番外編・バルカ学園 花組
ちょいちょい出て来る息抜き回です。すみません!
番外編・バルカ学園 はなくそ組です。
はなくそほじりながら読んでくださいね。
最近なんか私に嫌がらせしてくる男達が増えたから、主にレクター君とか。一刻も早くお店に行って漫画やラノベや推しのグッズを買い、推しの抱き枕を抱きながら寝ようと思ってたのに、いつも何かしら邪魔されて、最近は推しの限定グッズが発売されるカフェにも行けない始末!!
一体何が原因なのか? 私は考えたわ! 私が女だから嫌がらせされるのよ! チャイルドラインに電話しないだけありがたいと思え! 私に群がるバカ共!
というわけで私は身長の割にデカい肉の塊をこれでもかとサラシでぐるぐる巻きにし、男装する時のコスプレ衣装を着て、カツラを被り、できるだけ背が高く見えるようにシークレットブーツを着用して、完全に男子になった!《つもり》
これで女だからってなめられる事はないだろう!
「よっしゃ見てろよ! このクソアンチ共!」
私は食パンを一気に三枚くらい貪り食うと、お手伝いさんのエリーザベトに行ってきます! と爽やかに挨拶をし、学校へと向かった!
教室に向かう途中の廊下で何回か女子に話しかけられた。何故かみんな目がハートになっている。
「わぁ〜転校生ですか!? 中性的な顔立ちでめっちゃ好み! 今日好きになりました!」
「誰あのイケメン!?」
「ライ●交換して!」
「可愛い〜! 転校生ですか!? あとで私が案内してあげる!」
「ああ!? あなたみたいなクソ女に抜け駆けはさせないわよ!! この謎の転校生は私が案内してあげるんだから!!」
「「「いえ! 私が! 私よ! ワイや!」」」
えっ‥‥‥。何この修羅場。ていうか私が本当は女子ってみんな気付いてないのかな? よっしゃー! やったぜ! コスプレで何回か男装もしといてよかった〜! そういえば一度推しキャラ男子のコスプレした時めっちゃ写真撮られた気がする! 私結構男装いけるんだ!
「私、僕は転校生じゃないよ! 僕の教室ここだからあとでね!」
私は浮かれていた! 陽キャな女子にはいつも遠巻きにされていたので、これを機に友達が増えるかもしれないと思ったのだ!
(このままずっと男の振りしていようかなあ!)
ガラリと教室の扉を開けると、教室中が一瞬の静寂に包まれた。
(なんだこの静寂は? みんな私の男装が見ぬけなくて静まり返ってるのか? 残念でしたー! 今の私はヴァレリアであってヴァレリアじゃないの! もう女子だからって馬鹿にされないんだから)
「おい、ヴァレリア」
「えっ??」
私が席につこうとするとシリウス君が話しかけてきた。えっ? 一瞬でバレたんだが?
「なんのつもりだ? そんな格好で来て‥‥‥。男子よけのつもりだったらむしろ逆効果だぞそれ」
「えっなんで??」
無言で指をさすシリウス君の指先を辿ると、神ファイブの面々が目を輝かせていた。
「へー、ヴァレリアってあんな格好もできるんだ」
「ヴァレリアの意外な一面」
「ねー、俺いい事思いついたんだけど、ヴァレリアも加えて神シックスにしない? 昔そういうの漫画であったじゃん?」
「それいいね〜ヴァレリア、ちょっとこっち来て」
ハンニバル君に呼ばれて、私はノコノコとそちらへ足を向けた。気付いたらハンニバル君達に囲まれていた。シリウス君を見ると、複雑そうな顔をしている。
「可愛い〜、シークレットブーツ履いてもその背の高さなの? ユーリにも足りてないよ」
ハンニバル君にそう言われ、私はユーリ君の隣に並ばされる。
「わぁ〜本当だ。惜しいね! でもこうして見ると俺たち兄妹みたいじゃない?髪の毛も同じ紺色だしさ」
ユーリ君は私のカツラの髪をいじりながら言う。
あれ? なんかおかしいな? 私が想像してたのと違うぞ? いや、これはこれで嫌がらせしてくる男《レクター君》から守られてていいのか? 分からん!
「それにしても可愛いなぁ、見ろよこのダボダボな衣装! 俺たちに合わせて買ったんだろうけど全然似合ってない! ブフフ」
テセウス君がそう言ってからかう。
「なっ、私はあんた達に合わせてなんかいないわ! 私はレクター君から身を守るために」
「ハハッ、ムキになっちゃって。そんなところも可愛いなぁ。レクター? あーあいつね。心配すんなよ、俺たちが守ってやるから。ヴァレリアは俺達の仲間だろ」
そう言ってフランシス君が私の頭をなでなでしてきた。
プッツーン! 私の中で何かが切れた!
「お前たち! 前から思ってたけど私、僕のことをなめてるだろう!! 私、僕はそれが嫌でわざわざこんな格好をしてきたのに!」
ボカボカ! と殴る蹴るの暴行をくわえるが、神ファイブには全然かすりもしなかった。チッ、さすがイケメン神ファイブ。動体視力も半端じゃないぜ?
「悪かった悪かった! 君がそこまで思い詰めてるとは思っていなかったんだ。レクターとはなんだかんだで仲良しだと思っていたんだ。今日からレクターには近寄らせないから、安心して」
この中で一二を争うイケメンの一人、ハンニバル君に言われて、思わず私は頷いてしまった。
ああああ何頷いてんの私!? 違う! 違う! 私は平穏な日常を送れればそれでよかったのに! 馬鹿馬鹿馬鹿私の馬鹿!
チラッとシリウス君の方を見る。
シリウス君は《その方がいい》とコソッと耳打ちをしてきた。確かにこの謎逆ハーレム状態はレクター君から守られていい状態かもしれない。
なんか、乙女ゲームで見たようなシチュエーションだな? うーむ、いまいち納得はいかないけど、まぁいいでしょう。
その内レクター君が登校してきた。相変わらずドMそうな女子に話しかけられている。
「しーっ、見ないで。俺が囲っているから大丈夫だよ」
そうハンニバル君に言われて気がついた!! えっ、何この状態!? 私はハンニバル君の膝に座って、ハンニバル君は私を隠すように私の体を腕で囲んでいたのだ!
はぁ!? 違う! 何この状況? 私が思い描いていたのと違うんですけど!?
なんかアナスタシアから怒りのオーラを感じるし! アナスタシアこれは違うんだ!
私はハンニバル君の隣の席のアナスタシアの方を見て《ごめん》のジェスチャーをした。
アナスタシアは少し困惑していたが、やれやれ、と言った感じでため息を吐くと怒りのオーラはおさまった。
「おい、ヴァレリアはどこだ? 俺の隣の席が空いているのだが? 誰か知らないか?」
「ヴァレリアは今日は体調崩して遅れるって、ガルシア先生が言ってたよ」
フランシス君がすかさず言ってくれた。
本当に守ってくれるんだ‥‥‥。私は心の中で五人に感謝した。それにしてもハンニバル君の腕の中あったかいな‥‥‥。なんか眠くなってきた。
「ヴァレリア、眠い?」
「うーん、眠いかもしれん‥‥‥スヤァ」
私はハンニバル君の腕に囲まれた状態でそのまま机に突っ伏して寝てしまった。
「ふふ、ヴァレリアはまるで子供みたいだな。食べて寝て‥‥‥」
ふとアナスタシアと目が合った。アナスタシアは不安そうな顔をしている。
「大丈夫だよ、俺にはアナスタシアだけだから」
「‥‥‥! ばっ//なっ!」
アナスタシアが顔を真っ赤にしている。可愛いなぁ。
俺がアナスタシアを見つめていると、先程は赤かった顔がみるみる青ざめて行った。
その視線の先を見ると。レクターが怒りのオーラをバキバキに出しながら俺の隣に立っていた。
「ハンニバル、お前何をやっている?? ヴァレリアは今日遅れると聞いていたのだが?」
「‥‥‥。その通りだよ。ヴァレリアは今日は遅れて来る」
「だったらお前の腕の中のその姿は何だ?! ヴァレリアじゃないのか!!」
「ふふ、この子は俺の一歳下の弟だよ。ヴァレリアなわけないじゃないか。一時限目の国語の授業が嫌だから抜けて俺の席に来たんだ。可愛いだろう?」
そう言って俺はヴァレリアの頭をなでなでする。と、カツラがずれてしまったらしい。ヴァレリアの特徴的な赤毛がチラッと見えてしまった。俺は慌ててその部分を隠す。
「あははは、ハンニバル君! くすぐったいって!何‥‥‥」
ヴァレリアがそう言って起きた途端、カツラが外れてしまった。
「ありゃりゃ、せっかくのカツラが」
ヴァレリアは俺の股間のあたりに落ちたカツラを拾おうともぞもぞしだした。おっとぉ! 大丈夫かこの状態は?
一部始終を見ていたレクターが怒声をあげる!
「ヴァレリア!! そんな汚いカツラを拾うな!」
「あはは、ひどい言われようだなぁ〜」
「えっ!? レクター君!? な、何故私の正体が分かったのだ! さてはお得意のアンチセンサーが働いたなテメー!!」
「ヴァレリア。そんなヤツのふところに小さくなってないで、こっちにおいで」
「いやよ! レクター君は私の邪魔ばっかりするんだから!」
そう言うと私はハンニバル君の頭をまるで跳び箱のように利用して跳び、教室の後ろまで一気に飛んだ! おお! ズボンだと飛びやすいぜ!
ダンッ!!
音を立てて着地する。
「レクター君! 捕まえられるものなら捕まえてごらんなさいよ! ハハッ!」
「あっ、おい! ヴァレリア!」
レクターがヴァレリアを追おうとしたその時、ハンニバルがそれを止めた。
ガシッ!
「おい何をしている。ハンニバル、その手を離せ」
「ふふっ、ヴァレリアと約束したのさ。俺たちでヴァレリアを守ると」
かくして、ヴァレリアと神ファイブ、レクターとの戦いの火蓋は切って落とされたのだった!!
※番外編なので続くかもしれないし続かないかもしれないです。
どうしてもヴァレリア様を男装の麗人にしたかったんですけど、できませんでしたハハハ。
うまくいかないものだ〜( ;∀;)
ヴァレリア様の推しって誰なんですかね?
ここまでお読みくださってありがとうございました!