黒服の男
前回レクター王子が突然現れ、突然唇を奪われたアナスタシア(ヴァレリア)
しばらく困惑していたが、
持ち前のポテンシャルの高さと、外で食べる魚の美味しさにそんな事は忘れて(笑)、いよいよ本格的に冒険へと向かうのだった。
焼き魚で腹を満たした後、テントを収めて、繋いでいた馬に跨った。
「エリー、俺の後ろに乗れよ、お前は馬の扱いに慣れてないだろ」
「しっ、失礼なのですわ!//私は少し走るのが苦手なだけで‥‥‥」
「いいから乗れよ」
「むむむ‥‥‥」
セトがひらりと馬に乗り、エリーの手を引っ張って後ろに乗せた。
(ふふふ、セトとエリーのこのやりとり‥‥‥推せる〜)
などと怪しい妄想をしながらしばらく馬を走らせていると、村があった。
「あれ?この辺りに村なんかあったかしら」
地図を見ながら首を捻る。
「この辺は割と土地が新しいからな。その古い地図じゃ載っていない村もあるだろうよ、せっかくだから寄ってみよう。うまい話が聞けるかもしれねぇ」
「さすがセトさん!情報の更新が早いです」
そう言うとエリーがサッとセトの背に抱きついた。
「お前なぁ‥‥‥まぁまずはこの村で、一番情報が聞ける酒場を探すか‥‥‥」
セトは呆れた様子でため息混じりにそう言った。
でもエリーの腕を振り払わないということは、満更でもないのだろう。
(くぅ〜! 推せるわ!何この可愛いカップルは! いやこの、二人とも無自覚の付かず離れずな距離感がまた‥‥‥)
私はニヤニヤしながら二人の跡をついていく。側からみたらただの怪しい人物だろう。
ふと、何やら会話が聞こえてきた。
『お前、今日でこのパーティーを抜けてくれないかな。お前がいるとその‥‥‥』
『お前の性格は命をかけて戦ってる俺らには負担なんだわ。お前の魔術は、一流なんだが』
『私達とは合わないみたい。ごめんね、ここでお別れよ、これ、貰ってね、今までの報酬』
えっもしかして私、たった今パーティーの修羅場を見てしまった!?追放されたの??追放物なの?私は先程まで仲間だったであろうメンバーから別れを告げられ、項垂れる黒い服の男を見た。
(どうしようどうしよう〜! このままスルーしていいのかしら? でも彼酷く落ち込んでるし)
「またやってしまった‥‥‥ハァ‥‥‥なんで僕ってうまくやれないのかなぁ。またぼっち確定だ」
「ぼ、ぼっちなんかじゃないです!強く生きて!」
私は見ず知らずの男に思わず話しかけてしまった。
次回は新キャラ登場です!
ここまでお読みくださってありがとうございます。