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ヴァレリアとアナスタシア  作者: 杉野仁美
第一章 ヴァレリアとアナスタシア
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ユーリの先祖

ヴァナルカンドの口から語られるユーリの先祖


※説明が長くて読みにくいかもしれません!あらかじめご了承ください。

 ヴァナルカンドはひと息ついて、やがて話し始めた。


 昔、気の遠くなるほど昔の事。


 今よりまだ世界中に悪魔が蔓延(はびこ)っていた頃、この地方で悪魔対神の魔法戦争が勃発した。その争いの波はやがて世界を巻き込み、世界中の悪魔と神と人間が争うようになっていった。


 お前の先祖はその時代において、人類を勝利に導いた神の血族だった。


 だが一人、敗退した悪魔の中でダントツに強かった悪魔、後に大魔法使いになるのだが‥‥‥そいつだけは負けた後もしつこかった。


 その執念は凄まじく、形を変え、姿を変え。時には人間に姿を変えて‥‥‥お前の先祖を付け狙っていた。


 そこで、危機感を覚えたお前の先祖は遂にその悪魔を完全に封印したのだ。しかしその頃には神の血はだいぶ薄くなっており、悪魔を封印する時に多くの犠牲を払った。


 悪魔は(おぞ)ましい断末魔をあげ、憎しみと共に深淵に堕とされてしまった。


 しかし、悪魔の執念はそこで終わってはいなかった。散り散りになった悪魔の細胞が、何年も、何百年も長い時間をかけて繋がり。深淵で(うごめ)きながら、静かにタイミングを狙っていた。そして(ようや)く世界中から己の血肉が集まった時ーーーー


 すでにこの世には、その悪魔に敵うほどの魔力を持つ人間はいなくなっていた。それはお前の先祖であっても、同じだった。


 大戦後、長い時間をかけて悪魔と神と人間は二極化し、ある者は合意し、ある者は共存し、もう悪魔と人間が戦う必要が無くなっており、自然と人間の持つ魔力も減っていった。


 悪魔はチャンスだと思った! 人間と悪魔の事情などどうでもいい! ただ自分を長い間深淵に閉じ込めていたヤツへの恨みを果たせればそれで良いと! 大魔法使いの人間に姿を変えた悪魔は、お前の父親を見つけ出し、そして。お前の母親共々死に追いやった。


 ただ誤算が一つだけあった、それはユーリ、お前の存在だ。悪魔はお前の父親を殺せた事に満足し、お前の存在に全く気付いていなかった。


 そして、その悪魔がまだその一族の血が。ユーリが生き残っていると知り、双子を送り込んだ。施設側としては、まさかの出来事だった。


 ユーリの存在を隠すために、敢えてこのような辺鄙(へんぴ)な場所に施設を建設したのに。悪魔の憎悪を、甘く見すぎていた。


 そんな‥‥‥


「でもそれは、父さんは関係なかったじゃないか! その悪魔が敗退したのも、その悪魔を封印したのも。みんな父さんのご先祖様がした事で‥‥‥」


『悪魔にはそんな論理が通用しないヤツもいるからな。血が途絶えない限りしつこく粘着してくるヤツもいる』


 血‥‥‥血族ーーーー


 僕のせいで先生達は殺されたのか? 僕が、人類に勝利を(もたら)した凄い人の血族だったせいで?でも‥‥‥


「でもそんな凄い人が俺の父さんの血筋なんて信じられない。俺も父さんも、貴族でもなんでもないのに」


『目立たぬように()えてそうしていたのかもしれんな。その辺りは俺も詳しくは知らない。だがお前の父親が人類を救った偉大な魔法使いの血族だという事実は変わらない』


 そうでなければ、こんな場所にわざわざ隠れるように施設を設置したりはしない。


 ユーリはゴクリと唾を飲み込み、恐る恐る聞いた。


「僕の‥‥‥両親を、殺した大魔法使い。悪魔の名前は?」


『おお、そういえばまだ言ってなかったな。お前の両親を殺したのは‥‥‥。アンリ‥‥‥』


 その時だった。


 一層瘴気が強くなり、ヴァナルカンドの両脇にいた何かが(うごめ)いた。


「‥‥‥! この気配!! まさか‥‥‥」


 ユーリが叫ぶ!


「ん?!」


 ヴァレリアには聞こえていた。ニーズヘッグとは違う、もっと邪悪で低脳な悪魔の、地の底から這うような呻き声が‥‥‥


「誰だ!!」


 ヴァレリアは言いながら立ち上がった。


 体が紫のオーラを纏い、冷たい毒素がヴァレリアの周りを囲む!


「ユーリ! ヴァレリアから離れろ!」


 ヴァレリアの毒に気付いた王子がユーリをヴァレリアから引き剥がす!


「ヴァレリアさん!? 王子、ヴァレリアさんは大丈夫なんですか?」


「‥‥‥大丈夫だから安心しろ。ユーリお前は少し下がっていた方がいい」


 王子はヴァレリアを見る。


 ヴァレリア‥‥‥力が強くなっている? 膨大な怒りのエネルギーをヴァレリアから感じる。感情が昂っているからだろうか。


「お前らか? 長い間ヴァナルカンドを苦しめて繋げていたのは」


 そこにいたのはあの双子だった。


「あ、ああっ‥‥‥」


 ユーリがへたり込む。


 ヴァレリアがユーリの前に、ユーリを庇うようにして立ちはだかる。


(ヴァレリアさん‥‥‥)


 ヴァレリアさんの、紫の瞳が濃くなっている。


 ヴァレリアはユーリの方を振り向いた。


(大丈夫よ)


 ヴァレリアはユーリにウインクをして見せた。


 ーーーー悪魔の双子


「リューフェロとリュツィフィだな」


えっユーリの先祖ってそんなすごい人だったの?

今回説明が長くて読み辛かったですね。すみません。


ここまでお読みくださってありがとうございます。

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