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ヴァレリアとアナスタシア  作者: 杉野仁美
第二章
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【そういうの】の説明

前回謎の行動をして王子を残して一人酒場に行ってしまったヴァレリア。残された王子は何を思うのか?


※視線がウロウロして少し読みにくいかもしれません。

【レクターは、私だけの男性なの!】


 えっえっ?今何かすごい事言われてなかったか俺?


 俺は先程ヴァレリアに言われた言葉を反芻(はんすう)しながら半ばボーっとしながら酒場へ馬を走らせた。


 * * *


 酒場に行くと、オシリスと昼から酒を飲むセトと、ユーリとユーリの足元に寄り添うケルベロスがいた。


 こちらに気付いたユーリが手を上げて合図を送る。


「おはようございます王子」


「おはよう」


「うーっす!」


「ワォォーン」


「おはよう。ヴァーリャ、いやヴァレリアは?こちらに来たはずなのだが」


 ユーリが答える。


「ヴァレリアさんはエリーさんと一緒に居ると思いますよ。エリーさんは洗濯物を干しているはずです」


「そうか、ありがとう」


 * * *


 外に出ると、洗濯物を干しているエリーがいた。ヴァレリアは?


 俺に気付いたらしいエリーが洗濯物を干しながら口を開く。


「お嬢様ならあちらですわよ」


 あちら、と言われた方向を見ると、少し小さな円形の噴水(水は出てない)に、ヴァレリアは頭に何故か小鳥を乗せたまま、難しい顔をして座っていた。よく見たらヴァレリアの周りには何羽も小鳥がいた。俺はそのシュールな様子に思わず吹き出してしまった。


「ヴァーリャ、探したぞ」


 俺がそう声をかけると、ヴァレリアが顔を上げ、周りにいた何羽もの小鳥が一斉にパーっと散っていった。


「レ、レレレレレクター!!」


 俺に気付き、ボボボと途端に火がついたように真っ赤になるヴァレリアの顔。


 なっ、なんてかっこいいの!! 栗色の髪が太陽を反射して、青い瞳が私を捉えて私を、私だけを見つめている! 思わず目を背ける私。


「あっ! あばばばば! わっ、私ったらこんな格好ではしたないですわ! 失礼しましたレクター!」


 私は立ち上がり、改めて自分の格好を見てみる。婚約式の夜、平和堂であんなに誇らしげにレクターに見せていた冒険者の格好が、急に恥ずかしくなってきたのだ。


【どうですこの装備! お世話になった道具屋さんから取り寄せましたの!】


 あんなに誇らしげにこの姿を自慢していた私の馬鹿! 馬鹿! 馬鹿! そういえば私のこの格好をレクターがどう思っているか全然聞いてませんでしたわ!


 ていうかレクターは絶対このような格好の私より、コルセットで身体を引き締め、デコルテラインのはっきり見えるドレスの方が好きですわよね??


 あれ? でもそのような方はお城にたくさん居ましたわ?? でもそれでも私を婚約者に選び、なおかつ冒険についてきてくれてるという事は、そういう事なのですよね? 私が好きって事で良いのですよね?


 私がぐるぐると考えを巡らせているとレクターが何を今更と言う感じで口を開いた。


「? 何を今更言っているのだ? 俺はヴァーリャがどんな格好をしていようと気にしないぞ? むしろその格好の方が安心する」


 今の美しいヴァーリャがドレスなぞを着たら街中いや、もしかしたら国中の男達の視線を釘付けにしかねない。そうなると俺は何をするか自分でもわからない‥‥‥


 ヴァレリアはそれを聞き、ホッとした様子だった。


「それよりも先程はびっくりしたぞ。あのような積極的な言葉を浴びせられたのは初めてだ。驚くと共に嬉しかったよヴァーリャ」


 いつのまにかレクターはお互いの体が触れ合うほど近づいてきていた。


「先程‥‥‥。あっ」


【レ、レクターは私の、私だけの男性なの!】


 ああああ私ったらまた勢いに任せてそんな事を!! どうしよう! はしたない女と思われたかもしれない! 穴があったら入りたい!


「俺の気のせいかな。ヴァーリャが触れていった頬が、まだ熱いような気がする」


 レクターは特に気にしていない様子で楽しそうに話している。


「‥‥‥」


【ほほ、この学園に入学したとはいえ、アナスタシア様はまだ13歳よ。まだ「そういうの」はお分かりにならないのでしょう?】


【まぁ、ほほほ。それもそうですわね!】


 その途端、またもや言いようのない感情がこみ上げてきた。


「そういうの‥‥‥」


「ん?」


 レクターはあのようなお嬢様方と、もしかしたら適当に婚約していたかもしれないのだ。元々婚約者など誰でもいいと何度か言っていた気がするから‥‥‥。それを思うと急に言いようのない感情が込み上げてくる!


「レクター、お城にいた時の事ですけど‥‥‥」


「ん?」


 あのお嬢様方は、多分一生ドレスを脱いだり付けボクロを取ったり扇子を離す事は無いわ。私じゃないのだから!


「私と出会わなければ、あの城の、それなりに地位のある、レクターが美しいと思う誰かと婚約していましたか?」


「えっ?!」


 レクターの答えも聞かず私は続けた。


「私は、私は嫌ですわ! レクターを誰にも取られたくない。そ、その為なら私、【そういうの】もいいと思っていますわ!」


 レクターが若干たじろぎながら頭にハテナマークを浮かべている。


「??? そ、そういうの?」


「そう!【そういうの】!! 教えていただけませんか?? レクターでしたら、もしかしたらご存知かもしれないので‥‥‥」


 私は13歳の時にお嬢様方が話していた事をレクターに話した。


 私が話した後、レクターは何故か片手で顔を覆って私の座っていた場所に腰を下ろしていた。


「レクター? ご気分がすぐれませんか?」


「いやいいんだ、いや良くはないが。ヴァーリャが悪いわけではないのだ。その、うん‥‥‥」


 俺はめまいがしていた。【そういうの】の説明を、まさか婚約者に、好きな人に、ヴァーリャに求められるとは思ってもいなかったのだ。【そういうの】ってあれだろ?つまりはそういう事だろ?


(いや、ヴァレリアならあり得るな。天然不思議発言連発で周りをかき乱してばかりだもんなヴァレリアは。いや前からおかしいとは思ってたんだがまさかここまでとは)


 そもそもそういう事は学園で教えてもらう事ではないのか? いや、これもヴァレリアを選んだ俺の宿命か! でもどのように説明をすれば良いのだ?


「レクター? 難しそうですか? それほど難易度が高いのですか?」


 そう! 難易度が高すぎる! どんな悪魔もどんな魔物が出てきても俺は余裕で倒せるが、この問題は難易度高すぎだろう!?


 そもそも【そういうの】のどこまで話せばいいのだ? ヴァレリアのこの感じから見て、最後まで知りたがっている感じだよな。俺は顔を上げ、ヴァレリアの顔をまっすぐ見た。


「ヴァーリャ、本気で知りたいか?【そういうの】」


「私は知りたいですわ。【そういうの】」


 よしわかった!ならば《実演で》教えてやろう!





相変わらず楽しそうですねお二人さん。

今回のヴァレリア様の今さらポイントは「冒険者の格好」ですね!そこ今更気にする?て思わず書きながら突っ込んでしまいました。すみません過去に没になったやつをあげていました!土下座してお詫びします。


レクターは果たして【そういうの】をどうやって教えるんでしょうね?


ここまでお読み下さってありがとうございました!


ヴァレリア様それを王子に聞くかね!(笑)と思った方は広告の下の☆に点を付けて行ってくださいね。なんだろななんだかんだ仲良いなこの二人と思った方は、私もそう思います。


ご拝読ありがとうございました!また読んでくださいね!

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