セトとオシリスの秘密
できればオシリスとセトと一緒にセクメトの処遇を決めたいレクター。セトとオシリスの秘密??に驚きつつ、自分の立場に疑問を抱くのだった。
しばらくして、オシリスが起きてきた。
「なんだ、やけに騒がしいと思ったら王子が来ていたのか。おはようございます」
「おはよう」
「お? オシリス起きたのか。王子が面白い話を持ってきてくれたぜ?」
セトの言葉に、ん〜? と返事をしながらオシリスはまっすぐキッチンへ向かうと、棚から《メジェド》という茶葉を出して自分で紅茶を淹れていた。
「この辺の茶葉は渋みが強くてね。俺はこれしか飲めないんだ。で? 面白い話って何?」
「王子がセクメトを氷漬けにしたらしいぜ! 飯食ったら見にいこうぜ」
セトからそれを聞き、オシリスはメジェドを冷ましながら冷静に口を開いた。
「いや、いい。今はあいつの顔を見たくない」
「あいつ氷漬けにされる前にお前の名前呼んだみたいだぜ?」
それを聞き、オシリスの手が止まる。
「いやオシリス、無理にとは言わない。ただ俺はセクメトをあのままにしておいていいのかとお前たちに許可を得に来たんだ」
一応お前たちの弟でもあるし‥‥‥
オシリスはひと息ついた後、何も言わずメジェドを持ってまた部屋に戻ってしまった。
「ありゃ、オシリスは相当呆れ返ってるなこれは」
「怒らせてしまったかな? 嫌いとは言っても弟を氷漬けにされて」
「ははは! それは無い無い! オシリスはセクメトが情けなくて呆れているのさ! それに兄弟とは言っても親父が一緒なだけで腹は違うし」
ここで俺はセトから自由すぎる兄弟の事情を聞いた。
「俺たちは腹違いの兄弟が多いんだ。まず太陽神ラーと創造神アメンからじいちゃんが生まれ、俺たちの親父ゲブが生まれ、その親父と母親ヌトからオシリスと俺は生まれた。母親は俺たちを産んだ直後、産後の肥立ち(ひだち)が悪く死んでしまったが、親父は元気でな(笑)。人間の女に産ませた兄弟もいる。その中にセクメトもいたんだ。まぁ細かい事をいうと長くなってしまうが、《神の恩恵》の血が濃いってのはそういう事だ。俺とオシリスは〜、まぁ言ってみれば神の間に生まれた子なんだよ。ユーリその顔やめろ」
セトの言葉にユーリを見ると、ユーリは瞳を輝かせてセトの話を聞いていた。
「そんな大層な話じゃないんだ。神の概念って人それぞれ違うだろ? 前にも話したが、俺とオシリスはとっくに王位を放棄してる。という事はとっくに神の力など存在しないんだ。それにお前らに特別視されるのは俺が嫌だしな! 身体中が痒くなるわ」
今の俺はただのセトだ。エリーの事がすすす好きな‥‥‥。いや、これはわざわざ言う事もなかったか?
「いやぁ、セトさんの話はいつ聞いても夢がありますよ。神の子かぁ‥‥‥」
「だからそれは昔の事! 今はとっくに親父も引退してるし、あとは王位に縛られた兄弟たちがなんとかするよ」
いつのまにかセトはパンを全て平らげてしまっていた。
王位に縛られた‥‥‥。セトの何気ない一言が胸に刺さる。俺はいずれ王位を継ぐものとして魔剣に選ばれ、王位を継ぐのも当たり前だと思っていた。
神の座も、王位も、故郷も、何もかも捨ててここに辿り着いた兄弟。セトとオシリス。羨ましい‥‥‥
「セト。よかったらお前が王位を捨てるきっかけについて話してくれないか?」
「えっ? ただ単に嫌だったからだよ」
「えっ? それだけ?」
「おうそれだけ! 俺は一見自由に見えて未だに神だの王位だのやってる親父たちを見てきたからな。なんかとらわれてる感じがして窮屈に感じてたんだ。それが嫌で何もかも捨てて来た。おかげで快適だよ。仲間も増えたし! エリーみたいなすすす素晴らしく気の強い女性にも会えたし//」
嫌だったから、か。それが許されたのは、恐らくセトが神の子だったからだろうな‥‥‥。
「うん? 王子はひょっとして王位を放棄したいのか?」
俺が黙っているとセトが口を開いた。セトの言う通りだ。俺はセトとオシリスのように生きたい。それはセトとオシリスのような兄弟もいると知ってしまったからだ。
二人に会うまでは、それまでは、王位を継ぐ事に何の疑問も感じていなかった。
「うん。正直いうとお前たち兄弟が羨ましいって思った」
俺の言葉を聞き、セトがガハハと豪快に笑う。
「ハハハ! 王子が俺たちを羨むなんて珍しい! まぁでもその気になればいつでも王位なんかどうとでもなるだろう! お前さんは王子でなく、一人の「レクター」という人間なんだからな」
「セトさん! 王子を揺さぶるような事言わないでくださいよ! セトさんの状況と王子の状況では全然話が違うんですから!」
ユーリが怒ったように言う。確かにユーリの言う通りだ。セトは神の子という事もあり多少のわがままは許されたかもしれんが俺は‥‥‥
あれ? そういえば俺も人間だけどレーヴァテインがいるしワンチャンいけるんじゃね? 悪魔も恐れる力もあるしさ。
「王子〜、俺は準備できたぞ。早く行こうぜ! セクメトの情けない姿を見て、指さしてからかってやりたい」
ユーリの方を見るとユーリも準備できたらしく、黒いマントを羽織っていた。
そうだな。王位の話は後でおいおい考えよう‥‥‥。まずはセクメトの処遇が先だ。
その時バタバタという音が聞こえた。オシリスが慌てて階段を降りてきたのだ。
「やはり俺も行く!」
最近暑くなったり寒くなったり気温差が情緒不安定な感じですが、お元気ですか?
セト、オシリス、お前ら神の子だったんか?笑
全然見えないですよね?
あーラブコメが書きたいんじゃ〜( ;∀;)
ここまでお読みくださってありがとうございました。