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ヴァレリアとアナスタシア  作者: 杉野仁美
第三章 セト達の秘密
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番外編・バルカ学園 花組

今回は《も》はなくそ学園にしました。

はなくそを掘りながら読んでもいいし、読まなくてもいいです。

 私はシリウス。最近は本編にまるで出番がなくなって番外編でもチョイ役扱い、当て馬扱いで、とにかく不憫な男だ。それでもイケメンなのだ!


 イケメンなのだから結構モテるし、他校でもファンクラブができるくらいなのだが、教室のモブ女は私の事を『推し』認定しており、ファンクラブの女子たちからもそういう認定で見られていて、恋愛に発展した事がないのだ。


 そんな私にも、やっと好きな人ができた。このクラスにはマドンナが二人いるのだが、圧倒的に人気なのは正統派美少女、長い黒髪に黒い瞳のアナスタシア。しかし残念ながらアナスタシアにはハンニバルという想い人がいるので、クラスのモブ男たちもその辺は考慮して、遠巻きに見つめるだけでとどまっているようだ。


 ハンニバルはクラスのモブ男10人合わせても太刀打ちできないほどイケメンで、しかもハンニバルは心までイケメンなのだ。私も敵わないかもしれない。


 私が好きになったのはこのクラスのもう一人のマドンナ、赤毛と紫の瞳が印象的なヴァレリアだった!

 ヴァレリアはクラスのモブ男の半分に密かにガチ恋されている。アナスタシアに比べヴァレリアはぽわぽわしていて少し隙があるので、ワンチャンを狙っている男もいるようだ。


 最初の頃ヴァレリアのことは別に何も思ってはいなかったのだが、ある時ヴァレリアの笑顔を見た時に、私の心は奪われたのだ! あの紫のキラキラ輝く不思議な瞳に、私の心はキューピットの放つ矢にズキューンと撃ち抜かれてしまったのだ!!


 だがしかし、神ファイブ《このクラスのイケメン五人の事》を凌ぐイケメン、レクターが転校してきた事で今まで平和だったこのクラスに波乱が巻き起こる事になる!


 このレクター、完璧なほどのイケメンなのだ! 少女漫画に出てくるイケメンというイケメンの集大成みたいな男で、作者も含めて逆にその完璧具合に腹が立っていた!


 そのクソイケメンレクターに目をつけられたのが、なんとよりによって私が好きなヴァレリアだった! なんでだよ! そこはアナスタシアに行けよ! 本編でも最初はアナスタシアに行きそうになってただろうが! このクソ王子! 馬鹿王子!

 ‥‥‥。王子? いや、なんか世界線がごっちゃになったな?


 とにかくこのレクターのせいで私とヴァレリアは非常に迷惑をしているのだ。

 そういえば今日はまだヴァレリアは来てないな? まぁヴァレリアが時間ギリギリに来るのはいつもの事だが‥‥‥


 と、思っていたらヴァレリアが登校してきた。


 ‥‥‥。ヴァレリアは、今度は何に影響されたのか、髪の毛を黒と白のセパレートにし、顔の斜めに痛々しい傷跡《多分自分で書いた》をつけて登校してきた。


 * * *


 私はヴァレリアよ! 最近レクター君とかいうクソアンチでマジで憎いアンチクショウ男に目をつけられたせいで私が私のペースで生きられなくなったの!


 その対策で前回男装をした時に、かなりの確率で可愛い男に間違われるって事がわかったので、今日は私の大好きな「ブラック・●ャック」のコスプレをして登校よ!


 私たちの学校はブレザーなんだけど、私の今日の格好は、なんと学ラン! しかも詰襟もバッキバキに立てて気合い入りまくりよ。

 マイ●ー君たちも私のあまりのいかつさに、惚れちゃうかもね! あ! 言っとくけど私はマイ●ー君じゃなくて、愛すべきお馬鹿●虎君推しなのよ。マイナーすぎて滅多にグッズ化はされないのだが、それがいい。  


 ‥‥‥。何の話?


 という事で、さすがのレクター君も顔に傷のある女子なんかに見向きもしないでしょって事で、バキバキに気合いを入れた状態で登校したんだけど‥‥‥


 どうやらこの格好は女子には不人気みたい。女子君ともキャッキャウフフしたかったんだけどな‥‥‥。ちょっとバッキバキすぎて怖かったかな? あ、この特殊メイクが怖いのか!? ああ! 策士策に溺れる、てやつだわ! 私策士じゃないけど。ゔごごごご


「ヴァレリア。ど、どうしたんだ? その顔の傷は!?」


 私が頭を抱えているとレクター君が話しかけてきた。


「あ、レクター君おはよう」


 あれ? 本当に心配してる? そういえば周りを見回してみるとアナスタシア以外は「痛そう」やら「うわぁ」やら引き気味の声が聞こえて来る。


 わー私の特殊メイクが完璧すぎて本当の傷だと思われてる!


「それにその髪、一体何があったんだ?」


 めんどくさいなぁ〜ブラック●ャック先生の髪型の説明なんかレクター君にしてもわからないじゃない!!


「今の私はヴァレリアじゃないの! 話しかけないでくれる!?」


 私はもう思いっきりつきはねる事にした。もう小細工はレクター君には通用しないんだわ!


「ヴァレリア‥‥‥」


「なっ、何よ!」


 レクター君が私に近づく。いやな予感がして、私は思わず立ち上がった!


「ファッ!?」


 レクター君はまるでアシ●カのような抱きしめ方で私を抱きしめてきた。

 いや流れてる! 私の中であの名シーンが再現されて流れてるから!


 はりつめた〜弓の〜

 震える(つる)よ〜♪


 ちょい待ってよ、このままじゃ私とレクター君の二人の世界になっちゃうじゃない! ここ教室なのに!


「ちょ、ちょっとレクター君! 軽率にそんな事しちゃダメって言ったでしょ!? 男と男の約束を守ってよ!」


「無理だよ、俺はヴァレリアにどんどん()かれているんだ」


 周りもドン引きのクサイ台詞だが、レクター君が言うと妙にしっくり来るから、教室内のモブ共はまるで舞台を見ているように見入っていた。


「レクター、ヴァレリアも嫌がっているし、そのやり方は紳士じゃないよ。君は一方的に彼女に想いを寄せているようだが、ヴァレリアはそうじゃないかもしれないだろう?」


 心までイケメンのハンニバル君が助け船を出してくれた! さすが! どうして作者はハンニバル君を主役にしなかったんだ?? ていうくらいイケメンだわ!


 ハンニバル君の言葉で、レクター君の腕が少し緩んだ。


 ハンニバル君は目で私に逃げろ、と合図をした。


「俺の想いは、誰にも止められないんだ。走り出したら止まらない。その速度はマッハ10だ」


 お前そのネタいつまで引きずってんのさ!! 私は心の中で悪態をつきながら逃げた! ハンニバル君ありがとう!


「あっ! ヴァレリア!」


 ガシッ! ハンニバルがレクターの腕を掴む。


「ヴァレリアは追わせないよ、シリウス。ヴァレリアを頼む」


 えっ!? 私!? 完全にハイハイどうせいつも私はモブ扱いと思ってたからまさかハンニバルが名指しで私を指名するとは思わなかった‥‥‥


「シリウス、ヴァレリアを頼むよ。先生には言っておくから」


「あ、ああ!」


 心までイケメンのハンニバル。多分私がヴァレリアに想いを寄せている事に気づいているのだ! 私はヴァレリアの逃げた方へ足を運ぶ。


 ヴァレリアの恋はシリウスルートもあるのだとこの私が証明してみせるぜ!!

 なんか乙女ゲームみたいな展開だがツッコミはなしだ。なんつってもこの話はフィクションだからな! 深く考えたらいけないのだ。


 どうする! どうなる!? この話は続くのか!?




マジで何で私はハンニバルを第一王子にしなかったのかな?

乙女ゲームみたいな展開か!

シリウスいい事言うね!(他人事)


ここまでお読みくださってありがとうございました!

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