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ヴァレリアとアナスタシア  作者: 杉野仁美
第二章

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大人の女性

※このお話は152話「二人暮らしの一日目」の続きのつもりですが、そちらを読まなくても読めると思います。


 

『おお〜! 俺様が作ったとは思えない程の出来栄えだな!』


 ヴァレリアが羽根をバタバタさせながら言う。俺たちは小さなテーブルを囲んでいる。ここは俺の別荘でくつろぐ為に作っているので家具も寝具も質素なものが多い。


「ヴァーリャ、変身したまま食べるのか?」


『ん? おー、別に戻ってもいいんだけどな。久しぶりにこの体を堪能したいと思ってな』


「ニーズ! 怒」


『ぶははは! なんだお前その顔! 冗談だよ冗談!』


 ニーズはボフンと音を立てて元に戻る。


「レクター、ごめんなさい。思ったよりもお料理って難しいんですのね。ニーズヘッグにも迷惑をかけたわ」


『ハハハ、いいっていいって! これからはエリーの代わりに俺様が家事代行するから、ヴァーリャは俺様の記憶から少しずつ学べばいいさ』


「ニーズ、ありがとう」


 仲良さそうな二人を見て俺は面白くなかった。ヴァレリアだけだ。自分に取り憑いている悪魔とこんな仲良しこよしができるのなんて。

 そういえば前にヴァレリアは俺の中の魔剣と仲良くなれないのか? と聞いてきたな。俺とレーヴァテインが仲良くなる? そんな事があってたまるか。レーヴァテインは俺の支配下にあるのだ。俺はヴァレリアのように甘くない。支配者は支配者だ。


「全く‥‥‥。魔剣と仲良くなれるなどと、ヴァーリャは本当に夢見がちな事を言う」


 まぁ‥‥‥。そんなヴァレリアだから、惹かれたし、好きになったのだが。


「ヴァーリャは本当に不思議な女性だな」


 ん? と言う感じでヴァレリアが顔をあげる。


「まぁレクター! そんなに見つめないでください!// 照れてしまいますわ!」


 慌てたように顔を真っ赤にするヴァレリア。俺はその様子に思わず吹き出してしまった。


「ヴァーリャ、仕方ないよ。ここには俺とヴァーリャの二人しかいないのだから。目が合うのさえ拒まれては」


「拒んでいるわけではないのですわ! わわ私は照れているのです。レクターがあまりかっこよいから!」


 そう自分の両頬を包みながらヴァレリアは言う。いやいや、俺はお前が可愛いよ。


「ヴァーリャ」


「レクター‥‥‥」


 俺はヴァレリアの手ををとってヴァレリアと見つめ合った。紫の瞳がキラキラ輝いて綺麗だ。


『お前ら世界一恥ずかしいぞ。婚約までしてなんだそのおままごとは』


 俺たちを見て思わずツッコミを入れるニーズヘッグ。俺はニーズをちょいちょいと指で呼び、小声で話しかける。


「そんな事言ってもニーズ‥‥‥。お前も以前言っていたじゃないか」


【『恥ずかしがり屋のヴァーリャの代わりに答えてやるよ! ヴァーリャはレクターが大人の男だということに婚約するまでに気付いてなかったんだよ! 馬鹿みたいな話だけどな! はっはっは! というわけだから、レクター、お前ヴァーリャを大事にしてやれよ!』】


 って‥‥‥


『あー、そういえばそんな事言った事あるかもしれん。あの時はまさか目を合わせるだけで照れるとかそこまでのひど‥‥‥。段階じゃないと思ってたんだよ』


「ニーズ、呆れたやつだな。ヴァーリャの中にいながらお前はそんな事にも気づかなかったのか? それにヴァーリャはまだ16歳だぞ」


『そんなのとっくに学校で教えてもらってると思ってたんだよ!』


「ニーズ、レクター、二人ともとても仲良しなのですね。私嬉しいわ! あっ! レクター‥‥‥。食事が終わったら」


「ん?」


「デデデデ。デート‥‥‥。いや、飛行よ! 飛行! ニーズと同化した時の飛行の練習に付き合ってくれないかしら!? 先程ニーズと同化した時に、何となく違和感を感じたので。しばらく飛行していなかったから(なま)ったのだと思うわ」


「? それは一向に構わないが、違和感? 大丈夫なのか?」


 確かにヴァレリアが最後に飛行したのは婚約する前のことだった気がするな。あの時のヴァレリアの蠱惑的な踊りが、目に焼き付いて離れない。


『俺様は何ともないけどな? ヴァーリャ、お前自身に心当たりはないのか?』


 ニーズはヴァレリアと飛行しても違和感は感じないという。


「うん‥‥‥。ニーズの言う通りだわ。私の体、何かおかしいのよ」


 そう言ってヴァレリアが椅子から立ち上がった瞬間、ヴァレリアは小さな声を上げてバタン! と倒れてしまった!


「ヴァーリャ!! 大変だ!ニーズ、エリーを呼んできてくれ!」


『えっ? ヴァーリャ! いきなりどうしたんだ!? 大丈夫なのか!』


 * * *


 しばらくしてエリーがマッハの勢いで駆けつけてくれた。


「これだから王子と同棲はまだ早いと思っていたのですわ! お二人とも確かにバトルでは心強いけど家事スキルはゼロに等しいし、一方が倒れるともう一方も倒れてしまうのですから! もっと早く呼んで欲しかったですわよ! 怒」


 エリーは早口で(まく)し立て、ぷりぷりと怒りながらヴァレリアを部屋に運んで行った。


「男性はしばらく入室禁止ですわ! もちろん王子もニーズもですわ。例外なくどのような立場の方でもこの部屋には入室禁止です」


 エリーはそう言ってバタンと音を立てて扉を閉め、内側から鍵を閉めてしまった。


「エ、エリー。ヴァレリアの様子はどうなのだ?? それだけでも教えてはくれないか?」


 ドア越しにエリーは答える。


「病気ではないですからご安心ください。あ、王子はお暇でしたら清潔な布を用意してくださると助かりますわ」


「清潔な布?? わかった、それだけならお安い御用だ」


 王子は馬に乗り、城へと馬を走らせた。城にはできれば寄りたくなかったが、ヴァレリアの為だ! うんと上等の布を用意させよう!


 ニーズも王子について行ったようで、別荘は一気に静まり返った。 


「ほ、これでしばらくは男たちに邪魔されずに済みますわ」


「エリー? 来てくれたの?」


 ベッドに横になっていたヴァレリアはエリーに気がつき、その体を起こそうとした。


「お嬢様、無理は禁物です。ゴホン、お嬢様、良く聞いてください。お嬢様は今やっと大人の女性になったようですわ?」


「え?」


 エリーは言いにくそうにヴァレリアに小声で耳打ちする。


(大人の女性になったのですよ)


「ふぁ?? おとなのじょせい??」


 私が頭にハテナマークをたくさん浮かべていると「お嬢様は何も考えなくて良いですから、安心して私に体を預けてくださいね」とエリーが言う。


「?? はい?」


「それにしても、本当に王子の別荘が近くにあって良かったですわ。お嬢様、明日から私がまたお世話をさせていただきます」


「エリー、嬉しいけど‥‥‥。エリーはそれでいいの?オシリスさんのお店の改装などはほっといても大丈夫なのですか?あとはセトの事も‥‥‥」


 セトとイチャイチャしなくていいの??


「私にはお嬢様よりも重要な事はありませんわ。酒場の改装は男共がなんとかするでしょう。それよりお嬢様、どこか痛むところはありませんか?」


「そう言われてみれば少し腰がだるいような気がしますわ。これは一体なんなのです? エリー」


 エリーは微笑んで、「女性には必ず月一にある事ですので大丈夫ですよ」と答えた。


 その懐かしい微笑みを見るとなぜか安心して、私はいつのまにか深い眠りについていたのだった。



ヴァレリア様とアナスタシア様は二人とも貴族で、当時(中世)の貴族は大食いが下品とされていたので成長が遅いです。ていうイメージで読んでください。

じゃあなんでヴァレリア様は大食いなんだよ!なんで成長遅いのに巨乳なんだよ!ていうツッコミは残当ですよね。わかりますわかります。

大食いになったのはコルセット取って貴族をやめた(つもり)だからです。巨乳はそれは完全に私の趣味です(大声)!それはごめんなさい!


ここまでお読みくださってありがとうございました。

大変励みになっております!


おお、おん、と思った方は広告の下にある☆に点をつけて行ってくださいね!ヴァレリア様可愛いと思った私は点がつけられない!


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