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ヴァレリアとアナスタシア  作者: 杉野仁美
第二章
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久しぶりの冒険!

久しぶりの冒険に、ヴァレリアはウッキウキで胸を弾ませていた。

そこへ、はるばるバルカ城に手紙を届けに行ってくれたニーズヘッグが戻ってきて‥‥‥

 翌日ーーーー


 ヴァレリアは一人張り切っていた!


 フンフーン♪鼻歌を歌いながら上機嫌だ。朝から踊り出しそうな気分だった。


「あら、ニーズヘッグ?」


 窓の外を見ると、ニーズヘッグが小さな羽根をパタパタさせて浮遊していた。


『ヴァレリア〜! 会いたかったー!』


 そう言うとニーズヘッグは私の胸の中にボヨンと入ってきた。


『ああ〜柔らかくていい匂い! やっぱり俺様この場所が一番落ち着く』


「全く、手紙一枚届けただけでもうホームシック(?)ですか? お嬢様、お食事の用意が出来ていますので下に降りて来てくださいね、私はヴァレリア様の部屋を掃除させて頂きますから」


 ヴァレリア達はいつまでもオシリスの家を借りているわけにはいかないので、領主(ガロ)に許可を得て、ガロの別荘に身を寄せていた。


『ヴァーリャ、今日は何か嬉しそうだな。それほど楽しみなのか?』


 ニーズヘッグが私と一緒にパンをもぐもぐしながら話しかけてきた。


「そうなの! だって久しぶりにみんな揃っての冒険ですもの! ニーズも、ユーリも、そ、それにレクターも//」


 私がそう言って照れる様子に、ニーズは何故か少しムッとした。


『ヴァーリャは変わったな、前まで王子が冒険について来る事に否定的だったのに』


「えっ?! そっ、それは! あの時はレクターが何を考えているか分からなかったし、混乱してたからですわ!」


 そもそもいずれ王になる立場のお方がお城を抜け出すって事自体が信じられませんでしたもの。


『ヴァーリャ〜! 俺様はずーっと前から、王子に会う前からずっとお前に憑いていたんだからな!』


 そう言うとニーズヘッグは私の頬に擦り寄ってきた。


(ニーズ? 甘えたいのかしら? 可愛いわねえ)


「わかっていますよニーズヘッグ。あ、そうだわ! ニーズも私の愛称で呼んでくれるようになったし、貴方も付けてみない? 愛称」


『ヴェッ? 俺様に? 今更いいよ愛称なんて、ニーズでいいよ!』


「うーん‥‥‥。何にしようかしら。羽根が生えてるから、ペンナとか、プテラとか、小さいから、プティとか?」


『やめろー! 今まで通りニーズでいいの! 俺様が一番好きなヴァーリャが呼ぶ「ニーズ」が一番好きなの!』


 そう言うとニーズはまた頬擦りしてきた。


「今日はずいぶん甘えん坊さんね!」


『だって王子と婚約しちゃってヴァーリャが俺様のものじゃなくなったんだもん! 俺様最初二人の婚約後押ししてたけどやっぱ嫌だ!』


 そう言うとそっぽを向くニーズヘッグ。


 私はニーズの頭を撫でながら、やれやれ可愛い奴めと思った。ニーズはしばらくの間頬擦りしていたが、ふと疑問に思ったことを聞いてきた。


『セトは? 結局行かないのか?』


「セトは行きたがってたのですよ。だけどエリーが、オシリスさんのお店の改築を手伝ってくれって言って聞かなくて。可哀想にセトはすっかり小さくなっていましたわ、あんなに体が大きいのに」


 私も、久しぶりにセトとエリーのイチャイチャが見たかったですのに‥‥‥


『ふーん? まぁ王子もユーリもいるし、その辺はエリーが考えてるんかな? 知らんけど』


 * * *


 私達は酒場で合流し、スキドブラドニルの位置を確認し、必要な物資を馬にくくりつけた。


「さあさあ、行きますわよ〜!」


「ヴァーリャ、昨夜はよく眠れたか?」


 馬を走らせているとレクターが話しかけてきた。


 そうだわ、今日からは堂々と婚約者としてレクターは冒険に着いて来てくれるのですわ。それにレクターは‥‥‥な、なんかそう思うと急に恥ずかしくなってきた//


 私はレクターがくれたマフラーに顔を埋めて小声で答えた。


「‥‥‥。う、うん!」


「??」


 レクターが変な顔をしてこちらを見ている。当たり前か、私にもわからないのだもの‥‥‥


 何なのこの今更な胸の高鳴りは、私にだってわからない!止めようとしても止められない! だって、レクターは‥‥‥


『おい! 馬に乗ってる時にボーッとすんなよ! 落馬したらどうすんだ!?』


「あ、ああ、ごめんなさいニーズ。久しぶりでつい油断してたわハハハ」


 レクターとは余計な考えが邪魔をしてうまく話せなかったので、私はニーズが話しを振ってくれた事に少しホッとしていた。


『ハハハ、じゃねーんだよ! お前そんな時こそ俺様に変身しろよ!』


「ありがとうニーズ。いえ、ベベシュシュ(可愛いキャベツちゃん)」


『ハァ〜!!? だっ、誰がベベシュシュだ!! 気持ち悪りぃあだ名付けんな!』


 二人が楽しそうにしている様子を見て、レクターは複雑だった。


(なんだこの疎外感は? せっかく婚約したのに、ヴァーリャ)


 今すぐにヴァレリアを抱きしめたいな‥‥‥


 などと三人が各々の思いを巡らせていると。その場の雰囲気があっという間に暗くなり、スキドブラドニルの近くまで来ているのがわかった。


「お三方とも、ここからは油断しないでくださいね! 王子も! 特にヴァレリア様!」


 殿(しんがり)にいたエリーには三人の様子が丸見えだった。


(このお二人は婚約したというのに何でいつまでもこの調子なんですかねぇ!?(怒)特にヴァレリア様の態度の変わりようは何?!)


 エリーはイライラしながら大声を上げた。




ヴァレリア様今更何をときめいているんですかね?


ヴァレリア様が何を考えているのかわかりま千円!

ニーズが可愛いくて、今回はニーズヘッグを「ベベシュシュ」と呼ばせたかっただけの話になってしまった!


次回はユーリと現地集合します。


ここまでお読みくださってありがとうございます。

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