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ヴァレリアとアナスタシア  作者: 杉野仁美
第一章 ヴァレリアとアナスタシア
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レクターの能力・二

ヴァレリアはレクターを庇った

レクターが好きだからつい体が動いて・・・

というヴァレリアの言葉を聞き

レクターは怒りで咆哮するのだった!

 レーヴァテイン‥‥‥


 レーヴァテイン、聞こえるか?


 聞こえてたら俺に力を貸してくれ。


 目の前にいるコイツをズタズタに引き裂き、消し炭にしたい。


 檻に入った魔剣レーヴァテインが話し始めた。脳に直接語りかけてくる。


『ふふっ、レクターか? 私を頼るとは珍しい』


「お前を頼らなければならないくらい、憎い奴がいる」


「グウォォォーーーーッ!!!!」


 レクターはまるでこの世の終わりのような咆哮を上げた!


『ヴァレリア、大丈夫だ。すぐ終わらせる』


 そう言ってヴァレリアを横たえるレクター。ヴァレリアは気を失っている。出血が酷い‥‥‥


『お前、お前‥‥‥大丈夫なのか? その姿』


 ニーズヘッグが恐れながらレクターに聞く。目の前のレクターの殺気とオーラが怖いのだ。


『大丈夫だ、お前はヴァレリアを守れ。自分の心配をしろ』


 な、なんだコイツ‥‥‥。先程とはオーラが違う? ていうかよく見たら、肌の色、体格が全然違う。


 ザダクは(ひる)んだ。振り向いたレクターの咆哮に。髪の色に、肌の色に、体格に。


 その髪はまるで燃えるような金色に変わり、その肌は褐色から紙のように白くなり、白い肌の中で金色の瞳だけがギラギラと輝いて恐ろしい!


 な、なんだコイツは‥‥‥


 体格はひと回り大きくなっている。ツノも一本だったのが二本に増えている。


『お前、何者なんだよ‥‥‥』


 ザダクが絞り出すような声で問う。


『お前には関係ない、どうせ私に殺されるのだから』


 私? 確かコイツはさっきまで自分の事を「俺」と言っていたはず。


 それに、この溢れ出る魔力! 凍てつく氷河さえも溶かしてしまえそうな殺気!


 先程まではコイツにこんな殺気はなかった!


 全力で行かないと、負ける? 考えてザダクは身震いした!


 そんな無様な事にはなりたくない! 俺は一応あのお方の分身なのだ‥‥‥


『クソッ、こうなったら!』


 腕の爪を無くしたザダクは、今度は指の爪を(きり)のように研ぎ澄ましてレクターの(ふところ)に入り込んだ!


 俺のこの自慢の速さで。一か八か‥‥‥


『なんだそれは?』


 バキンッ!!


『それで私に勝つつもりか?』


 レクターの手が‥‥‥。バリアを貼っている。ザダクの錐状(きりじょう)の爪を、全て、折って‥‥‥


 ザダクはここに来て初めて明確な自分の「死」を意識した。


(あ、俺ここで死ぬんだ)


 死を意識したザダクは思わずヒッと情け無い声を上げた。


 死を前にすると、ザダクのような高等な悪魔でも情け無い声は出るらしい。


『どこが高等な悪魔だって? 笑わせてくれる。お前は初めての死を前に恐怖でプルプル震えているだけの小鼠(こねずみ)じゃないか』


 ガッ!


 レクターは表情一つ変えずザダクの頭を掴んだ。


『待っ、待ってくれ! 俺を殺すと大変な事になるぞ! 俺の仲間がお前らを‥‥‥殺しにくるぞ!』


『‥‥‥』


『ケケケケッ! お前らは俺くらいの力のある悪魔に一生追われる身になるのだ! せいぜいその身を震わせて待っているがいブシュヴッ!』


 聞いた事のない声をあげてザダクは頭から緑の血を流していた。


『ァッ、ガッ、アッ‥‥‥』


『関係ない、どこでどんな奴が現れようと私が倒せばいいだけだ』


 恐ろしく冷たい声音でレクターは静かに口を開く。


『血まで汚いんだな、お前は』


 グシャッと音を立ててザダクの頭が潰れ真緑(まみどり)血飛沫(ちしぶき)と脳と血液が飛び出る。レクターはそれを冷めた目で見ていた。


 まだピクピクと動いている身体を先程作った穴に放る。その途端無数の爪が我先にとザダクを(ほふ)る。


 無数の爪の正体は亡者だった。現世(うつしよ)でこの世に戻る事もできない程の罪を犯したのにも関わらず、肉体を求めて彷徨(さまよ)う哀れな亡者。


 辛うじて肉体でも何でもない爪が残り、何年もかけて伸びに伸びて体を求めて彷徨うのだ。ザダクの身体はあっという間に亡者の爪に引き裂かれ、千切られ、骨も肉片さえも残さず、ただの塵になった。


『罪を犯した者同士、お似合いだろう』


 ザダク、お前の罪は俺の目の前でヴァレリアを傷付けた罪。亡者の仲間となり、死んでもなお地獄を味わうといい!!



や、やるじゃないかレクター!

今回も少し短かったですねすみません!


ここまでお読みくださってありがとうございます。


この話が良いと思ったら広告の下にある☆に点を付けて行ってくださいね。良くないと思ったら☆にZEROを付けて行ってくださいね!


ご拝読ありがとうございました。また読んでくださいね。

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