表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヴァレリアとアナスタシア  作者: 杉野仁美
第一章 ヴァレリアとアナスタシア
52/269

追跡の途中で

前回アナスタシア(ヴァレリア)様は覚醒し、ニーズヘッグを逆に取り込み、見事悪魔と人間のハーフ化に成功

フレスベルグを王子と共に追跡する。 


その頃、バルカ城ではシリウスが青ざめていた。

 その頃バルカ城にてシリウスは一人で青ざめていた。


 マクシミリアン公爵主催の晩餐会に王子が招かれている!!


 マクシミリアン公爵。

 本名マクシミリアン・イネス・ド・フリードリヒ。


 先王の弟君で、先王とは違いまだまだ現役。


 このマクシミリアン公はたびたび晩餐会を開いては、甥のレクター王子を招待し、ご自身の大好きな投資の話をするのである。


 公爵様の長くて小難しい話を、聞けるのは王子しかいない‥‥‥ハンニバル様も、投資の話を振られてもまずわからないだろうし、ああああどうしたらいいのだ!


 あ、そうだ。王子を戻せばいいのだ! 簡単じゃないか? いつまでも遊ばせておくわけにはいかん。


「誰か、王子に早馬を走らせてこの手紙を届けてくれないか?」


 シリウスは王子の部屋の前で待機していた従者に手紙を託した。


 * * *


「こらー! 待ちなさいフレスベルグ!」


 バサバサと逃げるフレスベルグを追うが、フレスベルグは鷹の悪魔である。あっという間に見えなくなってしまう。


「ああ!」


「大丈夫だよヴァレリア。俺にしがみついて」


「む、また王子頼りですか?? もう王子はどれだけ無限なんですか?」


「ハハッ! ほら、フレスベルグが行ってしまうぞ!」


「あ、はい!」


 私は慌てて王子にしがみついた。


「しっかり捕まってろよ」


「うわぁぁぁ〜!!」


 そこからはまるで一転、私の翼とは比べものにならないスピード!


「きゃああー!!」


 私は王子にしがみつく腕に力を込めた。少しでも油断したら落ちてしまいそう。


 王子は私を抱きしめた。


「大丈夫、俺がいる限り落とさないよ」


 震える私に優しく話しかける王子、安心すると同時に私は下に広がる風景を見て戦慄(せんりつ)した!


「大変王子! 私はどうやら高所恐怖症のようですわ!」


「なんだそれは、面白いなヴァレリアは!」


「だからスピードを落としてくださーい! 王子ィィィ!!」


 王子はヴァレリアが珍しく焦っているのが面白くて、思わず笑ってしまう。


「何笑ってるんですか!? こっちは怖くて死にそうなんですよ?」


「可愛いな。ヴァレリアは」


 王子はヴァレリアの頬に思わず口付ける。


「ちょっとドサクサに紛れて何やってるんですか! ひぇぇ〜! 怖い!」


 可愛い‥‥‥愛しい。


「ヴァレリア、やはり俺と結婚してくれないか?」


「ひぇぇぇー! 今それどころじゃないんですよ!」


「はいと言わないともっと早くするぞ?」


 ヴァレリアはカーッとなって王子を殴った!


 バチィッ!


「いてぇ!!」


「そんな事、この状態で考えられるわけないじゃないですか!」


 それを聞くと王子は空中で止まった。


「はぁ、はぁ怖かった‥‥‥」


「では真面目に、ヴァレリア。俺と結婚してくれないか?」


「嫌です!」


 速攻で振られた!!


「‥‥‥私は王子の事、まだ好きか、わからないです。お城にいた頃は義務感から、ある程度覚悟はしてましたけど。もし、王子とそういう事になるのならもっと王子の事を知ってからにしたいです」


 なるほど‥‥‥


「では手始めに、その『王子』という呼び方をやめてみないか?」


 はい?


「レクターと呼んでくれ。ヴァレリア」


 レクター‥‥‥


「そう呼んだら、王子の色々な秘密を‥‥‥教えてくれますか?」


「ああ、約束しよう」


 そう言ってまた頬に口付けしようとする王子の唇を止めた。


「何度も同じ手は食らいませんわよ! 今の私はニーズヘッグを支配しているのですから!」


 ヴァレリアはそう言いながら胸を張る。さっきまで高所恐怖症だのギャーギャー騒いでいたというのに。


 王子は思わず吹き出してしまう。


「ははは、本当に面白い女だなヴァレリアは!」


「な、何が面白いんですの? かっこいいでしょ? この姿」


 緋色の髪が伸び、爪も伸びて、輝く紫の瞳、背中にはドラゴンの羽根。


 そしてでかい胸。


「うん、エロ‥‥‥かっこいいな!!」


「どこ見て言ってるんですか!?(怒)」


 がるるる、と今にも襲ってきそうなヴァレリアを誤魔化(ごまか)すように。


「さぁ、フレスベルグを追うか!(汗)」


 と、王子が言った時だ。


「ん?」


「どうしたんですか?」


「うーん、ヴァレリアすまん。良くない知らせだ」


 王子はヴァレリアを抱えたまま地面にゆっくりと降りた。


「どうやらシリウスが俺に向けて早馬を走らせているようだ。誤魔化しが効かない事態が発生したのだな」


 フレスベルグを追うのはこれが終わってからにしよう。


「なんで私までレクターの用事について行かないといけないんですか? 私はフレスベルグを追いますわ」


「まだ飛行に慣れていないのに、その翼をあまり酷使するな、しかも先程追いつけなかったではないか」


「むぅ‥‥‥」


 私と王子は、ひとまず地上に降りて、王子に向かって早馬が来ているであろう場所に向かった。



王子は確実にアナスタシア(ヴァレリア)様のことを好きになってますねこれ。


ところでマクシミリアンってかっこいい名前ですよね。


ここまでお読みくださってありがとうございます。




この話が良いと思ったら広告の下にある☆に点を付けて行ってくださいね。良くないと思ったら☆にZEROを付けて行ってくださいね!


ご拝読ありがとうございました。また読んでくださいね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 私のニーズヘッグが······食べられました······ え? 私のじゃない?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ