婚約の条件
前回アイシャが生きていた事を知り、衝撃を受けたヴァレリア。
決意を胸に、まずはレクターの元を訪れるのだった。
「なんだこれは?」
王子は領主の離れの城を借りて寝泊まりしていた。これは領主のたっての願いだった。
王子はエリーから丁寧に封をされた手紙を受け取る。
「婚約の条件ですわ。あとはお嬢様とよく話し合ってください」
そう言ったエリーの後ろにはヴァレリアが佇んでいた。
昨夜のドレスや化粧が夢まぼろしのごとく、そこにはもう見慣れてしまった冒険者の装備を整えたヴァレリアがいた。
だが、相変わらず胸はでかい。
「どこを見てますのよ!//」
「あ、ああ、いや‥‥‥。俺があげたネックレス、似合ってるなって」
俺はヴァレリアを部屋にあげる。エリーは酒場に行くらしい。ダンスフロアを作るための大規模な工事が始まるので、その手伝いをするのだそうだ。
「で何だ? 婚約の条件? とは」
「そのままの意味ですわ。レクターと婚約するにあたって、その条件を満たさないと婚約しないっていう」
俺は一瞬ポカンとしたが、まぁいいか。その条件とやらを見てみよう。
(こんな風に書面化しなくても、俺はヴァレリアの言うことなら何でも聞くんだがなぁ)
1. 婚約式は近しい親戚の前でだけで行う事
2. 婚約後も外の世界に出て旅をしていい
3.婚約後は王子も一緒に(王子さえよければ)旅をしましょう
4.婚約指輪を渡すこと
5.婚約後はヴァレリア様以外触れない事これはエリーからのお願いです(王子の事だから大丈夫だと思いますが)
「ブフッ」
俺は思わず吹き出した。なんだこの条件は? こんなのが不安だったのか? 可愛いやつだなヴァレリアは‥‥‥。特にこの4と5はなんだ?
5については絶対に有り得ないし、4については‥‥‥
「ヴァレリア、指輪が欲しいのか?」
「えっ!?//」
いえ、私は、私は‥‥‥
と、ヴァレリアは指を動かしてモジモジし始めた。
「レ、レクターの‥‥‥」
「ん?」
「レクターの、金色に変わる瞳と同じ色の指輪が、欲しいですわ」
そうすればどこにいても、レクターを感じる事ができますわ。私はそれだけでいいのです。
ドッ!キーン!
(なっ、なんだこの可愛い生き物‥‥‥。俺とした事が取り乱してしまった。いやヴァレリアにはいつも乱されてばかりだが、それはそうなんだが)
「あ、ああ‥‥‥」
そんなのは、お安い御用だ。ヴァレリアの為なら、ヴァレリアの心に寄り添う事ができるのなら。
「いいよ、最高なものを用意させよう」
「えっ! そ、そんなに最高じゃなくてもいいんですよ! 私はレクターが‥‥‥。いてくれるだけで」
「いや、仮にも一国の王子の婚約者へ贈るものだ、最高のものでなければならない」
「レクター‥‥‥」
婚約者、婚約者かぁ‥‥‥
私はレクターの頬にそっと触れる。
(私はこの人の婚約者になるのね。この世界で、たった一人の)
「ヴァレリア」
私が触れている手に触れて、レクターが私を見つめる。
「ヴァレリア、今の俺の瞳の色は何色だ?」
「青、ですわ。レクター」
「本来の色が青なのに、金色の方がいいのか?」
それを聞いてヴァレリアはふふっと笑って言った。
「私も元々は黒だったのですよ。でもニーズが取り憑いてから紫になったのです。レクターはこの瞳とニーズヘッグごと、私を愛してくれました。私も、レクターの中の魔剣と、ウードガルザごと、愛していますわ」
だから金色の方がいいのです。
「ヴァレリア!」
俺は歓喜し、思わずヴァレリアの体を抱きしめていた!
「うわぁ! レクター!」
「いやすまん、あまりに嬉しくて」
ヴァレリア! なんと愛おしくて、可愛いくて、愛おしくて‥‥‥
「ヴァレリア、明日バルカ城に帰ろう!」
「ええ! レクター!」
ヴァレリアはそう言うと嬉しそうに抱き返してきた。
はいはい楽しい楽しい二人の時間。
お前らお互い両思いのくせにここまで来るのにどれだけかかるんだよ!( ;∀;)
いやすみません、私の性癖が邪魔して長く(以下略)
第一章完結近づいてきました。
頑張るぞい☆
ここまでお読みくださってありがとうございます。
王子はヴァレリア様の前では知能レベルが著しく減ると思った方は広告の下の☆に点を押して行ってくださいね!ヴァレリア様可愛いやんけ//変な気持ちなってきたな?と思った方は私と同じ変態です。
ご拝読ありがとうございました!また読んでくださいね。