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ヴァレリアとアナスタシア  作者: 杉野仁美
第一章 ヴァレリアとアナスタシア
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そういえば婚約者でしたね・二

「そういえば婚約者でしたね」の王子視点です

王子の我儘っぷりをどうぞご覧ください


※文中で王子が「印象派の絵画」という例えを用いていますが、この小説ではまだ印象派は出てきていません(という設定)



 しばらく降りるのを待っていたが、寒いだろう。俺は平気だが、ヴァレリアが気になって仕方ない‥‥‥。俺も飛ぶか‥‥‥


 バサッとふわふわした翼を広げて様子を見にいくと、何やらニーズヘッグと話している様子だった。


 とはいえ今はニーズヘッグとヴァレリアは同化しているわけだから、側から見たらヴァレリアが一人で話しているように見える。


「‥‥‥。でも一度は挨拶に行ってみたいわ。こんなお金だけ送ってもらって、悪いし」


『やめとけやめとけ! ろくな事にならない! ヴァレリアは大人しく俺様と王子に守られてるのがいいの! なんで自ら見えてる地雷に飛び込もうとするかね?』


「なななななんでそこで王子が出てくるの!?//」


『なんでってお前は王子の』


「婚約者だろ、俺の」


 俺は思わず口を出さずにはいられなかった。もう何度も同じことを言っているのに、婚約者(この)件だけはヴァレリアが首を縦に振らないのだ。


 訳がわからん‥‥‥。ハグもキスも、想いも伝え合っているはずなのに。それだけでなくヴァレリアは命がけで俺を守ってくれたのに。


 愛の言葉も、幾度となく囁きあってきたのに!


「婚約者? あ、ああ」


 ヴァレリアが納得しているのかどうか分からない返事を返す。どうやらまだまごついているらしい。


 ヴァレリアの事だから、アナスタシア(元はヴァレリア)に申し訳ないとか思ってるんじゃないのか?


 しばらく黙っていたヴァレリアが口を開く。


「レクター? ずっと気になってたんですが、まさかレクターが一緒についてきたのって、私がいきなり婚約破棄しに直談判しに行ったから、気になっちゃったとかそれ系ですか? 俺のものだったのに〜! とか? だとしたらそれってすごく我儘な行動だと思いますよ! シリウスもさぞ苦労して」


 なっ! このお嬢様は何を言いだすのだ?? シリウス? どうして今その名前が出てくる! 大体お前はそのシリウスに、先程何をされそうになった? お前は、俺がいなかったら襲われていたかもしれないのだぞ!


 イライライライラッ!!(怒)


 一気に頭に血が昇って、気付いたらヴァレリアを抱きしめていた。


(その名前を、俺の前で言うな!! 反吐がでる!)


 思わず抱きしめる腕に力がこもる。クソッ、クソッ! この超絶激鈍お嬢様は、どこまで俺の心を掻き乱すのだ!


「レ、レクター、肩が」


 痛いんだよな、わかってる。わかってはいるが、イライラが収まらない! 俺の目が金色に変わっていくのがわかる!


 ギラギラした目でヴァレリアの目を見る。ヴァレリアはオロオロとしてこちらを見上げる。狼狽えてはいるが、ジッとこちらの目を見て逸らさない。


 ヴァレリアはわかっていない。いや元からそんな気はしていたが、とにかく危機感が無いのだ! とにかく危機感が皆無!(大事な事だから二回)エリーに何度も注意されても、人を疑う事を知らないのだ。シリウスにしてもアルトアにしても、時が経てばケロッとしている。ユーリに至っては寝所を一緒にしても良いとさえ思っている節がある!


 何故だ!? 何故こいつはこんなに鈍いのだ? いつもギリギリのところで俺が助けに来るからか?? 一回痛い目に遭わないとわからないのか? それを考えるとまたイライラしてきた!


「んっ!」


 ちょっとだけ意地悪な心が湧いてきた。今までしたことのないキスをしてやる! 今まではふんわりタッチの柔らか〜い印象派の絵みたいにぼやけたキスばっかりしていたが、今は違う! 奪って、絡めて、俺のものだってわからせてやる! 激しく、獣のようなキス!


 俺の本気と怒りと激情を受け止めろ! この超絶鈍感不思議お嬢様!


「ふぁっ‥‥‥」


 ヴァレリアの足元がふらつく。それをがっしりと支える! どうだ? 少しはわかったか? 俺の本気を‥‥‥


 ヴァレリアはわかったのかわからないのか、少なくとも俺の足を蹴る事はやめていた。


「はぁ‥‥‥。ヴァレリア、もうおかしな事言うなよ。お前のせいで俺は振り回されっぱなしなんだ」


 俺は抵抗しなくなったヴァレリアを抱きしめてその柔らかい肩に顔を埋める。


「うん、ごめんなさい‥‥‥」


 でも確かにヴァレリアの言うことも一理あるんだよな。俺は初めはヴァレリアの事を何とも思っていなかった。いや、むしろ嫌いだった。特にこの紫の瞳‥‥‥。悪魔の色だと言って嫌がって。こんなに綺麗で可愛いのに。そういえば禁足にもしていたな。


 俺はそこでハッと気付く。


 それで‥‥‥。ヴァレリアはあんな事を聞いてきたのか。


【王子、貴方は最初、私のこの紫の瞳が嫌いだと言っていましたね。悪魔の色だと言って。実際私にはニーズヘッグが取り憑いていますわ。でもヴァレリア様は、元々黒い瞳だったのです】


【この話を聞いても、お気持ちは変わりませんか? ヴァレリア様は元々黒い瞳で、ニーズヘッグが取り憑いてから紫の瞳になってしまったのだけど】


 ヴァレリアはもし仮に自分が俺の婚約者になったとして、バルカの噂になるのを懸念(けねん)していたのかもしれない。中には意地悪な事を言う奴らもいるからな。俺に対する中傷や、悪魔憑きと婚約などと噂されるかもしれない。それで念押ししてあんな事を言っていたのか。そうか、それを考えると確かに俺は我儘だ‥‥‥


 ヴァレリアが「婚約」という言葉に二の足を踏んでいたのも今は分かる。「婚約」と「恋人」とでは意味が全然違うもんな‥‥‥


 それを一番良くわかっているはずの俺が、婚約を急かしたら混乱するのも当たり前か。ヴァレリアの不安な気持ちも考えずに突っ走ってしまった。


 シリウスにも、苦労をかけた(気がする)。


 今頃になって気付くなんて、馬鹿なのは俺だ。


 ヴァレリアのこの美しい紫の瞳を毛嫌いしていた。悪魔の色と敬遠していた!


 この紫のキラキラした瞳が、悪魔なものか! むしろ天使じゃないか。俺のあげたアメジストの首飾りを反射して、一層眩しくて。俺はこんなに美しいと思うものを毛嫌いしていたのか。やはり馬鹿だな俺は。過去に戻って当時の俺を殴ってやりたい‥‥‥!!


 ぎゅっと俺の手をヴァレリアが握ってきた。


「私、レクター以外に触られるのは嫌ですわ。でもレクターを一喜一憂させてしまうのはもっと嫌ですわ」


 その言葉に内心ホッとしてしまう。


「という事はもういいよな! 婚約を公にしよう。これで国中にヴァレリアとの婚約が伝わる」


 俺はもとより、バルカのくだらん噂話など耳にしても気にならんからな! 俺の手を握るヴァレリアの柔らかい手にそっと触れる。


「ヴァレリア、愛してる」


「バッ、バッカじゃねぇの!?//」


 俺はヴァレリアにマフラーを巻いた。


「そろそろ降りよう、ヴァレリア」



やーいやーい!馬鹿って言った方が馬鹿ー!(知能レベル小学生)


レクターは漸く自分の身勝手さに気付きましたね?

でもまだまだ我儘は抜けきれないと何となく思うなぁ〜(疑)


お嬢様も相変わらず激鈍すぎて天然すぎて、周りにこんな女性がいたらストレス凄そう(笑)

でもこの凸凹具合が好きなんだよなぁ〜。

難儀な性癖ですみません汗


これからも王子はお嬢様にぶんぶん振り回されてほしいです


じゃないと気が収まらない!(なんで?)



あなたは王子は我儘自己中秘密主義の無双男で生意気だと思いますか?同意同意と思った方は広告の下にある☆に点を付けて行ってくださいね。もうヴァレリア様変なところで臆病なんだから☆と思った方は私と握手しましょう。


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