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ヴァレリアとアナスタシア  作者: 杉野仁美
第一章 ヴァレリアとアナスタシア
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アレクとユーリ

アナスタシア(ヴァレリア)様はユーリの痛みを自分と重ね、ユーリを抱きしめるのだった。

アナスタシア(ヴァレリア)はユーリの事が心配で、ユーリと一緒の寝室で寝るのだった。

 ん?

 何か、体が重い?

 声が、出せない?


「‥‥‥ッ!?」


 私の上にはユーリ?が乗っていた。

 いや、前髪が上がっているから、アレクサンドル?


「つくづく馬鹿なお嬢様だな。俺とユーリを救うだの、偽善が過ぎて心の底から同情するぜ」


 アレク‥‥‥


 アレクが私の口を押さえているので、私は声が出せない。


「どうだ今の気持ちは? 信じようと思った相手に、これから裏切られる気持ちは」


 アレク、ユーリ‥‥‥


 アレクが苦悶の表情を浮かべている。私には分かる。

本当は私にこんな事をしたくないのだ。ユーリも、アレクも。混乱の中で、自分でもどうしていいかわからない。


 苦しみながら吐き出しているだろうその言葉が、悲しい。


 私の両目から涙がツーっと流れる。


(ユーリ、アレク。寂しいね、悲しいね)


「ッ! なんなんだよ! お前は!」


 アレクが咄嗟に私の口を塞いでいた手を退ける。その手は、心なしか震えていた。


「アレク、大丈夫。私もアレクも‥‥‥大丈夫ですから、落ち着いて」


 そう声をかけようとした時だ。


 バリンッ!と窓が割れる音がして、男が突然部屋に入ってきた。


「えっ‥‥‥レクター、王子??」


 何故ここに‥‥‥


 有無を言わせずレクター王子はアレクの下にいる私の腕を強引に引っ張り、その腕に私を抱き込む。


「お前‥‥‥俺の婚約者に何をしようとした?」


 王子はアレクを始め、その場にいる全員を射殺すような目で見回した。


「エリー、お前は何故ヴァレリアを守らない?」


「‥‥‥っ!!」


 先程まで寝ていたエリーは王子の殺気に当てられて震えて声が出せないでいる。


 私は慌てて答える。


「王子、これは私が頼んだ事なのです。エリーは関係ないのです、エリーを叱らないで」


「‥‥‥フン、まぁいい。俺の目的はヴァレリアお前だったからな。ところでお前」


「お前」と呼ばれていたのはユーリだった。

 ユーリも王子の殺気に当てられて、なす術も、返す言葉もない様子だった。


(ユーリ? 今はユーリなの?)


「お、(おそ)れ多い事をしたようで、申し訳もございません」


 言いながらユーリは即座に王子に向かって(ひざまず)いた。


 やめて、王子!

 ユーリを傷付けないで!


「ヴァレリアに触るな、これは王子の命令だ」


(本当は、両腕を燃やしたいところだが‥‥‥今日は勘弁してやるよ)


「‥‥‥ッ! ちょっと待って!! どこへ‥‥‥!?」


 王子はそのまま自分が割った窓から出て行った。

 訳の分からないまま、私は王子に連れ去られてしまった。


(エリー! アレク、ユーリ‥‥‥!!)



急にドロドロしてきたんですが(笑)

王子強引すぎるだろ?


ここまでお読みくださってありがとうございます。



この話が良いと思ったら広告の下の☆に点を付けて行ってくださいね。良くないと思ったら☆にZEROを付けて行ってくださいね。

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― 新着の感想 ―
[一言] …え?王子。アンタ何処から来とんねん!ってか何時から見ていた!?
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