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ヴァレリアとアナスタシア  作者: 杉野仁美
第一章 ヴァレリアとアナスタシア
36/269

ハンニバルの来訪

色々と思う通りにいかないアナスタシア(ヴァレリア)

とんでもない事実に驚愕し、倒れてしまう。

「あ、これはこれは、ハンニバル王子」


 アナスタシアの侍女たちがハンニバルを見て深々と礼をする。ハンニバルはそれに手を挙げて答える。


「うん、アナスタシアはどうだ? 礼拝堂で倒れていたと聞いたが」


「うなされております、どうやら相当なショックがあったようで‥‥‥」


 ハンニバルは(レクター)の代わりにアナスタシアを見に来ていた。アナスタシアは苦しんでいる。苦しそうな吐息が(かす)かに聴こえてくる。


「レクター王子?」


 アナスタシアが疲れた表情をこちらに向ける。


「残念ながらハンニバルだ。王子は城を出てるから俺が代わりにきた」


「そう‥‥‥」


「泣いていたの?」


「ええ、私、馬鹿な事をして。ショックで倒れてしまったみたいで‥‥‥」


 自分が嫌になる‥‥‥


「馬鹿みたい、全部自分のせいなのに。情けなくて涙が止まらない」


 ハンニバルは黙って聞いている。


「ごめんなさい、私ひどい顔してるの。肌も浮腫(むく)んで本当に酷い」


「俺は気にしないよ」


 そう言うと、ハンニバルはアナスタシアの手を握る。


 透き通るように白い、柔らかくていい匂いがする。でも何故か、その美しさが悲しい‥‥‥何故だろう?


「‥‥‥ハンニバル様は私の見た目がどれだけ酷くても、お気になされないのですか?」


「俺は、気にしないよ」


 そう言って御簾(みす)をあげ、アナスタシアの顔を見ると、黒曜石のような黒い瞳から涙が溢れている。


 その黒い瞳、俺はとても綺麗だと思うけどな。


「全然酷くないよ? それよりどうして泣いているの?」


「‥‥‥。私、自分が情けなくて。全部自分が、自分が悪いのに!」


 アナスタシアは思わずハンニバルの手を握ってしまう。


「ごめんなさい、しばらくこのままでいさせてください」


 カタカタとアナスタシアの白い手が冷たく震えている。


「行かないで、私を置いて行かないで‥‥‥」


「うん行かないよ、ずっと側にいるよ」


 ハンニバル様‥‥‥レクター王子とは違うのに‥‥‥優しい。


 誰かの優しさに飢え、寂しすぎたアナスタシアはやっとぐっすり眠る事ができた。



ごめんなさい短かったですね!

次回は冒険に戻ります?


ここまでお読み下さってありがとうございます。

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