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ヴァレリアとアナスタシア  作者: 杉野仁美
第二章
135/269

スキドブラドニル

その日の夜、ニーズヘッグは王子から預かった手紙を携えてユーリの元を訪れていた。


 その日の夜ーーーー


 ガルシアとユーリは軽いディナーを食していた。


「ええっ!? レクターから呼ばれた!?」


「はい。この手紙をニーズヘッグが届けてくれて‥‥‥」


 そう言ってユーリがチラッとニーズヘッグの方を見ると、テーブルに並べられたパンに(かじ)りついていた。


「はぁ、残念だな。せっかくフランシスと一緒に政務を()り仕切りたかったのに」


「はは、すみません。すぐ戻って来ますので」


 ユーリの言葉にガルシアはハッとして慌てて首を横に振った。


「いやいや、冗談だよ。私はレクターに王として、父として何もできなかったからな。今のレクターを見ていて嬉しいんだ。生き生きしていて、人生を楽しんでいる。だから安心して行ってくるがいい、ユーリも(ようや)く過去のしがらみと決別できたんだ、ユーリはユーリの人生を歩めば良い。それにしても、レクターがユーリを呼ぶとは珍しいな、きっとよほどの事があったのだろうな」


「はい、その‥‥‥。大昔、女神に献上された船に行くらしいんですけど、ガルシア様はご存知ですか?」


 そう言ってユーリはガルシアに手紙を見せた。


「ええ‥‥‥。ここに何をしに行くのだ?」


 ガルシアは手紙を見て頭を抱えた。


 ユーリはハテナマークを浮かべる。もしかしてやばい案件なのかな?


「何か最近その船の辺りで騒音騒ぎが止まらないので、様子を見て来て欲しいという依頼です。多分王子にもよくわからないから、僕を呼んだんだと思います」


 詳細がわからない依頼は僕も嫌だ。普通は断るのに、王子がそれをせず、僕を呼んだのは多分‥‥‥


『ヴァーリャが行きたい行きたい、て駄々こねたんだよ』


 やはり‥‥‥。何故ヴァレリアさんは自ら危ない所に行きたがるのだろう? 何か得体の知れない何かが、ヴァレリアさんを引き寄せているのか? それともヴァレリアさんが引き寄せているのか?


「ニーズ、お前これを見た時何も言わなかったのか?」


 ガルシアがニーズヘッグに問う。


『俺様はイケると思ったぜ? 参加するのが王子と俺様とユーリとエリーだったらな!? 言い出しっぺのヴァーリャだけが足を引っ張りそうだが、俺と変身すればまだマシになるだろ? だから()えて何も言わなかった』


 ヴァレリアさんが危険な所に行きたがるのは、このニーズヘッグが原因じゃないのか? ニーズヘッグの何にでも楽観的な所と、ヴァレリアさんの天真爛漫な所は、妙に波長が合っている気がする‥‥‥


『うん、やはり城のパンは美味い! 菓子もうまい!』


 そう言ってまたバターをたっぷりつけてパンに齧りつくニーズヘッグ。


 よく食べるな‥‥‥。この辺もヴァレリアさんと似て来たような。あっ、これはヴァレリアさんに失礼ですね。


「ガルシア様はその船が何かご存知なのですか?」


「うむ。この船は大昔、神々を乗せる船として、女神に献上されたものらしいのだが」


 今では誰も管理するものが居なくなってしまって、すっかり朽ちた幽霊船だと言われている。


 ガルシアは重い口を開くと静かに話し始めた。


「一度魔法学校で噂になった事があってな、その幽霊船、スキドブラドニルの」


 私とフランシスが12歳くらいだったか、そういう時期はとにかく多感で、何にでも興味がある時期だった。魔法以外にも、もちろんフランシスもそうだったよ。


 特にその時期流行っていたのはもっぱら幽霊とか不可解な現象、未確認で魔法でも科学でも証明できないようなものだ。誰しもが一度は通る道だろ、ゴホン//


「で、実際そのスキドブラドニルを見に行ったことがあるんだが」


 ゴクリ‥‥‥。ユーリは緊張して唾を飲み込む。


「私とフランシスは確かに聞いた! 女のうめき声みたいな声を‥‥‥」


 もちろん私とフランシスはあまりの恐怖に絶叫して急いで魔法学校に戻って来たよ。二人ともその日は魔法学校の寮で一日中毛布をひっかぶって震えてた。


「しかし騒音か‥‥‥。もし女のうめき声みたいなのだったら私だったら速攻逃げ出すがな。その依頼主も何かがありそうだな」


「何か、とは?」


「スキドブラドニルには色々噂があるんだが、一つは先程の幽霊騒ぎ、あとはお宝が眠っているとかな。なにしろ女神に献上されたと言われる神々の乗る船だ。さぞ豪華絢爛だろうよ、その不気味さゆえ誰も近寄らないが」


 なるほど‥‥‥。それで「詳細がわからない」のか。誰も近寄らないから。


 ガルシア様の仰る事が正しければ。


「その依頼者、やってる事が卑怯ですね。謎を解明できたらその船の財宝を盗もうって」


「ははは、まぁ簡単には行かないと思うよ! 12の時とはいえ、あの女のうめき声からは底知れぬ憎悪と怨嗟を感じたからな。それがまだ残っていて、騒音の原因になっているかはわからないが‥‥‥。まぁ、うまく解明できるといいな!」


 そう言ってガルシアはグラスを掲げた。


 ユーリも慌ててグラスを掲げる。


「では旅の無事を祈って!」


『ああ〜もう食えない。ヴァーリャ、むにゃむにゃ』


 ニーズヘッグはお腹いっぱいになったのか、そのまま机の上で眠ってしまった。


冒険するするって言いながら全然してないですね

すみません!しかもめっちゃ短かったですね。


次回こそユーリも加えてヴァレリア様たちと冒険じゃじゃいのじゃい。


魔法学校でのガルシアとフランシスのエピソードもいつか書きたいなぁ〜


ここまでお読みくださってありがとうございます。


ユーリは優しいなぁ〜癒されると思った方は広告の下にある☆に点を付けて行ってくださいね!ガルシアやってる事幼すぎてワロタと思った方は私と握手してください。

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