無知は罪なお嬢様 二
セトの説得でアレクと入れ替わり、倒れてしまったユーリ
ユーリを見てアナスタシア(ヴァレリア)はユーリと自分を重ねて哀れに思うのだった
「絶対ダメです」
「ええっ!? 今夜くらいはいいじゃない?ユーリも昏睡しているし」
エリーは若干イライラしながら答える。
「あのですね、ヴァレリア様は男を甘く見過ぎですわ。大人しそうに見えて男はみんな狼なのですから! ユーリとて例外ではないのですわ!」
どうやらヴァレリアとエリーは、今夜の寝床の事で言い争いをしているようだ。
「はははは! 何を言っているのエリー! ユーリが狼なわけないじゃないですか? 人間ですよ、まぁ時々人格が変わったり、そういう意味では少し変わっているかもしれませんが」
「そういう意味ではないのですわーーーー!!!!」
ギャンギャンとエリーの怒鳴り声が店中に響く。
セトは思わず飲んでいたビールを吹いた。
「お嬢、エリーの言う通りにしといた方がいいんじゃないか? 確かにユーリの時はまだ安心かもしれんだろうが、万一アレクになった時がなぁゴニョゴニョ」
エリーがキッとセトを睨む。
「ユーリでもアレクでも、どっちでもいけませんよ!」
「あ〜すまんすまん。エリーこっち来い、お菓子をやるから、な?」
結局、ユーリとエリーと私の三人部屋にしてもらいました。
「エリー? セトと一緒の部屋じゃなくていいんですの?」
はぁー?この世間知らずのお嬢様は!
何を言ってるのでしょうか??(怒)
「いいんです! 結婚するまでは貞操は守るって誓ってるのですから。お嬢様だって、そうだったでしょう? お城での規則で」
「それはそうですけど‥‥‥」
ヴァレリアは少し目を伏せて言った。
「私はもう王子の婚約者ではないのです。自分の意思で、自分の人生を楽しんでみたいわ。それに、私はユーリを信用しています。私たちは、理解し合える『友』だという事を! 例えアレクが出てきても、信じます」
(信じてみたいのです)
はぁ〜‥‥‥と、エリーが長いため息を吐いた。
「何かあったら起こして下さいね! 例えユーリであろうとお嬢様に指一本でも触れたらボコボコにしますからね!」
そう言うと、エリーはさっさと布団を被ってしまった。
‥‥‥ありがとう、エリー。
なんやそーい!
アナスタシア(ヴァレリア)様、人を信用しすぎじゃないですかねぇ?
でも私もユーリを信じたい!
次回は我儘強引ク●王子が出てきます!
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