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ヴァレリアとアナスタシア  作者: 杉野仁美
第一章 ヴァレリアとアナスタシア
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無防備なヴァレリア様!

アナスタシア(ヴァレリア)様は久しぶりに悪夢を見ずに済んだ

一方本物のヴァレリア(アナスタシア)様は久しぶりに自室のベッドでぐっすりと寝ていたのだった

 翌朝‥‥‥


 ヴァレリアは久しぶりに自室のベッドで目覚めた。うーん、宿屋の硬いベッドもいいけど、やはり自室のフカフカのベッドも捨てがたいですわ〜!


「ん?」


 ニーズヘッグがまだ寝ている。寝顔が可愛いわ、と思わず頬擦りしようとすると、そこへレクターがヌッと顔を出した。


「うわぁぁぁ!!」


 私は思わず自分の顔を枕で隠す!


「お嬢様〜? どうかされましたか?」


「あっ、エリー! レ、王子がいつのまにか私の部屋に!」


「ああ、それは私が頼んだのですよ。ニーズヘッグがあんまりにも眠っているので、深夜に暴れるのではないかと心配で」


 大丈夫ですよ! ニーズヘッグは起きなかったです!


 いや、そういう事ではなくて‥‥‥


「おはようヴァレリア。よく寝ていたな、昨日はありがとう」


「お、おはようございます?」


 私は訳が分からなくて、エリーに何故ここに王子が?というジェスチャーをした。


 エリーはクスクスと笑いながら


「ごめんなさい、まだお嬢様が心配で私の独断で王子に来ていただいたんです。それに王子もヴァレリア様の事が気になっていた様子だったので」


「エリー」


 王子がエリーを制す。


「おっとお! そういえば私はまだ朝食を運んでいなかったのでしたわ。すぐに持ってきます」


 バタバタとエリーが出ていく足音を聞きながらレクターが口を開く。


「はぁ、エリーには敵わんなぁ」


「レクター。エリーが朝食を運んで来る間に私は着替えてきますから、ニーズヘッグの様子を見ていて下さいね」


「ああ」


 それにしてもニーズヘッグのやつ良く寝てるな。そう思ってレクターが顔を近づけた時、ニーズヘッグが飛び起きた!


『ベーッ! 騙されてやんの!! どうせお前が来ると思って寝たフリしてたに決まってんだろ!』


 そう言いながらニーズヘッグはレクターの顔を引っ掻こうとした。


「おっと」


 ニーズヘッグの攻撃を難なく避けるレクター。


『お前お前お前! 完璧すぎて生意気なんだよ! 見てろ!』


 そう言ってニーズヘッグはヴァレリアの衣装部屋に向かった。


 ニーズヘッグとヴァレリアの会話が聞こえる。


「あらニーズ、起きたの? ずいぶん寝てたじゃない」


『びぇーん、ヴァレリア聞いてくれよ! 王子が俺様の事をいじめるんだ!』


「まあ、またニーズが何かしたんじゃないの??」


『俺様はこんなに小さくなっちまったし、ヴァレリアに魔力もほとんど取られちまったんだぞ! 今の俺様に何ができるってんだ』


 ガタガタッ!


「ちょっと待って! まだ私着替えてないんですから!」


『ヤダーー!! お前のおっぱいを貸してくれなきゃヤダーー!!』


 まるで子供のように騒いで暴れるニーズヘッグ。


「はぁ‥‥‥何をやっているんだアイツは」


 キィィィィン‥‥‥!


 レクターの目が金色に変わる。


『ストゥルツイ!」


 レクターが何かを詠唱した!


「キャァ! ニーズ! どうしたの!?」


 バタァン!


「レクター! 大変! ニーズヘッグが突然気絶しちゃったの!」


「うわ! ヴァレリア! 着替え中に出てくるな!!」


 ヴァレリアは布を体に巻きつけたような格好で慌てて出てきた!


「わかったわかった! そいつを俺に渡せ! なんとかするから、お前は早く着替えてこい!」


 レクターは出来るだけヴァレリアを見ないようにしながらニーズヘッグを受け取り、ヴァレリアを衣装部屋に戻した。


「はぁ、はあ、なんてやつなんだ。ほんとに危機感がないなヴァレリアは」


 そこへエリーが朝食を運んで来た。


「王子? どうなされましたか?」


 レクターはハァ‥‥‥とため息を吐き、衣装部屋の扉を背にズルズルとその場に崩れ落ちた。


「エリー、ヴァレリアは何故あんなに危機感がないのだ? 朝から非常に疲れた」


 エリーはああ、と思い当たるような仕草をした。


「王子、私が離席していた間に何かあったのですか?」


 レクターはエリーに事の経緯(いきさつ)を説明した。エリーはそれを聞いて今まで溜まっていたものを吐き出すように言った。


「それはもう、お嬢様は王子に心を許しているからですわ。お嬢様は気付いていないようですけど、」


「? それはどういう事だ?」


「それはご自分でお考えください、全く二人とも鈍感でいらっしゃる‥‥‥」


「えっ」


「だから私も王子のお嬢様の部屋への入室も許可したのですけど、お二人とも、私のお膳立てにも全く気付かなくてこちらがブツブツ‥‥‥」


 その時着替えを終えたヴァレリアが衣装部屋から出てきた。


「レク、王子、ニーズの様子はどうですか?」


「それからお嬢様は、もっと王子を信用すべきだと私は思いますよ!」


 えっ? とヴァレリアはポカンと口を開けてエリーを見た。


「では私はこれで失礼します。馬の整備をしてきますのでね、お二人はどうぞごゆっくり朝食を食べててくださいね」


 エリーはそう言うと、部屋を後にした。


「えっ‥‥‥エリー、少し怒ってた? 何故かしら」


「うーむ‥‥‥」


 王子はテーブルに腰掛けて頭を抱えた。


二人とも無自覚というのがもうね。好きだー!!(大声)


ここまでお読みくださってありがとうございます。





この話が良いと思ったら広告の下にある☆に点を付けて行ってくださいね。良くないと思ったら☆にZEROを付けて行ってくださいね。


ご拝読ありがとうございました。また読んでくださいね。

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