おかえり
王子とヴァレリアとエリーは晩餐会を終えて、
王子はシリウスに挨拶もせず(笑)城を後にするのだった。
ヴァレリア達は一旦ライヒの街に戻ってきた。
セトとユーリ、それからケルベロスが待つお店に寄る。
「あ、いたいた! セトなら酒場にいると思ったんです」
エリーを見たセトが片腕を上げ、おかえり〜のサインをした。ユーリはセトの隣でちょん、と座っていた。
「セトとユーリ、体格が全然違いますわー! 可愛い〜」
「ヴァレリア様、あのですねぇ」
「おいヴァレリア、お前はこっち」
そう言うと王子がヴァレリアの腕を掴んで店外に連れて行った。
「はぁ、王子ありがとうございます」
ヴァレリア様がいたら、また話が進むものも進みませんわ。
「お前どういうつもりだよ。あんなヤツがいるなんて聞いてなかったぜ」
セトの声がして振り向く。
エリーはユーリが座っている椅子と逆の方に腰かける。セトの目の前にはセトの知り合いが立っていた。
セトの知り合いの名前はオシリスといった。
「すまんすまん、フレスベルグのナワバリじゃないからって油断していた。なんか気が立つような事があったんだな」
フレスベルグ‥‥‥その名を聞いて何かに気付いたようにユーリがグラスを置く。
「気が立つような事ぉ?」
オシリスはセトに説明しながらエリーに向けて口を開いた。
「お嬢さん、何か飲みますか?」
「いやこいつは未成年だ、まだ酒は飲めねぇよ」
「おお、そうなのか? 大人びているからてっきり」
セトはチッと舌打ちをした。
「お前はあまりエリーを見るな。エリーはこいつの事を見るな」
脳筋のセトは言うことがむちゃくちゃである。それを聞いてエリーが思わず吹き出す。
「ぷぷぷ、相変わらず面白い人ですね」
「‥‥‥とにかくこの依頼は」
セトが薬の材料集めの依頼を断ろうとした時だ。
「俺がやる、フレスベルグにも何か理由があるんだろう? 俺が話を付けてきてやるよ」
いつのまに変わったのだろう、ユーリの前髪が上がってアレクが出てきていた。
「うわ、これお前お酒じゃねぇか!」
そう言いながらセトがオシリスの方を見る。
「? 何か問題があるのか? 美味そうに飲んでたぞ」
オシリスがそう悪びれもなく言うと、アレクが高笑いをした。
「最近全然出番がなかったからな、入れ替われて気分爽快だぜ、今から行く! セト、ケルベロスを頼む! ケルベロス、お利口さんで待ってろ!」
オオオ〜ンとケルベロスが高らかに吠えて返事をする。
「あっ、ちょっと待てアレク!」
セトを無視してアレクは飛び出して行った!
「はー、どいつもこいつも」
セトは頭を抱えた。
「私が見てきましょうか?」
そう言って、アレクのあとを追おうとするエリーの腕を慌てて引きながらセトは言う。
「‥‥‥いい、ほっとけ。アレクのレベルだったらちょっとやそっとじゃ死なないさ、お前はもう少し俺に付き合え」
「? はい」
それを聞いてオシリスが笑う。
「ハハハ、セト何だそりゃ! 素直にお嬢さんに寂しかった、側にいて欲しいって言えよ!」
「‥‥‥ッテメェ!! 余計な事を言うな!!」
「あら、そうだったのですね、私がいない間寂しかったですか? セト」
「むむぅ、うーむ」
セトは赤くなった顔を誤魔化すように酒をぐいとあおった。
エリーの手を強く握ったまま‥‥‥
なんだこの可愛いカップルは‥‥‥
ごめんなさい今回も少し短かったですね。
次回、アレクの活躍が見れるかも?
ここまでお読みくださってありがとうございます。