レクターの能力・二
ヴァレリアはレクターを庇った
レクターが好きだからつい体が動いて・・・
というヴァレリアの言葉を聞き
レクターは怒りで咆哮するのだった!
レーヴァテイン‥‥‥
レーヴァテイン、聞こえるか?
聞こえてたら俺に力を貸してくれ。
目の前にいるコイツをズタズタに引き裂き、消し炭にしたい。
檻に入った魔剣レーヴァテインが話し始めた。脳に直接語りかけてくる。
『ふふっ、レクターか? 私を頼るとは珍しい』
「お前を頼らなければならないくらい、憎い奴がいる」
「グウォォォーーーーッ!!!!」
レクターはまるでこの世の終わりのような咆哮を上げた!
『ヴァレリア、大丈夫だ。すぐ終わらせる』
そう言ってヴァレリアを横たえるレクター。ヴァレリアは気を失っている。出血が酷い‥‥‥
『お前、お前‥‥‥大丈夫なのか? その姿』
ニーズヘッグが恐れながらレクターに聞く。目の前のレクターの殺気とオーラが怖いのだ。
『大丈夫だ、お前はヴァレリアを守れ。自分の心配をしろ』
な、なんだコイツ‥‥‥。先程とはオーラが違う? ていうかよく見たら、肌の色、体格が全然違う。
ザダクは怯んだ。振り向いたレクターの咆哮に。髪の色に、肌の色に、体格に。
その髪はまるで燃えるような金色に変わり、その肌は褐色から紙のように白くなり、白い肌の中で金色の瞳だけがギラギラと輝いて恐ろしい!
な、なんだコイツは‥‥‥
体格はひと回り大きくなっている。ツノも一本だったのが二本に増えている。
『お前、何者なんだよ‥‥‥』
ザダクが絞り出すような声で問う。
『お前には関係ない、どうせ私に殺されるのだから』
私? 確かコイツはさっきまで自分の事を「俺」と言っていたはず。
それに、この溢れ出る魔力! 凍てつく氷河さえも溶かしてしまえそうな殺気!
先程まではコイツにこんな殺気はなかった!
全力で行かないと、負ける? 考えてザダクは身震いした!
そんな無様な事にはなりたくない! 俺は一応あのお方の分身なのだ‥‥‥
『クソッ、こうなったら!』
腕の爪を無くしたザダクは、今度は指の爪を錐のように研ぎ澄ましてレクターの懐に入り込んだ!
俺のこの自慢の速さで。一か八か‥‥‥
『なんだそれは?』
バキンッ!!
『それで私に勝つつもりか?』
レクターの手が‥‥‥。バリアを貼っている。ザダクの錐状の爪を、全て、折って‥‥‥
ザダクはここに来て初めて明確な自分の「死」を意識した。
(あ、俺ここで死ぬんだ)
死を意識したザダクは思わずヒッと情け無い声を上げた。
死を前にすると、ザダクのような高等な悪魔でも情け無い声は出るらしい。
『どこが高等な悪魔だって? 笑わせてくれる。お前は初めての死を前に恐怖でプルプル震えているだけの小鼠じゃないか』
ガッ!
レクターは表情一つ変えずザダクの頭を掴んだ。
『待っ、待ってくれ! 俺を殺すと大変な事になるぞ! 俺の仲間がお前らを‥‥‥殺しにくるぞ!』
『‥‥‥』
『ケケケケッ! お前らは俺くらいの力のある悪魔に一生追われる身になるのだ! せいぜいその身を震わせて待っているがいブシュヴッ!』
聞いた事のない声をあげてザダクは頭から緑の血を流していた。
『ァッ、ガッ、アッ‥‥‥』
『関係ない、どこでどんな奴が現れようと私が倒せばいいだけだ』
恐ろしく冷たい声音でレクターは静かに口を開く。
『血まで汚いんだな、お前は』
グシャッと音を立ててザダクの頭が潰れ真緑の血飛沫と脳と血液が飛び出る。レクターはそれを冷めた目で見ていた。
まだピクピクと動いている身体を先程作った穴に放る。その途端無数の爪が我先にとザダクを屠る。
無数の爪の正体は亡者だった。現世でこの世に戻る事もできない程の罪を犯したのにも関わらず、肉体を求めて彷徨う哀れな亡者。
辛うじて肉体でも何でもない爪が残り、何年もかけて伸びに伸びて体を求めて彷徨うのだ。ザダクの身体はあっという間に亡者の爪に引き裂かれ、千切られ、骨も肉片さえも残さず、ただの塵になった。
『罪を犯した者同士、お似合いだろう』
ザダク、お前の罪は俺の目の前でヴァレリアを傷付けた罪。亡者の仲間となり、死んでもなお地獄を味わうといい!!
や、やるじゃないかレクター!
今回も少し短かったですねすみません!
ここまでお読みくださってありがとうございます。
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ご拝読ありがとうございました。また読んでくださいね。