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ヴァレリアとアナスタシア  作者: 杉野仁美
第三章 セト達の秘密
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ユーリの魔力

ヴァレリアとレクターが雪にまみれてイチャイチャしている間、オシリスの家では、トラブルメーカーセクメトの処遇について三人が話しあっていた。

 一方、オシリスの家では、オシリスとホルスはメジェド、ユーリはハーブティーを飲んでまったり過ごしていた。


「オシリスさん、どうしますか? この方」


 この方と呼ばれたのは、暴れないように縄で拘束されたセクメトだ。


「僕の拘束でもよかったんですけどね」


「いや、それはいくらユーリの魔力が半端ないと言っても、こんな弟の為にユーリの魔法をいつまでも使わせてるなんて申し訳ないよ」


「そうなんですか‥‥‥? ではどうしましょう。セクメトさんを見た限りまた暴れる気だと思いますよ」


 ユーリがそう言うと、オシリスが部屋の奥から何やら縄を持ってきた。


「大丈夫大丈夫、ああいったお店をやってるとね、色々な人がいるから。ある程度の防犯対策はしているんだ」


 ビシッとその縄を両手で少ししごくと、オシリスはあっという間にセクメトをぐるぐる巻きにしてしまった。


「これで良し。ユーリ、もう魔法を解いて良いと思うよ」


「あっはい! ラベール!」


 ユーリが魔法を解いた途端にセクメトがまた元気よく暴れ出した。


「ユーリ! お前この俺に何ばしよっとや! 名前ば覚えたぞ! うぬぬぬ、なんやこの縄! 全然拘束が外れんたい!」


「セクメト。呆れた奴だなお前は。ユーリが止めなかったらセトに今度こそ殺されるところだったんだぞ。うるさいから口塞ごっか?」


 オシリスはそう言うとまたどこからか猿ぐつわを取り出して、あっという間にセクメトに装着してしまった。


「これ本当は口うるさい女性に装着する拷問具なんだけどね。この国では俺の故郷に負けないくらい女性の身分は低いが、こんな拷問具を思いつくとは、人間というのは本当に恐ろしいな。ハハッ」


 爽やかに笑うオシリスさん。でも目が笑っていない。セクメトさんに怒っているのかな?


「本当に、人間は怖いですね。でも少なくとも僕の周りには怖い人がいなくてよかったです」


 特にヴァレリアさんに拾ってもらえてから、僕の人生は輝いている。まるでヴァレリアさんの瞳のように‥‥‥


 あ、そうだ。


「それで、セクメトさんはどうしましょう?」


「私が故郷に連れて帰りますよ。一応セクメトは許されましたから、兄弟達もきっとわかってくれるはずです」


 ホルスが口を開く。


「ダメだ!! 今お前とセクメトを二人きりにさせるわけにはいかない。お前は大事な弟なんだ。今の怒ったセクメトと二人きりにさせて、何かあったらと思うと」


 うーん、どうしましょうかねぇ?


 あれ? そういえばセクメトさんは自分から故郷に戻るって言ってなかったっけ?


 ユーリは記憶を辿る。


「メモリア!!」


 ユーリが呪文を唱えた瞬間、突然机の上に小さなポータルのような輪っかが出現した。よく見ると輪っかは浮遊している。


「これは僕の記憶です。セクメトさんを救助? しにいった時まで遡ってみます」


「へぇ〜面白いな! さすが大魔法使いの血族だなぁ!」


 オシリスが感心して言う。


「いやいや、僕なんてまだまだですよ。これはお父さんが僕に与えてくれた力ですから。僕自身は全然。あっ、見てください! セクメトさんが何か言っています!」


【「にいちゃん! 待ってた! 俺をここから出してくれっさ」


「少しは反省したか?」


「した! したから! 早くここから出してくれっさ! 寒いよぉ」


「セクメト、お前解放されたらばとっとと故郷で仕事ば探す事約束するっちゃ?」


「する〜! もうなんでもするから解放してくれっさ。セトにいちゃん! お願い」


「したら先に王子に謝るっさね。お前の命は王子が握っとるっちゃけん」】


 部屋にしばしの静寂が流れる。


「反省して、故郷で仕事を見つける。と言ってますね」


「そうだな」


「んーっ! んーっ!!」


「オシリスさん、セクメトさんが何か言いたそうですよ」


 はぁ、とオシリスはため息を吐く。


「どうせ(ろく)な事じゃない。そんなの俺は言ってないだの、苦しい言い訳ばかりだよ」


「そうですか。どうしましょうかね〜? セクメトさん、ホルスさんと二人きりにさせるわけにはいかないし、僕の魔力がもっと増えればワンチャンいけるかな?」


 ユーリが何事かブツブツ独り言を言っている。


 よし、お父さんの力を借りよう! お父さんの知恵と魔力なら、きっと何とかしてくれる。


「アロヌメラーレ!」


 ボフンッ! 音を立てて煙が出る。


「ゲホゲホ、ユーリ! 一体何が‥‥‥」


 オシリスが驚いてユーリのいた方を見る。煙の中から現れたのはユーリではなく。


「やぁこんにちは。僕はフランシス。ユーリの父親だよ」


 ユーリと同じ紺色の瞳が、爽やかに微笑んだ。



お父さん登場〜!!

フランシスはユーリと同じで、怒らせると怖い人ですからね。果たしてセクメトの破天荒な性格を、どう見るのか?フランシスの登場で今度こそセクメトは故郷で仕事を見つけるのか?!

ユーリがセクメトの事をどうしましょう。と何回も言ってるのじわる。笑


※文中でオシリスが「口うるさい女性に装着する拷問具」は「口うるさい女のくつわ」という実際に使われていた拷問具です。本物は鉄製なのですがセクメトが可哀想なのでこの小説では布のようなソフティ〜な器具を使っているという事にしています。


てか今日も短いですね( ;∀;)ごめんなさい!


ここまでお読みくださってありがとうございました。

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