見てないようで見てる
ヴァレリア様と入れ替わったアナスタシアは、ヴァレリアの健康な体をたっぷり楽しんでいた
それは外に出ていよいよ発揮された
生きている事が嬉しい、楽しい!
しかし同時に、ゾッとするような視線を感じるのだった
「わはははは!! 最高の気分ですわ!」
馬に乗るのは初めてではなかったが、入れ替わる前はいつも体のどこかが痛かったので、ヴァレリア様の体になってからどこも痛くならない。
(素晴らしいわ!)
「お嬢様〜! 少しペースを下げてくださいませんか?お嬢様の馬は速くて......」
見るとエリーの目がぐるぐると回っている。
「あ、エリーごめん」
言いながら馬の速度を落とした。
「初めての外だから興奮しちゃった」
「いくらなんでも飛ばしすぎです」
「ははっ、ごめんね! ちょっと速度落とすね」
素晴らしい!
生きている事が素晴らしい、何て素晴らしい体なの!目も良く見えるし......
「ほらエリー見てご覧、もうお城があんな遠くに......」
ゾッ......
な、何かしらこの悪寒は、悪寒というより
視線?
城のテラスでこちらを見ている王子と目が合った......
気がした?
ああ、国のしきたりで見張っているのか。
ヴァレリア様が、城から去っていくのを。
ズキッ......
(今の私はヴァレリア様ではない、ではないのに)
何故か、胸が痛む。
「......でも、もう今更どうにもならないのだし......」
ヴァレリア様のお父様にも今頃、通達が行っている頃だわ。
「さあ、行きましょう?エリー」
私は王子の視線を振り切るようにして、そうエリーに声をかけた。
入れ替わった方のヴァレリア様、あと少しで出てきます
アナのポテンシャル高すぎて好き
ここまでお読みくださってありがとうございます。