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ヴァレリアとアナスタシア  作者: 杉野仁美
第一章 ヴァレリアとアナスタシア
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無自覚な二人

前回アナスタシア(ヴァレリア)様は持ち前の精神力でニーズヘッグと王子を驚かせた。

結局、ケルベロスはユーリが受け取る事になった。

 結局ユーリはケルベロスをもらい、連れて行く事になった。


 ケルベロスはすぐにユーリに懐き、ぐるぐると言ってユーリにすりすりしている。すごい! ユーリって動物使いなのかしら。


「なんか俺らのパーティー、色んな奴がいるな」


「私はもう諦めましたよ。もう誰が仲間になろうが驚きませんわ」


 エリーが遠い目をして言った。


「はははは! エリーはいつも誰かのフォローに回って大変だなぁ! 安心しろ、俺はお前の味方だ、なんかあったら俺に言え」


「セト‥‥‥ありがとう」


 ああー久しぶりにセトとエリーのイチャイチャを見る事ができましたわ! 相変わらず尊い!!


 ヴァレリアは胸にニーズヘッグを挟んだまま拝む。


『ぐへ! ヴァレリア! 俺様を挟んだまま拝むな! また俺様を潰す気か!?』


 ニーズヘッグの言葉もどこ吹く風で、ヴァレリアは涼しい顔をしている。


 その様子を見て王子がまたイライラしていた。


 クソッ、あいつを小さくするのではなかった! いやでもあいつがヴァレリアの中にいるとヴァレリアが苦しむ。それはもっと嫌だ‥‥‥


 ヴァレリアがニーズヘッグの力を「イムブレカーティオ」によって解放した事は、ニーズヘッグにとって都合のいい事だった。


 ニーズヘッグがヴァレリアの中にいると悪魔の力が増加し、悪魔としての記憶も宿主の体に影響を与えるので、この先ヴァレリアはずっとニーズヘッグに苦しめられるのだ。

 だが俺ができる事は、せいぜいニーズヘッグを弱体化し、小さくする事くらいだ。悪魔との契約など、初めから無き物にする事ができれば全て解決するのに‥‥‥


(‥‥‥。アイツに頼んでみるか? しかし‥‥‥)


 ヴァレリアの方を見ると、すっかりニーズヘッグを支配下に置いているように見える‥‥‥何よりヴァレリアがニーズヘッグを可愛いがっている。最初は悪魔など嫌がっていたのに。


 不思議な女だ‥‥‥アレクみたいな変わり者も、害をなしていたジューダの事も、悪魔ニーズヘッグでさえも。受け入れてその心を掌握(しょうあく)してしまう。しかも当の本人は無意識のうちに。


 俺の心も‥‥‥? ヴァレリアに惹かれている? ヴァレリアが‥‥‥


「うーむ、もう少し様子を見るか‥‥‥」


 王子は独り(ひとりご)ちた。


 そこへセトが依頼書を持ってやってきた。


「今回の依頼だが、もう夜だからな。明日やろう。大丈夫今回の依頼は先日より比べたら俺とエリーだけで充分クリアできるさ」


 一行はエリーが見つけた宿屋に宿泊することになったが。


「ちょっとなんで王子が私と一緒の部屋なんですの?」


「私がいるからいいじゃないですか‥‥‥それに王子はお嬢様を守るためにいるのですよ。お嬢様の暴走を止められるのは王子しかいないのですから」


 エリーがため息を吐きながら言う。


「いつもは私が止める立場なのに、お嬢様は王子がお嫌いなのですか?」


「えっ? えーと。嫌いではありませんけど、秘密が多すぎて信用できないのです」


「ユーリは知り合ったばかりで一緒の部屋で寝ようとしたのに? 変なお嬢様ですねぇ」


 あれ? 確かにユーリの事は信用できるのに、何故王子の事は信用できないのかしら? 秘密を話してくれないから? でも何故? 私は何故王子の秘密をこんなにも知りたいのかしら?


 んー?? とヴァレリアは首を(ひね)る。


「まぁまぁ、あんまり深く考えずに。寝るぞヴァレリア。来い」


 そう言うと王子はベッドにヴァレリアの腕を引き、包み込むように抱きしめ、寝始めた。


「ちょっと、まだ私は考え中で‥‥‥」


『そうだぞ王子、お前と添い寝など死んでも嫌だ‥‥‥』


 あれれ? 王子の腕、安心する‥‥‥


「スヤァ」


 ヴァレリアはニーズヘッグと共に眠りについてしまった。


 クスクスとエリーが笑う。


「どうせすぐ寝てしまうのに、王子の力はすごいですね。ありがとうございました」


 エリーは()えて王子の力について聞く気はないようだ。


(ニーズヘッグも寝たし、これで夜中に起きて暴れるような心配はないだろう。でも心配だからもう少しこのままでいるよ)


「柔らかくていい匂いがするし、抱き心地は最高だし、もう少しこのままでいるよ」


「心の声と逆になってますわよ王子?(ニッコリ)」


 しまった!


「しまった!」


「お嬢様は私が守りますわ! 王子様とて結婚するまでは例外ではないんです! おどきなさい!」


 エリーはまたデッキブラシを振り上げた! エリーそのデッキブラシはどこで手に入れたんだ!?


「すまん!」


 と言って王子は窓から逃げてしまった。


 やれやれ、と文句を言いながらエリーはヴァレリアの寝顔を見た。


 ヴァレリアは幸せそうな顔をして寝ている。


「お嬢様は、王子の事が好きなんですね‥‥‥」


 お嬢様はお気付きになってないでしょうけど。


無自覚な両思いの二人に周りが振り回されるパターン好きなんですよね(難儀な性癖)


ここまでお読みくださってありがとうございます。

次回は少しバトルシーンあります。




この話が良いと思ったら広告の下にある☆に点をつけて行ってくださいね。良くないと思ったら☆に0付けて行ってくださいね!


ご拝読ありがとうございました。また読んでください。

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