番外編・バルカ学園 花組
ちょっと箸休めです。何回箸休めすんねんこいつと思った方は是非広告の下の☆に色をつけていってくださいね!
読んで(読む人おるか分からんけど)ちょっとこの言葉意味分からんかったよーっていう方用に後書きにそれぞれの意味書いてます。
後書きだけでも読んでいってくださいね〜!
私はシリウス。
このクラスにはマドンナ(古)が二人いるのだが、一人は黒髪に黒い瞳の一見清純派だが気性の荒いアナスタシア。もう一人は燃えるような緋色の髪にミステリアスな不思議な輝きを放つ紫の瞳の持ち主。ヴァレリア。
私はこのヴァレリアにゾッコン☆なのだ。ある時私がうっかり忘れてしまった教科書を、彼女が貸してくれたというベタな展開でその笑顔にノックアウトされた!
そして、この花組に突如現れたイケメン転校生レクターのせいで、私のヴァレリアが汚されそうになっているのだ!
(※全部ムッツリシリウスの妄想です)
授業中と休憩中はレクターはいつも取り巻きの女子に囲まれているのでレクターからヴァレリアにちょっかいは出されることはないが、問題は放課後だ!
放課後はレクターの「去れ」の一言で女子が喜んで去る。マイペースで帰宅部のヴァレリアには隙ができてしまう。その隙をレクターは狙ってくるのだ!
私はなんとかその隙を埋めるべく、毎度毎度どちらがヴァレリアに早く辿りつけるかレクターと追いかけっこをしていた。笑
だが今日は何故か先客がいた。新米教師のセクメトだった。セクメト先生が何故ヴァレリアに? 俺たち二人は追いかけっこを中断し、その様子を観察することにした。
* * *
私はヴァレリアよ!
靴を履こうとしたら新米教師のえーと誰だっけ? よく分からん人に声をかけられて困ってるの。今日は「芋けんぴ髪についてる系女子のトキメキ☆小ぶりな胸がキュンキュンしちゃう」の漫画が出る日なのに! 近頃はKind●e派の人が増えてるけどまだまだ紙媒体で欲しい!っていう人が一定数いるから一刻も早く行きたいのに! そして一刻も早く手に入れたら、読みながら速攻寝てやるんだから!
「ヴァレリア、俺と一緒に禁断の恋をしないか?」
ドンッ!
誰か知らない先生はそう言いながら壁ドンをかましてきた。もう私の靴箱の上壁ドンされすぎて穴だらけなんだけど! てかこの人も背ぇ高! 2メートルはあるんじゃない? レクター君もそうだけど、うちのクラスの男子たち結構高身長の人多いよね。
この巨人たちめ、駆逐すんぞ?
「えっと〜、あの、その」
私はこの人の名前がわからなくて困っていた。スーツ着てるから教師だってことは分かるんだけど‥‥‥。うーむうーむ。あっそうだ! オシリス先生だったわ! オシリス先生。
「あの、オシリス先生。私漫画を買いに急いでて」
「オシリスじゃねーよ! 俺はセクメト! なぁヴァレリア、俺はお前に一目惚れした。俺たち付き合おう?」
セクメト先生は色々ぶっ飛ばしてきた。まず教師と生徒であり得ないし、職権濫用だし。色々アウトだし、一目惚れしたからってなんでいきなり付き合うってなるわけ? てかなんでこの学園の男どもは私の気持ちは無視してるの? みんなおかしいよ!
なんか腹が立ってきたな? 私の気持ちは無視ですか、そうですか。
「シリウス。なんかあの教師、ヴァレリアを口説いていないか?」
「ああ、そんな感じがするな。では私が助けに行こう」
「いやシリウス、ここは俺が」
「いやいや、レクターの手をわずらわせるわけには」
二人の気持ちは同じだった。
《こいつにだけはヴァレリアを渡したくない!!》
「そうだ! シリウス、一旦休戦しないか? 俺たちは今は目的が一致しているだろう? ヴァレリアをセクメト先生から守ろうと」
「まぁ、そう言われればそうだが‥‥‥」
「俺にいい考えがある。前にテセウスのロッカーを見てしまったことがあるのだが‥‥‥。その時に出てきたものを使ってゴニョゴニョ」
「ふむふむ、やってみる価値はありそうだな」
私たちは一時的に休戦し、レクターがテセウスのロッカーから出てきたというものを使うことにした。
(うーん、どうやって断ろうかしら。セクメト先生は思い込みが激しそうだしうーん)
「きゃっ! 何するの?!」
私が考えにふけっていると、セクメト先生は私の体に、その巨体を押しつけて、靴箱とサンドイッチしてきた。ちょっと先生! いきなり何するの?
「ヴァレリア、見れば見るほど美しい。このサラサラな赤毛も。強気な眼差しも」
そう言いながらセクメト先生は愛おしそうに私の髪を撫でてきた。
ゾオオオオ〜!!
あまりの気持ち悪さに全身が総毛立った! 声をあげようと抵抗するが前はセクメト先生に、後ろは靴箱に圧迫されて声が出せない! ジタバタとセクメト先生の体の上で暴れてみるが、私の小さな体ではどうすることもできなかった。
「あ、ふざけんなよ、さては‥‥‥。テメェも‥‥‥」
私は振り絞って声を上げる。セクメト先生は何がしたいのか、私を押さえ込んで悦に浸っている。
「うーむ、やはりJ●の肌は柔らかいなぁ〜☆」
そう言いながら先生はするりと私の制服のスカートに手を入れてこようとした! ちょっと待て先生! これは健全な学園ものなの! そういうのはノクターンでやって!!
「ん? 何か物音がするな」
そう言ってセクメト先生はやっと私の体を離してくれた。と思ったら‥‥‥
「ぎゃあああああ!! 何じゃあれはぁぁ!!」
そう叫んでセクメト先生は腰を抜かしてしまった。
(あっ、アレは‥‥‥。洒落怖か都市伝説で読んだ事がある!確か巨頭オじゃないかしら!?)
セクメト先生の視線の先には、異常にでかい頭に対し目、鼻、口はとても小さく、小さな体、赤ちゃんのようにむちむちした腕と足という、どう見ても異形の形をしているものが立っていた。
「罪深かったヨネ? 罪深かったヨネ?」
異形はしきりに「罪深かったヨネ?」という言葉を発しながらまっすぐセクメト先生に向かっているようだった!
「うわぁぁぁぁぁ! お、俺が罪深い事をしようとしたのはわかった! でもまだしてない! 未遂だっ!」
セクメト先生が意味不明な弁解をしているその間にも、どんどん異形は近づいている。
その内異形の発する言葉が変わってきた。
「どうして? どうして? どうして? どうしてあの時名前を見てしまったの? どうして?」
腰を抜かしたセクメト先生に、異形はついに辿りついた。
「ドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテ」
「うわぁぁ!! 許してくれぇ! もうJ●には発情しないし教師やめて国に帰るからぁ!」
セクメト先生は異形に半泣きで訴える。セクメト先生はおそらく異形をセクメト先生のあまりの暴挙に怒った何かが、その姿を現した呪物か何かと思っているのだろう。ビビり方が半端じゃなかった。へっ、何か知らんがザマァ!
私は何故「巨頭オ」がいきなり姿を現したのかわからなかったが、この世界観ならあり得るのでそこは黙っていた。それに何故か「巨頭オ」は、セクメト先生だけを狙っているようだ。ナイス!
異形はおもむろにセクメト先生の体に乗ると急に大声を上げた!!
「ママアァーーーーーッッッ!!」
「うわぁぁぁぁぁーーーーーッッッッッ!!」
セクメト先生はその絶叫を聞き、気絶してしまった。
私はもう何がなんだかわからないまま、ホッとしたのか気が緩んだのか、気を失ってしまった。
「ヴァレリア!」
「ヴァレリア!! しまったやりすぎたか?」
私とレクターはそばで様子を見ていたが、ヴァレリアまで気絶させる気はなかったので慌てて二人で飛び出した。
「ヴァレリア、ヴァレリア大丈夫か?」
レクターがヴァレリアの体を少し揺する。
「う、うーん‥‥‥」
「はっ、気がついたのかヴァレリア! よかった」
「ぜ、全然良くないわよ! もう絶対売り切れよ! レクター君! 罰としてAmazo●か各書店を周って漫画を買いに行くまで帰れま10やる、から」
そう言うとまたヴァレリアは気絶‥‥‥。眠ってしまった。
「それにしても、テセウスの発明したこれはすごい効果だな。生々しさがきちんと伝わってきたよ」
「ははは、レクターは知らないかもしれんがテセウスはものづくりの天才だからな!」
いつのまにか異形はポケットサイズに小さくなってうごめいており、その背中には小さな文字で
《洒落怖・都市伝説詰め合わせ》
と書いてあった。
いや〜この季節には珍しいホラー回でしたね(??)
わからない方のために補足します。
巨頭オ→知る人ぞ知る巨頭オ。「この先何メートル」と書かれているはずの看板が「巨頭オ」になっており、しばらく車を走らせていると頭の異常に大きな怪異が出てきたという話。
「罪深かったよね」、「ママアァーーッッ!!」→これは分かりにくかったかもしれないです。有名な洒落怖「ヒッチハイク」での一文です。
「どうしてあの名前を見てしまったの」→これも分かりにくかったかもしれないです。洒落怖の「禁后」の一部分を自分なりに解釈して考えた言葉です。
「ドウシテドウシテドウシテ」→これも洒落怖の「リアル」からです。
*上記に書かれている事柄は全部ググったら出てくるので興味のある方は調べてみてください。全部創作物なのでそんなに怖くないですよ!
ヴァレリアが「巨頭オ」を見ても驚かなかったのはオタクって設定なのできっと「巨頭オ」をどこかで知ってだからです多分ね。
なんか息抜き回のはずがめっちゃ説明長くて自分でワロタなんですが。
ここまでお読みくださってありがとうございました。