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ヴァレリアとアナスタシア  作者: 杉野仁美
第一章 ヴァレリアとアナスタシア
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紫の瞳の意味

前回毒と炎の魔法によりジューダとヒュドラを倒したアナスタシア(ヴァレリア)様

力の暴走で汚い言葉や殺気により周りを混乱させてしまう

そんな中王子だけは優しく抱きしめるのだった

 それから。


 私と王子は宿屋に戻り、エリーに手当てをしてもらっていた。


 王子は部屋の窓から外を見ている。


 エリーは時々回復魔法を詠唱しながら私の傷を治している。私は悪魔と、王子のおかげでほとんど無傷で済んだけど。


 悪魔は王子と昔からの知り合いのようだったけど、どういう関係なんだろう?怖くて聞けない。


「ねぇ、エリー」


「はい、ヴァレリア様」


「さっきはごめんなさい、私貴女に酷いことを言ってしまったわ」


 私はジューダとの戦いの後、毒の散布を恐れてエリーに酷い事を言ってしまったのだ。


『来るな! エリー! 誰も触れないで! 私に‥‥‥触れたらコロス!』


「いいんですよ、今までも親からしょっちゅう浴びせられた言葉でしたから、それに、そもそもお嬢様はあの時は正常じゃなかったのでしょう?」


「‥‥‥」


「ヴァレリア様。私はかねてから、ヴァレリア様の体に異変があるのはお城にいる頃から知っていました。黙っていましたけど」


 え‥‥‥じゃあ悪魔のことも、もしかして入れ替わった事も知ってるの?


「ヴァレリア様がアナスタシア様に憧れているのも知っていました。いつもアナスタシア様の黒い瞳を夢を見るように見つめていましたもの、その時はまたアナスタシア様の方を見てますね、とか、(たわむ)れで話し掛けたりできたんです。でも‥‥‥」


 でも?


「ヴァレリア様は時々、ものすごく冷たい表情を見せる時があったのです。その時ばかりは、とても話しかけられる気配ではなかった。有無を言わせず‥‥‥。まるで何かが取り憑いたような」


 ドキンドキン!心臓が早鐘を打つ‥‥‥


「あの時のヴァレリア様にはまるで、あ」


「エリー、セトが呼んでるぞ」 


 その時王子がエリーの言葉を遮るように声を発した。


「えっ、セトが? あ、すぐ行きます。王子ありがとうございます」


 パタパタ、と急いで降りていくエリーの足音を遠くに聞きながら私はどこかホッとしていた。


「まだ早いよ、エリーに聞かせるのは」


 そう言った王子の顔は、逆光で見えない。王子、どこまで知っているの?何を知っているの?あの悪魔は、何者なの?

 どうして悪魔は王子を知っているの?


「ヴァレリア、驚いただろう。まさか本当に悪魔が取り憑いていたとはな」


 まるで、前から知っていたかのような口ぶり。


「お前のその紫の瞳は、かなり珍しいんだ。そしてその色の瞳を持つ人間は、高確率で悪魔に取り憑かれている」


 えっ?


「俺は、前までお前のその紫の瞳が、嫌いだった。じっと見ていると吸い込まれそうで」


 そう言いながら、王子は私の頬を撫でる。


「だが今、その紫の瞳が、すごく愛しい。可愛いらしい。なんなんだろうな、この気持ちは」


 そんな‥‥‥ヴァレリア様の瞳にそんな意味があったなんて。


「でもなぜ、私に悪魔は取り憑いたのかしら?」


 ヴァレリア様は、何故悪魔に取り憑かれたのかしら?


「さぁ、でも悪魔は、人間の心の弱さにつけいるからな。ニーズヘッグもきっと、虎視眈々《こしたんたん》と狙っていたのだろうな。お前の体に入る時を」


「ニーズヘッグ??」


 あ、やべ、というような顔をして王子が口を抑えた。


「ああ、お前に取り憑いている悪魔の名前だよ」


 王子はそう言いながら私の横に腰掛ける。


 王子の瞳を見ると、青に戻っていた。


「ニーズヘッグは狡猾(こうかつ)で、かなり頭がキレる悪魔だ。自分が敵う相手なら容赦はしないが、確実に勝てないと分かった相手には媚びへつらう」


 なるほど、この紫の瞳の持ち主は悪魔が取り憑いてる人だったのね‥‥‥それにしても。


「どうして王子は私に取り憑いている悪魔と親しげに話してたの?」


「うーん? 親しげ? いや、そうでもないよ。ハハハ、何と説明したらいいか、どこから話せば良いか‥‥‥」


 うーん、何かこの王子‥‥‥秘密が多すぎていい加減腹立ってきましたわ?!


「教えなさいよ! ニーズヘッグと王子はどういう関係なんですか!?」


 私は王子にずいっと迫って言う。王子は私と目を合わせない。


「うーん、関係というか、知っている程度というか。あ、そうだ! ニーズヘッグは悪魔だが、命の危機が迫ったりしたら宿主を守ってくれるぞ!そういうメリットもある!」


 王子は思いつく限りの逃げ口上(こうじょう)で話を逸らそうとする。


「それは先程の戦いでわかりましたわ!今は王子の事を聞いてるんです!」


 ずいっと王子の目を見つめる。私は無意識に王子の肩に手を置いていた。


「よし、ヴァレリア」


「何ですか?」


「キスしてくれたら教えてやるよ」


「なななな、何を言ってるんですか!? するわけないじゃないですか」


 私達がぎゃいぎゃい言い合っていると、そこへ、エリーが難しそうな顔をしてやって来た。


「ヴァレリア様、村長さんがきてますがどうしますか? お会いになりますか?」



王子とアナスタシア(ヴァレリア)様はお互い自分たちの気持ちが惹かれ合っている事に気付いてません(つもり)です

無自覚両思い好きなんだよなぁ。

あれ?でも王子はキスしてたようn


ここまでお読みくださってありがとうございます。


この話が良いと思ったら広告の下にある☆に点を付けて行ってくださいね!

良くないと思ったら☆にZEROを付けて行ってくださいね!


ご拝読ありがとうございました。また読んでください。

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