お願いだレクター! ヴァレリアを救ってくれ!ヴァレリアは、俺様を可愛いと言ってくれた! 家族だと言ってくれた!俺様は悪魔なのに‥‥‥頼む、レクターとウードガルザ! ヴァレリアを助けて!』


 ニーズヘッグは懇願した。その懇願は、ヴァレリアが死ぬと自分自身も死んでしまうからという理由からではなく、心からヴァレリアに生きて欲しいという懇願だった。


 レクターはニーズヘッグの言葉を聞いて頭がガンガンしてきた。


 まさか‥‥‥。あの時のヴァレリアの切なそうな眼差し‥‥‥


【「レクター‥‥‥私、貴方の事、忘れたくないわ。貴方の金色に輝く不思議な瞳の事も、ずっと覚えていたい」


 レクターの目を見つめながら言う。今のレクターの瞳はまるで()いだ海のように静かな青。最初に会った時の青い炎も今は見えない。


「何故そのような事を急に‥‥‥まるで、俺を置いて、どこか遠くに行ってしまうような言い方」】


 消えてしまいそうな、涙で潤んだ瞳‥‥‥。あの言葉に、そんな意味があったなんて‥‥‥


【本当の私を知ったら、きっとレクターは私に失望するわ。レクター、本当の私を知っても、私を嫌いにならないでいてくれますか?】


 レクターの金色の瞳が光る!!


「‥‥‥当たり前だ!!」


 レクターを取り巻いていた青い炎が金色に変わり、ヴァレリアとニーズヘッグを包み込んでいく。


『一輪の花の中に天国を見るには。君の手のひらと私の手のひらで永遠を握り、一瞬の永遠を(つか)みとる。私の中の秘めた愛がおまえのいのちを。蘇らせる』


 レクターが何か呪文を唱える。ブワッ!!と風が吹き、ヴァレリアとニーズヘッグの傷付いた部分をその風が包み、癒していく。


 ヴァレリアの背中から臓器を貫通して流れていた血は止まり、アナスタシアになりかけていたヴァレリアは、みるみる血色を取り戻し、その姿を取り戻していった。


 元に戻る、つまり‥‥‥。ヴァレリアの、その姿に。


『ああ、ありがとう‥‥‥。レクター、ウードガルザ‥‥‥。ウードガルザ。お前は気まぐれだから、ヴァレリアを助けてくれるか心配だった』


 ニーズヘッグにウードガルザと呼ばれた者はレクターの体を借りて答えた。


『ふふ、レクター(主)の好いた女を見捨てる程、堕ちてはいない。私はレクター(主)の言うことに、ただ従うのみ‥‥‥』


 そう言うとレクターの体格は元に戻り、ツノは消え、金色の髪は元の栗色に戻り。肌の色は健康的な褐色に戻っていた。


 ただ金色の瞳だけが光を失わないまま、ヴァレリアの顔を愛おしそうに撫でていた。ニーズヘッグは安心したのか眠っている。もうニーズヘッグも血は吐いておらず、穏やかな顔をして眠っていた。


「ヴァレリア、愚かな俺の、ヴァレリア。気付いてやれなくて済まなかった! ヴァレリアは何度もサインを出していたのに‥‥‥。もう少しでお前を‥‥‥。失うところだった!」


 ヴァレリアがアナスタシアだったなど、俺にはどうでも良いことだ。俺は「ヴァレリア」が好きなんだ!  


 ‥‥‥。何より、俺はお前の心に惹かれたのだから。何にも囚われない、自由な心に‥‥‥


 レクターはヴァレリアを力強く抱きしめた。レクターの目には涙が滲んでいた。


「愛してる、ヴァレリア」



ああ愛って本当‥‥‥

今日も少し短かったですねすみません!

てかウードガルザって誰ェェ?!


ここまでお読みくださってありがとうございます。




この話が良いと思ったら広告の下にある☆に点を付けて行ってくださいね!良くないと思ったら☆にZEROを付けて行ってくださいね。


ご拝読ありがとうございました。また読んでくださいね!

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