表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヴァレリアとアナスタシア  作者: 杉野仁美
第一章 ヴァレリアとアナスタシア
32/269

二重人格

前回エリーに非礼を詫びたレクター王子

アレクにも謝りたいとエリーに部屋を案内される

ヴァレリアを担いだまま(笑)

「王子、この子は二重人格なんですって。幼い頃のトラウマのせいでアレクという別人格になってしまうんですが、普段は大人しくていい子なんですよ。王子が見たのはアレクになっていた時なんです」


「二重人格‥‥‥そうか」


 そういう人間もいるのだな。どういう過程でそうなったのだろうか?


「私もユーリに出会って初めてそういう性質の人に出会いましたわ」


 アレクの顔を見る。まだあどけない少年のような寝顔。


「トラウマ、か。哀れな男だったんだな、だったら尚更悪いことをした。一体何があってこんな風になったんだ?」


「そこまでは聞いてないですわ」


(心の傷はなかなか治りませんもの、私の心の傷も、まだ完全には癒えていない)


 冷え切った窓から聞こえる幼い日の嘲笑。

 病弱で死人のようだと笑われた日々‥‥‥


 それを今話せと言われると、私には無理だ。

 ユーリの過去も、いつか話してくれるまで待とう。


「まあ、人にはそれぞれ事情があるのですから。お城での礼儀作法も、外の世界の方が全員できるとは思わない方がいいですよ。庶民からしてみれば、王子の方が浮いた存在なのですから」


「うーむ」


「それで、王子は私達についてくるのですか? それならば王子はまず人の気持ちを考えることから始めた方が宜しいと思いますよ。王子の我儘に振り回されて仕方ないと思えるシリウスのような人は外の世界には多分どこにもいませんよ?」


 私は王子に私を諦めてもらいたいのと、城に戻ってもらいたい一心でベラベラと偉そうに話す。


(うーん‥‥‥ヴァレリアさん、ヴァレリアさん、ごめんなさい‥‥‥)


 ユーリ、うなされている?


 ユーリの手を安心させるように握り締め、汗ばんだおでこに手を当てる。


「大丈夫ですよ、私は大丈夫! アレクに入れ替わったばかりでちょっと混乱しただけだったんですよね?」


『お眠りなさい

 お前、我が青春の友よ

 (あし)と薔薇とに囲まれて‥‥‥』


 ヴァレリアは子守唄を歌って聴かせる。

 その途端に、ユーリの表情が和らいだ。


 ムカーッ!!(怒)


 なんだこの男は!!ヴァレリアに触られた途端スヤッスヤじゃないか!事情が分かってもイライラする。大体ヴァレリアはなんだ?アレクにベタベタ触りおって、子守唄まで聞かせて。


 ヴァレリアの手を握り、アレクから離す。


「お前はこの男に触るな。この男の事情が分かっていてもイライラする!」


「わぁ! 王子! 驚いた。でも(うな)されてるんだから仕方ないじゃないですか!」


「でもその男にお前が触っているとイライラするんだよ」


「? わけがわからないです。あ、じゃあ王子も私と一緒に触ります? ユーリも落ち着くと思いますよ」


「うむ、それだったらまだ許せる」


 エリーがそっと部屋の様子を見に行った。


 そこにはユーリに王子とヴァレリア様がベタベタ触って、ユーリが魘されているというこの世の終わりのような光景が広がっていたという‥‥‥



王子とアレクの仲直りはなかなかうまくいきそうにない気がしますね!


ここまでお読みくださってありがとうございます!



この話が良いと思ったら広告の下の☆に点を付けて行ってくださいね。良くないと思ったら☆にZEROを付けて行ってくださいね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 王子、中学生か!! そしてユーリ…いや、何も言うまい。 なんか、少し自分のそんな時期の事を思い出してちょっと懐かしいような、そんな気分になってしまった( ;∀;)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ