あの夜の出来事
何かよそよそしい感じのヴァレリア様。
その心中は果たして??
ヴァレリアはうつむき、顔を真っ赤にしてユーリとエリーの元へ駆けていた。
(どうしよう。今のはあからさますぎましたわ。でも‥‥‥)
私はあの日、見てしまったのです。レクターの逞しい体と、月明かりに照らされる凛々しい顔‥‥‥
* * *
ーーーー時は二人が婚約し、平和堂で一晩過ごした時まで遡る。
私は相変わらずレクターの腕の中で眠っていた。でも途中で起きてしまったのですわ。レクターの体温が、布団をさすってもなかったので、どこに行ったのか探していたのです。
ガタンッ‥‥‥
「ッ!!‥‥‥」
物音がした方を見ると、そこには月明かりに照らされる上裸のレクターがいた。
「‥‥‥えっ?」
どうやら寝衣に着替えているらしい。初めて見るレクターの裸は筋骨隆々としていて、月に照らされる褐色の肌が艶々(つやつや)としていて、彫刻のように美しくて、大人の男の人の色気を感じさせるというか、なんというか。
それにレクターの月明かりに照らされた横顔、なんて、なんて美しくて、凛々しいのだろう!
私は何故か恥ずかしくなって、そこからばっと目を離した。
(い、今までの私はずっとあんな身体に、あんなに厚い胸板に、平気で抱きついて、顔を埋めたりしていたの!?お、大人の男の人の裸って、あんな身体をしているの!?あんな、逞しくて、大きくて、強そうで‥‥‥)
ドキンドキンドキンッ!!
し、心臓が口から飛び出しそうですわ! 何故!? どうして!?
だって、今までは抱きしめられても、抱きしめても、こんなに心臓は高鳴ったりしなかった‥‥‥!
(私の体、どうなっちゃったの!?)
結局翌朝起きるまで心臓の高鳴りは止まず、レクターが寝衣に着替えて隣に戻ってきた時も、ずっと背中を向けて寝たふりをしていた! ずっと心臓がドキドキしてる。
幸いレクターは寝たふりをしている私に気付く事もなく、スゥッと寝息を立て始めた。どうしよう、明日からどんな顔をしてレクターに会えば良いのかしら?
(心臓が高鳴るたび、呼吸が荒くなってきた。これは何?? 今までこんな風になった事なかった)
‥‥‥あの日の夜、レクターの上裸を見てからずっと、私はレクターに抱きしめられるたび照れてしまって、まともに目を合わせる事もできないのですわ‥‥‥
私はずっと、レクターが男で、大人で、身体付きも私とは全然違うって、知らなかった! セトとエリーの事はあんなに体格差萌えー! とかやっていたのに、自分の事となると、全然わからない!
ずっとエリーが距離感とか、危機感が云々言っていた意味が漸く分かりましたわ‥‥‥。私は、私は、ただの世間知らずの馬鹿でしたわ。
(でも同時に、レクターのあの腕の中にいると心地良いのです。胸の中で包まれていると、安心するの‥‥‥本当は今も、ずっとレクターの腕の中で抱きしめられていたい)
どうしていいかわからない‥‥‥
決してレクターが嫌いになったわけではないのに。むしろもっと、レクターの事を知りたいのに。レクターに近付くと胸がドキドキして、どうしようもないのですわ!
レクターもきっと私の違和感に気付いているはず。だって、本当に今までは平気だったのに‥‥‥!
かと言って今更、誰に相談すれば良いのかしら? この気持ちを分かってくれる人は‥‥‥? やはりエリー?? あとでエリーに相談してみようかな。
「エリー! ユーリ! 大丈夫?? 何だか強い悪魔が出てきて、レクターが片をつけてくださったみたいですわ」
エリーとユーリはとっくに気がついていて、辺りの空気の違いに戸惑っているようだった。
「この辺りの空気もレクターが、スキドブラドニルを綺麗にした効果で浄化されたの」
「悪魔‥‥‥? ひょっとして前にヴァナルカンドが言っていたような悪魔ですか?」
ユーリがそう質問した時、レクターの馬の足音が後ろから響いてきた。
ドキン!!
レクターが近づいてくる。それだけで私の心臓が跳ね上がる!
「私はちょっと先に帰って休んでいますわ! ユーリ、詳しい事はレクターに聞いてね!」
「えっ? ヴァレリアさん! やはりあの時に何かあったのですか?」
ユーリが言っている「あの時」というのは、リヴヤタンの歌に誘われてヴァレリアが疾走した時の事だ。
「えっそ、そんな事あったの!? と、とにかく私は先に帰ってるから!」
そう言って私は馬を走らせた! ユーリの話も気になるけど今は私の心臓がもちそうにない!
「お嬢様!! 私も行きますわ」
あとに残されたユーリとレクター。
「ヴァレリアさんは何かあったのですか? あんなに顔を真っ赤にして‥‥‥」
「うーむ、俺にも分からんのだ。どうも、婚約してからヴァーリャ‥‥‥。ヴァレリアの様子が妙によそよそしいのだ。ユーリ何か知らないか?」
「ははは、僕が知るわけないじゃないですか。先日までバルカ城にいたのですよ」
「そうだよなぁ、わかるわけないよなぁ。あーどうしたものか‥‥‥ニーズヘッグも珍しく沈黙を貫いてるし。せっかく婚約者になれたというのに」
レクターはそう言いながら困ったように首の後ろを掻いた。
「ははは、悪魔を一人で負かせた王子にも、ヴァレリアさんの気持ちはわからないのですね」
「ヴァレリアの心はいつもわからない。やっと捕まえたと思ったらすぐにこの腕の中をすり抜けて行ってしまう」
そう言ってレクターは何度目かのため息を吐いた。
大人の男の裸アアアアァ!!(大興奮)そうなんですヴァレリア様は大人っぽいですが、まだ16歳の少女で未熟で(身体は発育が良いです)大人のレクターの上半身を見た時の衝撃たるや、想像に難くないっすね!私も変な気持ちなってきたぁ!!
気持ち悪いですか私は!?
この話はどうでしたか?
ヴァレリア様わかるー!あの上腕二頭筋の筋肉具合堪らんよねと思った方は是非広告の下にある☆を満点にして行ってください!えっ何このヴァレリア様、今更?でも可愛いと思った方も☆を真っ黒に染めてくださいね!
すみませんちょっとふざけちゃ(以下略)
ご拝読ありがとうございました。また読んでくださいね!