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ヴァレリアとアナスタシア  作者: 杉野仁美
第三章 セト達の秘密
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番外編・バルカ学園 ハロウィン祭

物語の途中ぶった斬ってすみません。今日はどうしてもハロウィンにちなんだ話が書きたくて汗

もしよかったら気軽に読んでください。無視してもいいです。


 バルカ学園 花組


 私はシリウス。


 今日は毎年恒例の行事であり私が考案したハロウィンパーティーで、授業は後回しで一日中学園パーティーをするのだ。


 何故他の学園はしないのにしてるかって?ははは野暮な事は聞くでない! この話はフィクションだ!だからなんでもありなのだ! 強いて言えば文化祭とかと一緒だ。


 前回レクターがヴァレリアを保健室に運んで行ったくだりはどうなっとんねん。というツッコミはもう少しお待ちください。


 私達のクラスは喫茶店をすることにした。まぁメイド喫茶の逆バージョンかな?

 ターゲットはもちろん女子の皆さま! 我々神ファイブがメインで、他のモブ男達にはヘルプという形で主にジュースやケーキを運んでもらう。

 もちろん他の女子達にはメイドの格好をしてもらい、男子達の目の保‥‥‥ゴホンッ! 役割り分担をしてもらっている。女子達の仕切りはアナスタシアに任せている。アナスタシアは頭もいいし、キビキビ動くので頼りになる。


 私達のクラスは人気があるので今回は二クラス分の教室を貸してもらえた。さすが神ファイブ!


「ははは、どうだこの飾り付けは! ほとんど完徹で仕上げたんだぞ」


 かぼちゃをくり抜いたランタン、ウィッカーマン(昔行われていた残酷な拷問)を()した小さな藁人形をそこかしこに置き、教室中に真っ黒な壁紙を貼り、夜をイメージ。

 そこにケルト神話で有名な英雄クーフーリンの伝説がスライドショーで流れている。


「毎年毎年張り切ってるのシリウスだけだぜ」


 ユーリが呆れたように言う。


「何を言っているのだユーリ! お前も一番早く来て一番早く衣装に着替えたくせに!」


 ユーリは血しぶきに見せかけた墨がかかっている医者のコスプレをしている。


「仕方ないだろ、これが一番マシなデザインだったんだ。取り合いになるのは嫌だから」


「天下の神ファイブが取り合いなどするはずがないだろう」


「どうだか。皆それぞれ()が強いし。それよりレクターの分はあるの?」


「レクター? 何故私がレクターの衣装を用意せねばならん? 用意してるのは神ファイブの衣装だけだよ」


「ふーん‥‥‥。まぁ僕には関係ないからいいけど」


 その内衣装室に生徒たちがわんさかわんさか入ってきた。着替えがあるからな、仕方ない。私? 私はもちろんコスプレをしている。神父の格好だ。私のキャラにピッタリだ。


 その内神ファイブのメンバーが来て、各々のキャラに合った衣装を着る。淡々としたものだ。ユーリの心配は取り越し苦労だったな。


 ユーリ・残酷な医者

 フランシス・サイコ研究者

 ハンニバル・メガネっ子

 テセウス・妖怪


 おお〜! みんなそれぞれの個性が出ていいな! やはり私の見立ては間違いではなかった!


 あとは‥‥‥


 早くヴァレリアが来ないかな〜! メイド姿のヴァレリアが見たい!


「こら! 逃げないの! ヴァレリア!」


「ヤダヤダー!! 私そんなの着たくない! そんな少女漫画にありがちな服! 私はメガネっ子がいい!! びんぞこのメガネっ子!」


 ふと廊下を見ると、アナスタシアとヴァレリアが揉めていた。どうやらメイド服を着る、着ないで揉めているようだ。


「あー! ハンニバル! それちょうだい! それ! そのメガネとオタクっぽい服!私のイメージにピッタリ〜!」


 ハンニバルは慌てた様子で


「え? これ? この衣装は男性用だから合わないと思うよ。ヴァレリアは、その、色々と‥‥‥。成長著(いちじる)しいし‥‥‥。大人しくメイド服を着た方がいいと思う」


「ほえ? そうなの?」


「そうだよ、きっと似合うと思う。俺も見たいな‥‥‥。君のメイド姿」


 そう言ってニッコリ微笑むハンニバル。その微笑みの破壊力に女子達の二、三人が吐血して保健室に運ばれた。


「むー、じゃあ着てやるか! せっかくだから! アナスタシアごめんね手間かけて」


「本当よ! この件はちんすこうで勘弁してあげるわ!」


「ヤダヤダーッ!! ちんすこうは私も食べたいのぉ!!」


 なんやかや言い合いしながらヴァレリアとアナスタシアは女子更衣室に入って行った。


(二人とも可愛いなぁ‥‥‥。さすがクラスのマドンナ。輝きが違う。まぁ私はヴァレリア一択だけどな!)


「きゃー! レクター様よ!」


「レクター様ぁ! 私をいじめてください!!」


 女子の狂気じみた声を浴びながらその男、レクターは颯爽(さっそう)と衣装室に入ってきた。


「おはよう諸君」


「おはよ〜」


 レクターに返事を返したのはユーリだけだった。他のメンバーはみんなそれぞれ教室に戻っていてとっくにいなかった。私? 私はレクターなぞに挨拶はせん!


「今日はハロウィンだったな。衣装はこれでいいか?」


「おお! すげぇかっこいい! 悪魔の格好じゃん! しかもツノ付き! どこのドン●で買ったの?」


 ユーリが興味津々と言った感じで聞く。あ、悪魔だと!? 神父の私に喧嘩を売っているのか!? しかもドチャクソ似合ってるー!! クソクソ! 悔しいけどかっこいいわクソが!!


「ハハッ、ドン●で買ったんじゃないよ。この日の為に作らせたんだ。オーダーメイドでね」


 ぶはー! しかもオーダーメイド! たかがハロウィン祭りごときにオーダーメイド! そこまでする?! ええ、100嫉妬ですが何か!? クソクソ羨ましいぞレクター! あかん! 今のレクターをヴァレリアに会わすわけにはいかん。もし今鉢合わせしてそこからテンプレ展開にでもなったら私は‥‥‥


「ヴァレリア、なんと可愛いらしい」


 遅かったー! てか登校して来てからの動き早!


「は? おお、おはようレクター君。悪いけど今私話す気分じゃないんだ! ちんすこうを取られたから!」


 ぷぷぷ、よりによってヴァレリアが機嫌が悪い時に‥‥‥。レクターザマァ!‥‥‥って‥‥‥


 えっ!? 何あのメイド服姿のヴァレリア! めっちゃ可愛いくない? 普段制服で隠れてるけど出てるところは出てるし、ウエストは細いし、体のライン綺麗〜! どこぞのお姫様や!


「ヴァレリア! 待て!」


 ドン!!


 そう言うとレクターは教室へ足を向けようとしたヴァレリアを逃がさないというように壁ドンをした! 衝撃で壁が凹んだ。


「ちょっと! レクター君! 君は何回物ぶっ壊せば気が済むんじゃ! やはりアンチだなテメー!! 私は教室に行くの!」


「ヴァレリア、その姿。他の男に見せたくない」


 そう言ってぎゅっとレクターはヴァレリアを抱きしめた。壁ドンからのハグ! なんだなんだこのテンプレ展開は。先程までキャーキャー騒いでいたモブ女が泡を吹いて倒れた。


「ひゅ〜♪朝っぱらから見せつけてくれんね! お二人さん」


 テ、テセウス!? お前そんなキャラだったっけ??


「だ、だってこの格好じゃないとちんすこう取られちゃうんだもん! それより離してよ! もう少しで始まっちゃうわ、喫茶店が!」


「そんなの、一緒に抜け出せばいい」


「そんなのとは何だ! こちとらちんすこうがかかっとんじゃ! レクター君! ちんすこうが」


「そんなもん、あとでたくさん買ってやるよ」


 レクターはそう言うと、その姿のままヴァレリアをお姫様抱っこし、その場からマッハ10(テン)の速度で去ってしまった。


「ああああ〜!! 私のちんすこうがーーーーッ! 沖縄の! 色んな味のするちんすこうがーーーッ!」


 ヴァレリアの断末魔を残して二人は去ってしまった。

 な、なんだなんだこの茶番は! クソクソ!


「ハッ、やれやれ。あの二人は何かしらトラブルメーカーだな。かえってやりやすい。野郎ども、行くぞ」 


 フランシスがメンバーを激励する。


「「「「「ようこそクラブハロウィンへ! 今日は一日、貴女の為に尽くします。可愛い僕の、俺の、お姫様!」」」」」


「きゃああああー!!!! 待ってましたわ神ファイブよぉ〜!!!!」


 神ファイブのメンバー達を一目見ようと集まった女子達が黄色い歓声を上げた。クソクソ、レクターとヴァレリアが気になるが、今日は一日喫茶店をしなくては! しかも私は何故か店長という立ち位置でもあるのだ! こういう時の自分の優秀さが悔しい!


 * * *


「ヴァレリア‥‥‥。見違えたよ」


 私達は校外へ出て、いつのまにか街中にいた。ムカムカムカムカ〜! 私はレクター君に怒り心頭だった!


「どういうつもりよ! いくらアンチでもやっていいことと悪い事があるわ!」


 レクター君はふっと笑うと、私の手を握った。


「ヴァレリア、今日はこの格好で一日中祭りを楽しもう。大丈夫今日はハロウィンだからみんな同じようなおかしな格好をしているし」


「ちょっ、ちょ、ちょっと! どこへ行く気!? 喫茶店は!?」


「喫茶店など知った事か! 俺は学園の男子達にお前のこの可愛い姿を見せたくないんだ」


「ふーん? なんかよくわからないけど、ちんすこうとかも買ってくれるのなら付き合ってあげてもいいわよ!」


「ハハッ! やっぱヴァレリアはおもしれー女! ここへ来ても食べ物の心配をするとは」


「なっ!//何がおかしいのよ! ちんすこうは美味しいし、名古屋はコメ●珈琲が美味しいし、は●寿司は平日90円なのよ!(今は知らないけど)」


 レクター君は急に真顔になり、私の手を引っ張りながら言った。


「お前が望むなら、なんでも買ってやる」


 〜ここから突然よくあるラブコメで使われるBGMが流れます〜♪

(テレビドラマとかでよくあるやつ)


「これはどうだ? ヴァレリアに似合いそうだが」


 そう言ってレクター君が差し出して来たのはチャイナ服。わかってないなぁレクター君は。私は花より団子なのだ!


「私はこっちのカステラがいいわ!」


 じゃあこれを包んでもらおう。


「わぁ。買った後気付いたけど、りんご飴買いすぎて両手が塞がってる! どうしよう!」


「ははは、食べさせてあげるよ。はい、アーン」


 アーンと言われて反射的に口を開けてしまう。


「アーン」


 その時私とレクター君の目が合う。ドキンッ!えっ!? 何この胸の高鳴りは!?


「ヴァレリア‥‥‥。俺は‥‥‥」


 レクター君、レクター君も私と同じくらいドキドキしてるの? 教えてレクター君! この胸の高鳴りは何?!


 〜BGM終了〜


 その時私達の顔が一瞬光に照らされた。


「わあ、レクター君あれ見て! 花火よ! 結構近いわ。行ってみましょう」


 私は無意識にレクター君の手を引っ張っていた。


「あ、ああ‥‥‥」


 ドーン、パラパラパラパラ‥‥‥


「私花火って、夏だけの物だと思ってたわ! この時期にも上がるのね! とても綺麗」


 私は花火を出来るだけ近くで見ようと柵によじ登っていた。


「ヴァレリア、好きだ」


「えっ何!? 聞こえない! わぁ!」


 私はレクター君の言葉を聞こうとして、よじのぼった柵から落ちそうになった。


「危ない、ヴァレリア」


 ガシッとレクター君が私を抱きとめた。


「わははは! ちょっとドジってしまった、ンッ!」


 レクター君が私にキスをして来た。


「ヴァレリア、俺はお前が好きだ。お前は?」


「そっ!//それ聞く前にキスするか!? やっぱアンチだなテメー!」


「ヴァレリア、真剣なんだ」


「うーむ、わかんない。もう一度キスしてくれたら、分かるかも??//」


「‥‥‥!わかった!‥‥‥‥ちゅっ」


 レクター君の唇が、顔が、私から離れていく。寂しいな。でも‥‥‥


「今はまだわからない。私の気持ちは‥‥‥。レクター君が好きなのかな? でも一つわかった事があるわ! レクター君と一緒にいたら楽しい!!」


 ドゥフフッ!! そう言ってヴァレリアはいたずらっ子のように、いや、今のは何て笑いだ?


「レクター君! これあげる!」


 そう言ってヴァレリアが渡して来たのはちんすこうだった。


「トリックオアトリートメントだよ! お菓子をあげたら喧嘩はしないっていう約束! ドゥフフ」


 色々間違っているが‥‥‥。いや、合ってるのか??


「レクター君は? ドリップオアコーヒーしないの?」


「ああ、すまん。忘れていた」


 俺は両手いっぱい抱えきれないほどのお菓子をヴァレリアに贈った。


「うわばばば! こ、これ全部くれるんすか!? 全部私のもの?」


「ああ、今日は一日中勝手にいろいろ連れ回して悪かったし、喫茶店の事もごめんな。一応ちんすこうも入ってるから‥‥‥」


 そう言いかけた時、ヴァレリアが激突して来た!


「ウッ!」


「ありがとうレクター君! 大好き!!」


 だ、大好き‥‥‥? 今大好きって‥‥‥


 俺は俺に抱きついてきたヴァレリアを見た。多分無意識に出た言葉なんだろうな。


「ヴァレリア、お前みたいな女子は初めてだよ」


 そう言って俺はヴァレリアの髪をそっと撫でた。


 ‥‥‥ところで何かを忘れている。ことは後で考えよう。今はこの可愛い温もりを感じていたい。


 * * *


 その頃バルカ学園では、神ファイブの頑張りのおかげでめちゃめちゃお金が入っていたそうな。


「トリックオアトリート!またのお越しをお待ちしております☆」



ハッピーハロウィンです〜!☆

色々ツッコミどころ過多なところがあったと思いますが、書いてて楽しかったです!ヴァレリア様のちんすこうへの執着はなんなの?笑

もう喫茶店というよりクラブですね。笑

イケメン神ファイブ‥‥‥見てみたいなぁ。


ここまでお読みくださってありがとうございました!

また読んでくださいね!



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