ヴァレリアへの興味
やっと城の外へと出、心を弾ませるヴァレリア(アナスタシア)
しかしその生き生きとした姿に王子は違和感を拭えない
おかしい、ヴァレリアはあんな風には笑わなかった......
「気が変わったのでしょうかね? 不思議な事もあるものですね。王子?」
(......)
そうだあの女は、俺に冷遇されても地位に固執するような女だった。
「でももう婚約破棄をされたようですし、お嬢様は自ら城を出られた、王子もその事は確認済みだということを侯爵様に伝えておきます」
そう言ってシリウスが踵を返そうとした。
「待て、シリウス、まだポンパドゥール侯爵には伝えるな」
侯爵に告げようとするシリウスの足を止め、
「......この事はまだ誰にも言うな」
「えっ?」
何故かわからないが。
この違和感を、このヴァレリアへの湧き上がる興味を、
「婚約破棄」
の一言で、それだけで終わらせてしまうには違うと直感的に思った
レクターの瞳に、静かに仄暗い炎が揺らめいた
「......ッ......」
シリウスは思わず息を詰まらせた。
この一見聖人のように見える王子は、時々ゾッとするような闇を感じる時がある。
凍てつく氷河さえ凍りつかせてしまうような、
仄暗い、青く、冷酷な瞳。
そしてこの王子の瞳が金色に光った時には、もう誰の言葉も届かないことももちろん知っていた。
(畏れ多い、あの瞳の光、目が合うだけで殺されそうだ......)
シリウスは王子の瞳から目を逸らした
(この目で確かめたい......この違和感の正体を)
レクター王子はもうヴァレリア様の事しか考えてないようだ。
シリウスは肩を落として言った。
「はい、仰せの通りに」
王子かなりわがままですね
今まで当たり前にあったものが急になくなって惜しくなったとかいうアレですか?
王子の目論見は果たして!?
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