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ヴァレリアとアナスタシア  作者: 杉野仁美
第一章 ヴァレリアとアナスタシア
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ヴァレリアへの違和感

城から出て行くヴァレリアとエリーザベト


その姿をお城のしきたりで仕方なしにレクター王子が見届けるのだった......

 コンコンッ!


「レクター様、只今ヴァレリア様と女中が城を出ました」


「シリウスか?わかった」


 従者のシリウスが俺を呼びにきた。


「見送らなくても宜しいので?ポンパドゥール侯爵様には何と告げれば」


 レクターはめんどくさいと言うように思いっきりため息を吐いた。


「わかった、俺の目で確かめよう。あの者が自らこの城から去る様を」


 この城にはいくつかしきたりがあり、一度でも婚約を破棄された者や王族に無礼を働いた者は身分に関係なく城に居られなくなり、実家に帰るか、もしくは自ら城を去るという事が決まっている。


 それを王子自らが確認し、王子が確認したという事を親族に伝えなければならないのだ。


「こちらへどうぞ、ここからの方が見えやすいので」


 テラスに案内される。

そこから見たのは馬に乗って駆けていくヴァレリアの後ろ姿だった


 なんだ、あの女は

 あんな、宮廷には似つかわしくない格好をして......

 ヴァレリアは派手好きじゃなかったか?


「シリウス」


「はい」


「あれは本当にヴァレリアか?」


「はい、(まこと)にヴァレリア様でございます」


 ヴァレリアはあんなに生き生きとしていただろうか?

どちらかと言うと部屋に引きこもって、延々と他の姫候補の悪口を女中と一緒になって笑う下品な女だったような。


 その時一瞬だがヴァレリアの横顔が見えた。

隣で同じように馬に乗って走っている女中に対し向けられたその笑顔は、悪口を言う下卑た笑いでもない、かと言って媚びを売るような笑みでもない。

 心から生きる事を楽しんでいるような......


「何か......様子がおかしいですね」


 俺が感じた違和感をシリウスが代弁した。


「以前は王子に冷遇されてもこの城に(かじ)り付くことに必死なように見えましたが、今のあの方は解き放たれたかのように見えます」


 シリウスの言葉は、まるで俺の言いたい事そのものだ。


 解き放たれた?

 どこから?

 ここから?


 .....誰から?


 笑顔で駆けていくヴァレリア。

 その笑顔には、地位にも権力も、この城も、


 俺さえも

 もう見えていない......


王子は特別に気になる人がいなかったので、

突然のヴァレリア様の豹変に戸惑っているみたいですね

ははは、もっと戸惑うがいいさ!


ここまでお読みくださってありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] もしかして、全編見直してる? 筋を変えずに読みやすくなってるヽ(=´▽`=)ノ
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