森の中の出会い
婚約破棄されて晴れて自由の身になったヴァレリア(アナスタシア)
王子の視線に困惑しながらも、なんとか森の奥で休息を取ることになったのだった
森の奥に着く頃には、すっかり夜も更けていた。
「今夜はここで野営かぁ、まだダンジョンに着いてないのに残念」
私がそう言うと、エリーが疲れた様子で言った
「私はもうクタクタです。あ、お水くんできますね、先程川が見えましたので」
「一人で大丈夫?」
「大丈夫ですよ、私もお嬢様には劣るけれど、体力には自信はありますから、戦力はないですけどハハ」
「そうね......」
ヴァレリア様の女中ですもの。これくらい何の事もないんだわ。
エリーのその言葉を鵜呑みにし、エリーが川に水を汲みに行っている間、私はテントを張った。さすがお城、なんでもありだわ。
そこは今まで住んでいたあの城に感謝しなきゃね。
「ぎゃー!!!!」
えっ、今のは......エリーの悲鳴!?
私はテントも途中でほっぽりだしてエリーの声のする方へ走った!
「きゃ......」
そこには体長3メートルはあるであろう見たこともない魔物がおり、カチカチという奇妙な音を鳴らしながらエリーに近づいていた。
それは足は遅く、エリーとは程遠い距離にいたが、エリーも私も初めて遭遇する「それ」に足がすくんでしまった。エリーに至っては腰が抜けているようだ。
エリー!!
やはり一人で行かせるのではなかった!
後悔がぐるぐると頭の中をめぐる。
でも二人で行ったとして私に何ができるのかしら?
動け、動け私の足......
鞘から剣を抜くけれど手が震えてうまく持てない。
無理もないわ、ヴァレリア様も私も体験したことのない事だもの
私とエリーが何もできずガタガタ震えていると、突然魔物の体が真っ二つになった。
ゲェェェッという断末魔をあげて魔物は倒れた。
「え......」
ボーッとして震えているエリーにやっとの事で足が動き、駆け寄る。
「エリー大丈夫!?」
「あ、ああ、お嬢様......あのお方が」
あのお方と言って震えるエリーの指を追うと、先に人影が見えた。
「だ、誰!?」
「チッ、助けてやったのに第一声がそれかよ」
「ふぁっ??」
だっ、誰だお前は!?
果たして男の正体は....
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