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ヴァレリアとアナスタシア  作者: 杉野仁美
第一章 ヴァレリアとアナスタシア

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旅の前に‥‥‥

ヴァレリア達は覚悟完了したユーリと共にヴァナルカンドの救出に向かう。

しかしヴァレリアには決定的なミスがあった。

「さあ張り切ってヴァナルカンドを救出に行きますわよー!」


 ヴァレリアはものすごく張り切っていた。


「ちょっと待てお前そんな装備で大丈夫か?」


「ん? 私の装備何か変かな?」


 周りを見渡すと、セトもユーリもレクターも、エリーでさえ、毛皮のモコモコな暖かい装備に着替えていた。


「ええ〜! 何それぇ?! エリーまで!」


 顔をほのかに赤くしたエリーが


「お嬢様が出かけている間、セトと買いに行ったのです」


 ええ〜? と残念がるヴァレリアに王子が声をかけた。


「ヴァレリア、買い物にいくぞ。どうせお前の事だから、一人で買い物にも行ったことないだろう?」


「はぁ? そういうレクターは一人で買い物に行ったことあるんですか?? あっ、王子」


 慌てて自分の口を閉じるヴァレリア。


(私、王子じゃなくてレクターって呼んじゃった!)


 くすくすとエリーが笑う。


「大丈夫ですよ。もうみんな分かってますから」


「えっ!」


「そこの道具屋さんで装備を揃えてきてください。私たちは先にヴァナルカンドのいる雪山に向かっていますから」


 私がポカンと口を開けて立ち尽くしていると、レクターが手を引く。


「ほら、行くぞ」


「で、でもみんな」


「あとで追いつくから心配ないよ。俺を誰だと思ってる?」


「いや私が言ってるのはそういう事ではなく、いやそれもあるんですがブツブツ‥‥‥」


 道具屋に行くと色んな装備が揃っていた。


「はわぁ〜? 私こんなの見た事ありませんわ!」


 ヴァレリアは店に入るなり、全身を覆うタイプの甲冑を見てほわ〜とか、ひぇーとか言っている。


「レクター見て見て、この兜! 目のところだけ見えるように上げ下げできるようになっているのですわ!」


「うん」


「わぁ〜マントも沢山置いてある。この肩当てセトの装備にそっくりですわ!」


「うん」


(ヴァレリアはまるで子供のようにはしゃいでるな、こういう店に来るのも初めてだろうからな。可愛い)


 ヴァレリアのはしゃぐ様子を可愛いなと思って見ていると、


「ねぇねぇレクター。どうかしら?」


 ヴァレリアがそう言って見せてきたのは、明らかにサイズの合ってない兜だった。しかも全然似合ってない。


「うん‥‥‥ヴァレリア、お前にはその装備は重いと思う。セトが着ているようなのがお前に着れると思ったのか?」


「むぅ〜、残念ですわ。わああ!」


「ヴァレリア!」


 兜を元の場所に戻そうとしたヴァレリアがバランスを崩して倒れそうになった。


 慌てて片手で兜、片手でヴァレリアを受け止めた。


「ほら、言わんこっちゃない! 重いだろヴァレリアには」


「ご、ごめんなさい」


 ぎゅっとヴァレリアが俺の服にしがみついてきた。


「どうした? お前から抱きついてくるなんて珍しいな」


「なっ! ち、違います! ちょっと、怖かっただけで」


 店主が咳払いをした。


「お客さん、買うの? 買わないの? イチャイチャするだけなら店外でお願いしたいんだが?」


 それを聞き、顔を真っ赤にしたヴァレリアが俺から離れた。


「あ、これは失礼。この毛皮のマントと皮製の‥‥‥」


 ここで着替えた方がいいだろう。というレクターの言葉で、試着室で着替えて、そのままお会計という流れになった。


「おっ、お客さん、多すぎですよ! お会計!」


 店主が慌ててレクターを引き留め、余ったお金を返そうとするのを制し、レクターは答える。


「お店で騒いだ詫びだ。受け取ってくれ」


 ポカーンと口を開けたままの店主を後に、その場から立ち去った。


「ありがとうございます。これすごく暖かいですわ!」


 馬に乗りながら、私はレクターに礼を言う。そうか、ヴァナルカンドは雪山で繋がれているのですものね。先程の装備のままでは凍死一直線でしたわ!


「ヴァレリアに似合いそうな装備があってよかったよ、あの店はなかなか品揃えが良いな」


「レクター、どうして買い物ができるんですか? 私にはさっぱり意味がわかりませんでした。お釣りとか‥‥‥」


 私は何気なくレクターに質問する。意外にもレクターは答えてくれた。


「昔親父と街によく来ていたんだ。その時に従者が払っているのを見ていて覚えたんだ」


 先王様と‥‥‥


「親父は時々、気晴らしに民衆に紛れて城下町に来る事があったんだよ。俺は親父に連れられてよく色んな街に連れて行かれた。まぁ、俺が4歳になる頃には、それもなくなっていったが」


 4歳?


「俺が4歳の時、王族の子女によるちょっとした催し事があったんだ。それは表向きはただの子供劇場だったんだが、公爵たちに後の王たる力を見せつける場でもあった」


「それで、どうなったんですの?」


「お陰様で、滞りなく終わったよ」


 4歳の頃から、王の威厳を見せないといけないなんて。


 でも‥‥‥


「王子の謎を一つ知れましたわ。ありがとう! 話してくれて」


「ハハッ、まぁこのくらい、王子として当たり前だからな! さあ急ごう、エリーたちが待ってる」


 そうしてレクターは、私の馬とレクターの馬、両方に何事か呪文を唱え始めた。


『夜ごと、朝ごと。光のごとく走れ! 脚よ!』


 馬の脚が光を帯びる! ヒヒーンと鳴き、駆け出す!その速さはまさに光!


「うわぁぁぁー!」


 あまりの速さに目がぐるぐる回る。


「ヴァレリア、しっかり掴まって」


 レクターが私に呼びかける声が聞こえた気がするけど、私の頭は恐怖で混乱していた! 早すぎる! 怖い〜!


「わぁ〜! ひぇぇ〜!」


 あっ、そういえば!


「助けてニーズヘッグ! ストゥルルエッダ!」


 紫の光がヴァレリアを包み込み、ヴァレリアは悪魔化した!


「なっ‥‥‥!」


「はははっ、これで丁度良いわ! 馬よ、もっと早く走れ!」 


 ヴァレリアがそう言うと、乗っていた馬が一層早く走った。気のせいか、ヴァレリアの口調が若干荒くなっている

半分ニーズヘッグだからか?


「ヴァレリア(怒) ! 勝手な事をするな!」


「はははは! こりゃいいわ! 先程までの恐怖を感じない! むしろ風が気持ちいいくらいだわ。もっと早くこうしてれば良かったわ」


 あー、とレクターは顔を覆った。


「ヴァレリア、お前は悪魔化にまだ慣れていない筈だ。そのまま突っ走ると大量にエネルギーを消費して、着いた頃には潰れてるぞ」


 ヴァレリアは俺の言葉に何も答えず、ニヤニヤしながら馬を走らせていた。紫の瞳が異様にギラギラしていた。


 感覚が研ぎ澄まされ、どこへ行けばいいかがわかる!この能力、すごい!


「ハァ〜、全く‥‥‥何も起こらなければいいのだが」


 一抹(いちまつ)の不安を抱え、王子はヴァレリアを追い、馬を走らせるのだった。


旅までの王子とヴァレリア様のイチャラブが描きたくて。

そんなにイチャイチャしてないですね( ;∀;)


ここまでお読みくださってありがとうございます。





この話が良いと思ったら広告の下にある☆に点をつけて行ってくださいね!

良くないと思ったら☆にZEROを付けて行ってくださいね!


ご拝読ありがとうございました。また読んでください。

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