誰か教えて!?
前回圧倒的威圧だけでリヴヤタンを鎮めたレクター。
レクター以外いらないのでは?という疑問はそっと心に閉まいましょう。
レクターはヴァレリアの元に駆けつけるのだが、何だか様子がおかしい。
『お、お前は一体何者なんだ?!』
殺気を収めた俺に安心したのか、リヴヤタンが聞いてくる。
「お前知りたいのか? まあいい。お前には教えてやろう、この俺が何者かを」
コイツは先程、諦めたとはいえ一度でも俺のヴァーリャに触れようとしたからな。一応牽制しておかないと‥‥‥
「俺はレクター王子。魔剣レーヴァテインをこの身に宿す者だ」
そして、いずれは王位を継ぐ。このバルカ王国に君臨する王になる男だ。
「レーヴァテイン‥‥‥」
リヴヤタンは魔剣の名前を聞き、ぶるりとその身体を震わせた。この様子だと、レーヴァテインが何であるか知っているようだ。
「これでわかったろ。もう二度と変な気は起こすな。俺は元々平和主義なんだ。余計な争いはしたくない。わかったらどこかへ行け」
俺はそう言い放つと、気絶しているヴァーリャの方へと目を向ける。
わかっている。俺はいずれこの国の王になる。‥‥‥でも今は、できればそれはまだ先にしてほしい。前までは結婚相手も王位継承もどうでもいい、いつでもいいと思っていたけれど‥‥‥
今は俺の結婚相手はヴァーリャ以外考えられない!
「ヴァーリャ」
「う、う‥‥‥」
俺はヴァーリャと結婚したい
この世界にたった一人の
どこを探してもいない
ヴァレリア、俺の命‥‥‥
「‥‥‥レクター??」
「ヴァーリャ! 気がつい‥‥‥」
ヴァレリアが気がついた事にホッとして俺が抱きしめようとすると、突然ヴァレリアが叫んだ。
「ああーっ!! スキドブラドニルが! さっきはなかったはずなのに! 見て! レクター、あれでしょ? スキドブラドニルって!?」
ヴァーリャお前‥‥‥空気を読めよ!今完全に抱きしめ合ってキスする流れだったよねぇ!?
「ねぇねぇレクター! スキドブラドニルよ、なんて美しいのかしら‥‥‥幽霊船なんて要素はまるで無いわ」
そう言ってヴァレリアが指を差した方向にはスキドブラドニル、先程までまるで来るものを拒むかのように荒れ果てていたのに。今は金色に輝く豪華な船がそこにはあった。
まぁ知ってるけどな‥‥‥俺が直したんだから。
「でも私、ここに来るまでの記憶がないの。‥‥‥一体どうし‥‥‥」
「それは、お前が操られて‥‥‥」
「きゃ、何」
ヴァレリアはそう小さく悲鳴を上げてサッと俺の後ろに隠れる。
「なんだお前、まだいたのか」
見るとまだそこにリヴヤタンが立ち尽くしていた。
「お前はもう解放されたんだ、好きに生きろ」
俺は若干イライラしながら言い放つ。
『だがあんな風に目立っては、海賊たちの格好の餌食だ!』
目立つ?ああ、スキドブラドニルの事か。
「あの船は海賊たちには見えないように細工を施したよ。いいから早くどこかへ行け! この地を荒らさないようにしていれば、いずれお前を崇める人間も出てくるだろう」
(そしてヴァレリアを視界に入れるな)
『そうか、こんな事を悪魔の僕が言うのはおかしいけど、ありがとう!』
「気にするな、お前も元々は海の守り神だったのだろう? いずれ荒ぶっていたお前の心も晴れるよ」
リヴヤタンはもう一度ありがとう、と少し微笑みながら言って、やがて消えて行った。
(なんとかなったな、それにしても高等悪魔が出てくるなんて難易度高すぎだろ。後でオシリスに文句を言う必要があるな)
「えっ? 何だったんですの今の? 悪魔って言ってましたが?消えてしまいました‥‥‥」
「ああ、スキドブラドニルを住処にしていたリヴヤタンという悪魔だよ。どうやら海賊やら人間に住処を荒らされるのを恐れるあまり、悪魔になってしまっていたのだが、いずれ正気を取り戻すだろ」
「悪魔でも、今の悪魔は今までの悪魔が比にならない位の邪悪さを感じましたわ。もう大丈夫なんですの?」
頭にハテナマークを浮かべているヴァレリアに説明する。悪魔を体に宿しているからか、ヴァレリアには分かるらしい。
「ああ、悪魔にも階級があってな。元々は何かの守り神だった悪魔程階級が高くなるのだ。今のリヴヤタンがいい例だ。元々はあいつも、この辺の海の守り神だった‥‥‥。いつの間にか悪魔になってしまったみたいだな。でもリヴヤタンは住処が綺麗になってウッキウキで戻って行ったし、それに先程ヴァーリャが言ったように、もうスキドブラドニル周辺から悪意は感じないだろう?」
ヴァレリアは俺の話をほえ〜という感じで聞いていた。
「そう言われてみれば‥‥‥そうですわ、さっきまでの重い空気も雰囲気も感じないですわ。あの船が綺麗になったのも、先程までの嫌なオーラを感じなくなったのも、全部レクターが?」
言われて俺は首の後ろを掻く。
「ははは、まさかあんな悪魔が出てくるとは思わんかったからな。少し本気を出してしまったんだ。結果的に俺一人で解決してしまって、申し訳ない」
しかもあいつ(リヴヤタン)はよりによってヴァレリアを花嫁にとのたまった。あの発言は俺を本気で怒らせるのに充分だったからな。
俺は申し訳なさそうに言って、ポカンとしているヴァーリャを抱きしめる。ああこの感触、落ち着く‥‥‥
「とにかく怪我が無くてよかった、ヴァーリャ‥‥‥」
「‥‥‥」
ヴァーリャ??ヴァーリャは俺の腕の中で、まるで初めて抱きしめられた時のように頬を染めていた。
なんか変だな?こんな時今までのヴァーリャなら「すごいですわ! レクター!」
とか言って飛びついてくるのに。
「あ、あの、レクター‥‥‥もう解決したのなら、ユーリたちに知らせませんと‥‥‥」
そう言うとヴァレリアは俺があげたマフラーに顔を埋めて走って行ってしまった。
はぁ?
なんだなんだあの態度?!何故急にヴァーリャはあのような態度をとるのだ??婚約までしたのに??誰か教えて!?
ヴァレリア様は本当になんで急に照れ始めたんですかね??うーん、謎だ!
そういえばニーズヘッグも元々守り神だったんですよね。
ヒュドラも。ニーズヘッグは高位の悪魔なのですよ!
でも今イチ強キャラ感出せてないのはなんでやろな?
ここまでお読みくださってありがとうございます。
この話が良いと思ったら広告の下にある☆に点を付けて行ってくださいね。良くないと思ったら☆にZEROを付けて行ってくださいね!
ご拝読ありがとうございました。また読んでくださいね。