アレクとユーリ
アナスタシア(ヴァレリア)様はユーリの痛みを自分と重ね、ユーリを抱きしめるのだった。
アナスタシア(ヴァレリア)はユーリの事が心配で、ユーリと一緒の寝室で寝るのだった。
ん?
何か、体が重い?
声が、出せない?
「‥‥‥ッ!?」
私の上にはユーリ?が乗っていた。
いや、前髪が上がっているから、アレクサンドル?
「つくづく馬鹿なお嬢様だな。俺とユーリを救うだの、偽善が過ぎて心の底から同情するぜ」
アレク‥‥‥
アレクが私の口を押さえているので、私は声が出せない。
「どうだ今の気持ちは? 信じようと思った相手に、これから裏切られる気持ちは」
アレク、ユーリ‥‥‥
アレクが苦悶の表情を浮かべている。私には分かる。
本当は私にこんな事をしたくないのだ。ユーリも、アレクも。混乱の中で、自分でもどうしていいかわからない。
苦しみながら吐き出しているだろうその言葉が、悲しい。
私の両目から涙がツーっと流れる。
(ユーリ、アレク。寂しいね、悲しいね)
「ッ! なんなんだよ! お前は!」
アレクが咄嗟に私の口を塞いでいた手を退ける。その手は、心なしか震えていた。
「アレク、大丈夫。私もアレクも‥‥‥大丈夫ですから、落ち着いて」
そう声をかけようとした時だ。
バリンッ!と窓が割れる音がして、男が突然部屋に入ってきた。
「えっ‥‥‥レクター、王子??」
何故ここに‥‥‥
有無を言わせずレクター王子はアレクの下にいる私の腕を強引に引っ張り、その腕に私を抱き込む。
「お前‥‥‥俺の婚約者に何をしようとした?」
王子はアレクを始め、その場にいる全員を射殺すような目で見回した。
「エリー、お前は何故ヴァレリアを守らない?」
「‥‥‥っ!!」
先程まで寝ていたエリーは王子の殺気に当てられて震えて声が出せないでいる。
私は慌てて答える。
「王子、これは私が頼んだ事なのです。エリーは関係ないのです、エリーを叱らないで」
「‥‥‥フン、まぁいい。俺の目的はヴァレリアお前だったからな。ところでお前」
「お前」と呼ばれていたのはユーリだった。
ユーリも王子の殺気に当てられて、なす術も、返す言葉もない様子だった。
(ユーリ? 今はユーリなの?)
「お、畏れ多い事をしたようで、申し訳もございません」
言いながらユーリは即座に王子に向かって跪いた。
やめて、王子!
ユーリを傷付けないで!
「ヴァレリアに触るな、これは王子の命令だ」
(本当は、両腕を燃やしたいところだが‥‥‥今日は勘弁してやるよ)
「‥‥‥ッ! ちょっと待って!! どこへ‥‥‥!?」
王子はそのまま自分が割った窓から出て行った。
訳の分からないまま、私は王子に連れ去られてしまった。
(エリー! アレク、ユーリ‥‥‥!!)
急にドロドロしてきたんですが(笑)
王子強引すぎるだろ?
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