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ヴァレリアとアナスタシア  作者: 杉野仁美
第三章 セト達の秘密
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あのクソ王子!!

ヴァレリアの部屋に偶然ぶつかってしまったセクメトは何も考えずにヴァレリアを襲おうとしたが‥‥‥

連綿(れんめん)とした追憶の情に‥‥‥。命の底より燃えている! セクメトよ! あるべきところへ帰りなさい!』


 ヴァレリアがそう唱えた瞬間、セクメトが見えざる手に引っ張られたように見えた!


 セクメトはびっくりしてヴァレリアが寝ていたベッドの柱にしがみついた!


「うおおお〜! なんじゃこれは!! 体が! 体が引っ張られるー!!」


『往生際が悪い!! ノリ・メ・タンゲレ!(私に触るな)!』


「うおお〜〜〜〜!!!!」


 ヴァレリアの追撃でセクメトは自分が吹っ飛ばされてきた穴からまた吹っ飛んで行った。笑


 途端にヴァレリアはガクンと膝を落としてその場に倒れてしまった。


「ああ‥‥‥。はぁ、はぁ」


『ヴァーリャ! おっ? 体がヴァーリャと離れてる? 待ってろヴァーリャ! エリーを呼んでくるからな!』


 * * *


「おじょうざば〜!! 申し訳ありません〜! 不届き者がこの部屋にぶつかってきたのは見えてたんです! でも扉がなかなか開かなくて‥‥‥。建て付けが悪いのですわこの別荘は! あの馬鹿王子! こんなオンボロ荘にお嬢様を寝かせるなんて! お嬢様に何かあったら一生恨むところでしたわよ!」


 ヴァレリアをベッドに横たえさせ、その寝顔を見た途端におんおんと泣き出すエリー。恐らくずっと扉の前で四苦八苦していたのだろう。髪の乱れがすごい。


『まぁヴァーリャには何もなかったんだから、結果オーライだ! 俺様も時間稼ぎはできたし。でも王子は何をやってんだよ! こんなにチンタラチンタラして。こんなオンボロ荘にヴァーリャを残して。清潔な布はそんなにレアアイテムなのか?』


「いいえ全然。街に行けばいくらでもある代物ですよ。でも王子の事だから上等のを用意しようとお城に向かったのだと思います」


 ハンケチーフでチーンと鼻を噛みながらエリーが言う。


「まぁその気遣いが逆効果になってしまいましたがね! あのクソ王子のやつ! まずは安心してお嬢様が休める住まいを作ってほしいですわよ! 王子の力ならなんとかなるでしょう?! ねぇニーズヘッグ!」


 エリーはヴァレリアの事になると理不尽だった。


『確かに王子の力だったらなんとかなるかもな。このオンボロ荘は古い建物だと言ってもあんまりにもオンボロすぎるぜ。あの(セクメト)もなんかしつこそうだからここに来ないとも限らないからなぁ』


 それにしても‥‥‥


 ニーズヘッグはヴァレリアの顔を見ながら首を捻る。


『我 毒の祝福賜(たまわ)り 我はそのこの上なく尊い宝 紫の耀く瞳に繋ぎ止めん 連綿とした追憶の情に‥‥‥。命の底より燃えている!セクメトよ!あるべきところへ帰りなさい!』


 ヴァーリャの唱えた魔法‥‥‥。あれは俺様が聞いた事のない呪文だ。もしかしたらヴァーリャ自身の力による魔法なのか?


 うーん、ヴァーリャと繋がっていると言っても、まだまだヴァーリャについて知らない事が多いなぁ。

 もしかしたらポンパドゥール家の家系に何か秘密があるのか? 俺様を神として祀っていた事と何か関係が‥‥‥。って、、わかんねぇ〜!! 難しい事はマジでわかんねぇ!


『ヴァーリャ、お前は一体何者なんだ? 本当にただの人間なのか?』


 いや。俺様を支配し、アナスタシアと体が入れ替わっても、元に戻る方法がわかっても、ヴァレリアはヴァレリアで生きていく事を決めた。考えれば考えるほど、ヴァレリアはただの人間じゃない。


『ワハハハハ! そういえばお前は始めからただの人間じゃなかったな! 俺様はもう今さらヴァーリャに何が起きても驚かないぜ!』


 こんなに側にいるのだから! そして俺様はそんなヴァーリャの側にいて、毎日が楽しいのだから!


「ニーズ! 静かにしてください! 怒」


『ふぁいよ〜! 何か安心したら眠くなっちまったぜ、おやすみ〜エリー』


 と言ってニーズヘッグはヴァレリアの隣でまるで糸が切れた人形のように倒れ、気絶する様に寝てしまった。


 エリーはヴァレリアのベッドの周りを見渡した。


 セクメトが吹っ飛ばされて飛び散った窓ガラス。ぶつかった衝撃で凹んだ壁。お嬢様のかけた魔法であちこちぐちゃぐちゃになっている部屋!


 エリーは頭を抱えた。


「これは本格的に王子に直してもらわないといけませんわ。それか別の土地に別荘を建ててもらいませんと!」



あのクソ王子!やらオンボロ荘!が言いたかっただけの話です今回は。嘘です。

王子も王子で何か頼りになるのかならないのか汗

次回、王子がついに動きます。(多分)


ここまでお読みくださってありがとうございました!

また読んでくださいね。

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