女神アルマの金の枝
※このお話はep.251の「開いた心」の続きです。
バルカ宮殿からヴァレリアの自室に戻ったアナスタシアたち。エリーの手によってすっかり綺麗になった部屋に入るなり、ニルは嬉しそうに背中から何かを取り出すのだった。
バルカ宮殿からヴァレリアの自室へ移動したヴァレリアたち。
「金の枝ですって?」
サラスィアをベッドに寝かせたエリーが口を開いた。
『おう! これを見てくれ!』
背中から金の枝を取り出し、ニルが口を開いた。
『俺様はずーっと考えていたんだ。この金の枝がある限り俺様とヴァーリャは変な事に巻き込まれ続けるんだと!』
(あのヒトデのような悪魔、ブエルとの対峙も‥‥‥全部、全部この金の枝が招いた事なんだ。でもそんな不吉な物を「お礼に」とよこすだろうか?)
『俺様はお前とは違う! 体は悪魔であっても、ヴァーリャが好きだから一緒にいる!』
ニルはブエルと対峙した時の事を思い出して身震いした。
「その金の枝は、確か女神アルマ様を助けた時に渡されたのですよね?」
ヴァレリアがニルに問う。うむ、とニルが頷く。
『この金の枝の効果、俺様なりに考えてみたら、どうやらそれだけじゃないみたいなんだよな、じゃないとお礼にってこれをくれないと思う。そこで‥‥‥。アナスタシア!』
「えっ? わ、私?!」
『俺様が考えてる事が本当なら、お前の体はアナスタシアのままでいられると思う』
「えっ‥‥‥どういう事? ニル」
『この金の枝さー、単純に《持ち主の願いを叶える》系なんじゃないかと思って。で、優しい優しい俺様は、アナスタシアを助けてやろうと思ってな!』
「ニル‥‥‥」
ヴァレリアが感動して瞳を潤ませたのを見て、ニルは照れくさそうに俯いた。
『元々、ヴァレリアを闇落ちさせたのは俺様だったから‥‥‥ヴァレリア、いや今はアナスタシア。が望むことを叶えてやりたいんだ、せめてもの償いに』
ニルの言葉を聞いたアナスタシアは驚いた。
「ニーズヘッグ‥‥‥。あなた本当にあの邪悪なニーズヘッグなの?」
『うるせぇよ!// 俺様も今のヴァーリャと一緒に過ごすうちに変わったの! で、お前はアナスタシアのままでいいの!? 本当はもっと早くこれを使うこともできたけど、アナスタシアの意見も聞かなきゃならないからな! どうだァ俺様優しいだろ〜』
「あ‥‥‥」
(あれほど願ってやまなかったアナスタシアの体。結局は余計に自分を苦しめる事になってしまった‥‥‥だけど、私にはハンニバル様が! 全てを知った上で私を受け入れてくれる方がいる)
「ええ、ニーズヘッグ。私! 私は、この姿のままがいい! たとえ体が虚弱でも」
『じゃあ決まりだな!』
そう言ってニルが枝を天にかざす。
『金の枝! 俺様の願いを聞いてくれ!』
ニルの声に応えるように、金の枝は光りはじめる。
『おお! なんか知らんがなんとかなりそうだ!』
俺様すげー!! というようにニルがヴァレリアの方へ顔を向ける。
そこには笑顔を浮かべ、頷くヴァレリアがいた。
『ヴァーリャ〜!!』
ニルは思わず嬉しそうにヴァレリアの胸に飛び込んだ。
パァン!!!!
その瞬間、金の枝がより一層光ったかと思うと、音を立てて割れた。
『あ、金の枝が‥‥‥割れちまった!!』
「あ、あ‥‥‥ハンニバル、様」
「きゃあ! レクター!」
「いやぁー!! お嬢様!!」
『ぎゃあああ!! ヴァーリャ!!』
キィーーーーン!!
ヴァレリアとアナスタシア、二人の周りを金の光が包み込んだ!
『やべぇぇぇ!! ヴァーリャ!! アナスタシア!! 無事? 無事だよな!?』
* * *
「ん?」
バルカ宮殿から別室に移動していたレクターが、何かを感じて振り向いた。
「どうした? レクター」
「いや、今何か聞こえたような」
ヴァーリャとニルの声が聞こえたような‥‥‥
うわ〜!どうなってしまうのかー!?てかニルはもっと早くそういう事して欲しかったよね!笑
ここまでお読みくださってありがとうございました。




