ヴァレリアに触るな!
※少し百合表現?というのかな?みたいな描写があります。
前回酷い目に遭って懲りて二度と王子に逆らったりはせず、これからも真面目に生きていく事を決意したシリウス(笑)
その頃王子は‥‥‥
王子視点です。
高級娼館にて。
ネフティスはマダムから最初の提案から上乗せしてふんだくろうとしているのか、なかなか出てこない。
ヴァレリアは心配そうにドアの隙間から様子を伺っている。うーむ、横顔も天使だ。俺はニヤニヤしながらヴァレリアからそう遠くない位置で二人を待っていた。
ふとそこへ見覚えのある馬車が止まった。
あの紋章は‥‥‥。バディエールの紋章?? 俺は馬車の扉にデカデカと刻印されている紋章に目をやった。
シリウスか? 高級娼館に何をしに? えっ何? シリウス君、ブフッ! 普段はあんな澄ました顔でいるのに? 侯爵家なんだから女には困ってないはずなのに。そうですかそうですか。まぁ、シリウスには世話になっているしな、たまには豪勢な息抜きも必要か‥‥‥
むっ?
ヴァレリアがシリウスに気づいて挨拶をしている。
扉の前にいるから仕方ないな。ああ、そのようにシリウスに微笑んだりして、シリウスでなくても誰だって脈アリと勘違いするぞ!
俺は一瞬で機嫌が悪くなった。
(早く中に入れよ! シリウス! 俺のヴァレリアにちょっかいを出すな!)
俺はイライラがピークに達しようとしていた!
シリウスの顔を見る。あれは完全に陥落した男の顔だ。と、呑気に思っていると。
なっ‥‥‥
シリウスはヴァレリアの手を壁に押し付け、無理やりキスをしようとした!
な、に、を‥‥‥。俺の視界はぐるぐると回った! 耐えきれない! 俺の中の魔剣が怒り狂うのが分かる!!
バキバキ、バキ!!!!
(あぁぁぁ!!怒)
ウードガルザ‥‥‥。俺はいつのまにかウードガルザに変身していた。ウードガルザは怒っている!! 当然だ、ウードガルザと俺は感情が繋がっているからな‥‥‥
((あいつ! 何をしている!))
俺の《私の》ヴァレリアに!!
ヴァレリアを襲っているシリウスを見て、俺の怒りのボルテージは振り切れた! シリウスの背後に音もなく現れ。無限の殺意を解き放つ!!
コロス、コロスコロスコロス!
ほんとに殺したりはしない。シリウスには分からせないといけない! 思えばこいつ。シリウスは、俺を舐めくさっているところがちょいちょいあったからな!
『振り向くな、シリウス。振り向いたら死ぬと思え』
シリウスの肩が弾かれたようにビクンと脈打ち、その体がガタガタと震える! この姿を見て平気な者は恐らくヴァレリアと親父以外いないだろう。
ヴァレリアの方を見ると、ニーズヘッグと一緒に震えている。
『ならば歩け、馬車に乗るのだ!!』
俺がそう言うと、シリウスはおぼつかない様子で方向転換をし、足をもつれさせ、転びながら急いで馬車へと戻った!
「全く、シリウスにも困ったものだ。もうヴァレリアは俺と両思いの婚約者なのに」
俺は馬車が通りを曲がったところで漸く落ち着いた。
シュゥゥゥ‥‥‥。音を立てて変身が解けていく。
「タイミングが悪かったな」
そう言ってヴァレリアの方を振り返ると、俺とウードガルザの殺気に当てられて気絶していた。ヴァレリアを守っていたニーズヘッグも、ヴァレリアの巨乳の上で伸びていた。
「うわぁ! ヴァレリア! ニーズヘッグ!! ごめん、大丈夫か?!」
「うーん‥‥‥」
『お、前、少しは加減しろ‥‥‥』
とニーズヘッグは言い、再び気絶した。
「すまん。ヴァレリアの事となると、見境がなくなって力加減が出来なくなるみたいだ。俺もまだまだだな」
(まさか気絶するまでとは‥‥‥)
俺はそう独り言ちながら首の後ろを掻いた。
* * *
しばらくするとネフティスがホクホク顔で出てきた。
「ちょっと揉めたけど、ヴァレリアのおかげで儲けたわ! 迷惑料を上乗せしてくれた!」
これでやっとオシリスの役に立つ事ができるわ!!
頬を赤らめ、今にも踊り出しそうにネフティスは言う。
「ん? どうしたの!? 二人とも、しっかりして!?」
ネフティスは玄関先で伸びているヴァレリアとニーズヘッグを揺さぶった。
「何かあったの!? 王子!」
「ははは、ちょっとな。ネフティスが交渉している間に一悶着あってな! 心配ない、ちょっと疲れて伸びているだけ(本当は俺のせいだけど)だから」
「まぁ! 今夜はオシリスのお店でお祝いしようとしていたのに! でもお嬢様にしては頑張った方だわ! お嬢様も気絶するほど気を張っていたのね。でもヴァレリアのおかげでお金も上乗せしてもらえたし、ありがとうヴァレリア」
ネフティスはそう言って気絶しているヴァレリアを抱きしめ、頬にキスをする。
「‥‥‥っ!? ネフティス!(俺の)ヴァレリアに何をする!」
俺は頭を抱えた! 先程のような黒い感情がまた沸々と湧き上がる。
「あ、ああ、ごめんなさい。私たちの国は少し変わっていて、感情表現が豊かなのよ。性別問わず、キスしたりもするし、唇にもすることがあるの。でも王子の前だからやめとくわ! 私も命は惜しいからね!」
ーーーーネフティスも大した女だ。職を求めて国を捨ててライヒにくるのも、一人では大変だったろうに‥‥‥
「それを聞いてホッとしたよ」
俺はそう言ってヴァレリアの頬を撫でた。
「帰ろう、ヴァレリア」
王子とウードガルザ、愛するヴァレリア様を気絶させてどうする?(笑)
ネフティスにも容赦なさそうでしたね。王子はまだ我儘が治ってないみたいっすね!うーむ!
ここまでお読みくださってありがとうございます。
王子めっちゃヴァレリア様しか見えてないじゃん!と思った方は広告の下にある☆を漆黒に染めましょう。ひょっとして王子の愛は狂愛では??と思った勘のいいあなたは私と友達になりましょう!
ご拝読ありがとうございました。また読んでね!