セクメトの可愛さ
新年一発目の本編なのに今回はヴァレリア様出てきません( ;∀;)
ヴァレリア様ァァァァ〜!!
※今回は珍しくオシリス視点です。
※覚えてない方のために第三章のこれまでの(雑な)あらすじ紹介。《長いので飛ばし読みしてください》
突然オシリスの酒場に現れたオシリスとセトの弟セクメト。よりによって一番関わってはいけないヴァレリア様を襲いかける。
レクター王子の逆鱗に触れ、ウードガルザに変身したレクターに氷漬けにされる。
セト兄弟とユーリと共に氷漬けのセクメトを見て大爆笑《ユーリは笑ってない》。セクメトが逆ギレ。せっかく眠っていたアレクを呼び起こし、アレクの逆鱗に触れてセクメトを殺しかけるがオシリスに弟だから殺すのは許してと言われアレクは呆れる。
ホルスが現れ、セクメトをここまで連れてきたのは自分だからとセクメトを故郷に連れて帰ると言う。
再びセクメトのいる森へレクターを伴って訪れ、元気よく暴れだしたセクメトがDQN理論を展開。
一同がどうしようかな、そろそろめんどくなってきたなと思っているところへエリーが登場。セクメトがDQN特有の悪知恵を働かせ、エリーを人質に取ろうとするが、ユーリの魔法でセクメトはその動きをストップされてしまう。
その後エリーは森でセトとイチャイチャ。レクター王子はおんぼろ荘に戻ってヴァレリアと雪合戦。
セクメトはとりあえずオシリスの家で拘束されていたが、少しの刺激でも暴れて手がつけられない。
そこでユーリが実父フランシスと入れ替わり、フランシスはその魔力と魔術書の呪文を駆使してセクメトを三歳くらいの一番可愛いかった時期に退行させたのだった。
* * *
時間はすっかり夜になっていた。フランシスはせっかく変身したのでガルシアに会いに行くとケルベロスと共にバルカ城にさっさと行ってしまった。
オシリスはホルスとホルスの腕の中でだーだー言っているセクメトを伴い、とりあえずいつものようにお店を開くのだった。
「オシリスお兄様、可愛いくなったのは良いのですが、まだ幼いセクメトには酒場はまだ早いのではないですか?眠くなるでしょうし。私はこのセクメトなら平気ですから、お留守番でも別に構わなかったのですが」
「ん〜、その時期のセクメトはまだ一人で用足しに行けなかった気がするんだよな。ホルス行けるか?」
ホルスはそれを聞いて血相を変えブンブンと首を横に振った! 実はホルスは少し潔癖症だったのだ!
「ははっ、だと思ったよ。だからセクメトがぐずって俺があやしている間、ホルスがカウンターに立っていて欲しいんだ。ネフティスに任せてもよかったんだが、あいつのメインの仕事はホールスタッフで、お客のリクエストで踊りもしなくちゃならないからな」
とてもセクメトを任せられる状況じゃないよ。
「えっ!? オシリス何その子! かんわいぃ〜!♡♡♡」
と言っていたらネフティスが現れた。セクメトはバーカウンターの赤ちゃん椅子でお利口さんで座っており、オシリスが作ったメジェドのオモチャをガジガジしている。
「だー! だー! しぇくめと、しゃんしゃい! おねえしゃんだぁれ?」
「えっ//あっ、あたし!?」
ネフティスの目の前にはツヤツヤの黒髪、くりくりの大きな緑の瞳に、触ったら柔らかそうなぷにぷにの頬のセクメトがいた!
えっこれなんていう天使!?
「あたしはネフティスっていうの!」
「ねふてす! よおしくおねがいします! しぇくめと。しゃんしゃいれふ!」
「ぶごぉっ!!」
な、何この天使! 可愛いすぎて鼻血が出たわ!
「オシリスごめん、ちょっと鼻血拭いてくるわね☆」
「あはは、行ってらっしゃい」
幼い頃のセクメトは本当に可愛いんだよな。はっ!!もしかしてフランシスさんはそれがわかっててわざとセクメトを退行させたのでは!? 俺の酒場のマスコット的存在にさせようと‥‥‥。いや、考えすぎか? この時期のセクメトは確かに可愛いが、何しろ手がかかる。トイレにも行けないしな。よく泣くし。
「おしりしゅ、お客! お客しゃま!」
セクメトがオモチャのメジェドを叩いて知らせてくれる。どうやら幼いながらも俺を手伝ってくれているらしい。一生懸命で可愛い。この時期のセクメトは本当に可愛いな。いつからあんな風になったのだろうか?
「ありがとうセクメト。お利口さんだね」
「ん〜。しぇくめと、おいこうしゃん」
俺がセクメトの頭を撫で撫ですると、セクメトはそう言ってドヤ顔をする。ドヤ顔さえも可愛いな。
「へぇ〜、ホルス君ていうの? 君」
「私密かにユーリ君の推しだったんだけどホルス君もいいわねぇ? 可愛い〜、特にこの銀色の髪! ツヤツヤでいい匂いもするわ」
「い、いえ私は‥‥‥。あの」
ホルスはガッツリお姉ちゃんたちに囲まれていた。この酒場にはいろんな人がくる。日々の疲れを癒しに来る者や、儲け話を聞きに来る者、セト達のような冒険者、売れない場末の娼婦。
特に売れない娼婦は、ここ最近で急激に増えた。半分くらいは女慣れしてないユーリ目当てで、半分はいずれは自分達が立つかもしれないダンスホールの出来を見にきていた。
ユーリは母性本能を刺激するのか、あの長い前髪がミステリアスで良いのか、何故か女性にモテモテだった。
「このお店はいいわよね、いい男がたくさんいるし。ユーリ君やホルス君みたいな可愛い子もいるし。何より私達女をモノ扱いしないし」
「そういえば今日はあの子がいないわね?」
「あのお客さばきが上手なエリーって子? そういえば今日は見ないわね」
俺はその会話を聞き、すかさずホルスに目で合図を送った。ホルスは黙って頷き、俺の代わりにカウンターに立った。
「やぁ、お嬢様方。楽しんでいただけてますか?」
「あらぁオシリスさぁん、ちょうどあのよく動く子のことについて話していたのよ。今日はいないの?あの子」
「エリーには三日ほど暇を出したんです。エリーの身内に病人が出てね。いやすみません」
エリーとお嬢様、それに王子のことは一応この街では伏せている。実は一国の王子とその婚約者と女中がこの酒場に出入りしているだなんて、誰も信じないし、色々と情報量が多すぎる! それに例え信じる人がいたとしても、いちいち説明が面倒くさいからだ。
「あらそうなの? そういう事情があるなら仕方がないわ」
はー‥‥‥。俺はお嬢様方には聞こえないようにため息をはいた。エリー、いつのまにか完全にこのお店に溶け込んでいたんだな。エリーには感謝しないといけないな‥‥‥
「ところであそこの可愛い赤ちゃんはどうしたの? ひょっとしてエリーの代わり?」
「やだ貴女、冗談きついわよ! あはははは!」
「ははは、あの赤ちゃんは俺の親戚の子供なんですよ。事情があって預かってるんです」
俺はここでも嘘をついた。セクメトこそ事情が複雑すぎる!とはいえ俺もそろそろ戻らないと‥‥‥。ホルスもそんなに酒の種類に詳しいわけじゃないからな。
「しぇと! しぇ〜と〜! だぁー!」
その時セクメトが手を叩いて嬉しそうに目を輝かせて叫んだ!
「うお! なんだなんだ!? セクメトか!? お前ずいぶん変わったなぁ! 可愛いらしかな?」
セクメトの目線の先にはセトが立っていた。エリーはいない。
「わぁい〜! しぇと〜! だぁ! だぁ! だっこぉ、さぁー!」
「ヤダァだっこぉ、ですって! 可愛いわねぇ! あははは!」
娼婦のお嬢様方が大笑いする。セクメトは焦るあまり、赤ちゃん椅子から落ちそうになっていた。
「セクメト! あぶな‥‥‥」
「おっとぉ!」
セトがすんでのところでセクメトを受け取った。
「かる! ちっさ! セクメトちっさ! 何があったか分からんがきっと罰を受けたんだな。まぁ可愛いじゃねぇか。これなら少々いたずらしても平気っさね」
セトはセクメトを軽々と持ち上げ、高い高いをしながら歩く。
「セトおかえり。エリーは?」
「ん? おおー、オシリス! セクメトはなんか知らんが可愛いくなったみたいだな。エリーはお嬢のところに寄って来るってよ」
「だぁだぁ! きゃっきゃっ!」
セクメトはセトの肩に乗ってご機嫌そうだ。俺は安堵のため息をはいた。
「セト、お前がいない間に色々あったんだが、まぁ落ち着いて話そう。何故セクメトがそんな姿になってしまったのか、とか色々」
言いながら俺はカウンターに戻った。
ごめんなさい第三章の雑なあらすじを説明するためにどうしてもこの話は外せませんでした。フランシスちゃっかり城に戻っててワロタ
セクメトかんわい♡今までの愚行を全部許せちゃいます。何個か候補があったのですが(猫とかね)、結果赤ちゃんに退行させるという事に落ち着きました(?)。
次回はヴァレリア様出てきます!私が会いたいというのが本音!
ここまでお読みくださってありがとうございました。