そうとわかったら早速婚約破棄
前回ヴァレリアお嬢様と体が入れ替わってる事に気が付いたアナスタシア
理解の早いオタク気質のアナスタシアは、早速やりたい事をしまくって入れ替わった体を思いっきり楽しんでいた
ある朝起きたら何故か私の体は、ヴァレリアお嬢様と入れ替わっていた。
ヴァレリアお嬢様のこの丈夫な体!! 朝から食欲全開の胃袋! 日を浴びても痛くならない肌と瞳! これを利用しない手はないわ!
(ごめんなさいヴァレリア様!)
そうとわかれば早速......
* * *
場所は変わり、バルカ王国バルカ城の宮殿にて。
「おやヴァレリア様、女中も付けずにどうされました?」
ふと見ると、エリーザベトが息を切らしながら自分を追いかけて来ていた。
(この体、足も速いのね。いけないいけない、今の私はヴァレリアお嬢様なのだわ)
「あは、ははは私とした事が少々急ぎすぎてしまいましたわ! 女中はあのように私を追ってきてます、急ぎの用事があってやって参りました! どうぞレクター王子にお目通りをお願いします」
王子の部屋の護衛兵は一瞬怪訝な顔を浮かべたが、ふむ、と言って通してくれた。
「おや、珍しいものだ、君が訪ねてくるとは」
そう冷たく言い放つ人物は、この国の王子。
レクター=グリンデンバルド・バアル・ド・バルカ王子
俺の部屋からずっと遠ざけていたのに。
ヴァレリア、顔と体は非の打ち所がないほど美しいが、俺の好みではなかった。緋色の下品な髪に、妖しい輝きを放つ紫の瞳。それに、性格もあまり良い噂は聞かない。
ちょっとした事でキーキーヒスるし、なんでも一番にならないと気がすまない。特にアナスタシアへの当たりは目も当てられないと聞く。
上流階級の娘という事もあり、部屋を遠ざけることしかできなかったが、できれば朝から会いたくない顔だ。
「レクター王子、失礼ながら。婚約を辞退したくて参りました。王子にはまだ他にもたくさん婚約者候補様がいらっしゃるので私との婚約は破棄させて頂きたいのです」
捲仕立てるような私の口上に王子は一瞬ポカンとしていた。
が、それも一瞬だけだった。
「そうか、分かった」
王子はそう一言だけ言って、私はあっさりと婚約破棄された。
どんだけ嫌われてたのヴァレリアお嬢様……(汗)
「そうか、分かった」
あのあきれたような、内心ホッとしたような物言い
冷たい、氷のような声だった......
わー最初の方だからかまた短いですね!
ヴァレリア様視点はもう少ししたら出てくるので気長にお待ちください
ここまでお読みくださってありがとうございます。