レクターの能力・一
前回高等悪魔のくせに散々コケにされたザダク。
怒りのターゲットをヴァレリアに向けるのだった。
『ヴァレリアから地獄を見せてやる!!』
そう言うと、ザダクはギロギロした目を私に向ける。
「えっ? なんで私の名前を?」
『どうでもいいだろうそんな事は!? 散々馬鹿にしやがって!』
「待て、ヴァレリアには手を出させんぞ、特にお前みたいな品性下劣な悪魔にはな」
そう言ってレクターが私の前に立ちはだかる。
『その目は一夜で亡ぶべく一夜で生まれた。魂が光の輝きの中に眠っているときに、私は姿をあらわす』
レクターは何がしかの呪文を唱えた。
「あれ? レクター‥‥‥。炎が」
いつのまにか、レクターは青い炎を纏っていた。
(この炎は最終手段だ、普段は「目」を使って世界を見渡している、お前の事も‥‥‥)
確かレクターは、この炎を最終手段と言っていたわ。この下品な悪魔、相当ヤバいの??
『へぇ〜なかなかやるじゃないの。まあ俺ほどの魔力ではないけど? 仕方ない、お前から殺ってやるよ』
私はレクターの指示で後ろに下がった。ニーズヘッグもそうした方がいいとしきりに頷いていた。
『まずはこの爪で小手調べだ!』
ジャキン!!
どこに隠していたのか音を立ててザダクは鋭い爪を自分の腕から生やした。
「あれは毒??」
その切っ先には毒が仕込んであるのか、毒々しい紫色の液体が滴っていた。
(レクター。‥‥‥大丈夫なの?)
私もジューダとの戦いで、ニーズヘッグと同化した時に毒の霧を出した事がある。その術は私自身に負担がかかるからレクターに禁止されている。
「でもただ見てるだけしかできないなんて‥‥‥」
『王子はお前を守りたいんだろ、まあそれだけじゃ無いと思うが、多分あんな下品で嫌な悪魔にヴァレリアを触らせたくないんじゃないか?知らんけど。俺様も嫌だね、あんなギトギトの奴にヴァレリアを触らせるのは』
おー嫌だ嫌だ、と身震いするニーズヘッグは私の胸の谷間から頭だけを出している。その様子が可愛い!
「ふふっ、可愛い! ニーズヘッグ」
思わず頬擦りをする。
『うわ馬鹿! やめろヴァレリア! 一応戦闘中だぞ!』
背後でギャーギャー言う声を聞きながら、レクターは口を開く。
「なるほど、ではこちらも少し本気を出そうか、毒は苦手なジャンルというか、嫌な事を思い出すからな」
レクターはジューダの戦闘時のヴァレリアを思い出していた。
あの時のヴァレリアは、まだ自分の中のニーズヘッグをコントロールしきれておらず、混乱していた!
ありったけの殺気を俺に向け、紫の瞳は濃くなり。その悪魔のような殺気に俺以外のメンバーは近寄る事ができなかった。
「来ないで来ないで! お願いだから‥‥‥」
あの時のヴァレリアの懇願するような瞳。ヴァレリアの優しさから来る涙と嘘。
もうあんな思いはさせたくない!
バキバキ、バキッ!
青い炎に包まれた王子の姿が変わっていく! 瞳は金色に輝き、牙が生え、背中から羽根が生え、頭からはツノが生える!
「うわぁぁぁ!」
『ヴァレリアうるせーぞ! 黙って見てろよ!!』
「でもレクターにツノが! ツノが生えてますわ! これも魔剣の力なの?」
ブワァァッ!
風が起きたかと思うとレクターがバッサバッサと羽根を羽ばたかせた。
その姿は神々しく、まるで天使そのものだった。
「うわぁ〜レクターかっこいいですわ〜! 私も羽根は一応生えますけどニーズの羽根はゴツゴツしてるからあのふわふわした羽根は憧れます!」
ニーズヘッグは頭を抱えた。
この緊張感のない不思議お嬢様の発言にいちいち反応してたらキリがない!(怒)
レクターはその様子を見てクスリと微笑むとザダクに向き合う
「さぁ、やろうか」
前回ふざけたせいでザダクがあんまり強く無さそう、と友達に言われました( ;∀;)一応ニーズヘッグが恐れる程には強いつもりでした。
すみません直します。
長くなりそうなので一旦ここで切ります。
ヴァレリア様相変わらず危機感なくてワロタ
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ご拝読ありがとうございました。また読んでください。